JFKが大雪!どうする?「代替飛行場」の選び方 〜フライトプランを作る①〜
こんにちは。
国内のあるエアラインでディスパッチャー修行中の者です。
飛行機の運航には欠かせないと言ってもいい、フライトプラン。
フライトプランというものが無ければディスパッチャーの存在価値は無いと言ってもいいでしょう。
今回から数回かけてになってしまいますが、国際線のフライトプランを作っていきたいと思います!
そもそもフライトプランとは
フライトプランとは、飛行計画とも呼ばれ、飛行機がどのように飛ぶ予定かを書面にして航空局に提出するものです。
国際線の場合は、複数の国の空域を飛行するため、各国の当局に提出します。
局にフライトプランを提出することをFILE(ファイル)するといいます。
今回は羽田発ニューヨーク(JFK)行きを例に順を追って見ていきたいと思います。
代替飛行場を選択する時の基準
まず考えるのは、目的地に対する代替飛行場です。
代替飛行場とは、目的地空港の天候が悪いなどの理由で着陸できない場合に向かう(このことをダイバージョンやダイバートといいます)ための空港です。
今回はJFK行きですのでJFK周辺の天気の良し悪しに分けて考えてみます。
ダイバートについては、下記のnoteで現役ディスパッチャーの方が詳しく解説しています!
①JFKの天気が良い場合
JFKの天気が良ければ、JFKに近い空港を選ぶことを考えます。
NYには、JFKの他にEWR(ニューアーク)という大きな国際空港が近くにあります。
JFKとEWRはかなり近いので、天気も同じ傾向であることが多いです。
そもそもJFKの天候が良いですので、あまり考えたくありませんが事故などで空港が閉鎖されてしまうなどの理由でなければ、
JFKに着陸できない状況にはなりません。
そのような場合にダイバートすることになっても、
EWRは天気が良いため十分着陸できると想定されますので、EWRを選定しておきます。
別に近くの空港じゃなくてもいいんじゃない?と思われた方もいるかもしれませんが、
代替飛行場を選定する時は、目的地空港から代替飛行場へ飛行するのに必要な燃料を搭載する必要がありますので、
近い空港を選定すればするほど燃料を節約することが可能です。
なので、天候に問題がなければ基本的に1番近い空港を選びます。
羽田行きなら成田、ロンドン/ヒースロー行きならロンドン/ガトウィックなどですが、
変わったところだと、那覇行きの場合、1番近い米軍の嘉手納基地を選定することがあります。
実際に那覇空港周辺でドローンが発見され、ANA機が着陸できずに嘉手納基地にダイバートしたことがありました。
②JFKの天気が悪い場合
大寒波によってNYエリアが大雪予報の時、発達した積乱雲があって雷雲が予想される場合など、
JFKに着陸できない可能性があるかも、、というような状況の際は、
JFKに近いEWRも同じような天候である場合が多いです。
こんな時にEWRを選定していた場合、JFKに着陸できなかった飛行機はEWRにも着陸できず、
他の空港に向かおうにも燃料が足りない、、なんてことになってしまうので、
JFKとは離れた空港を選びたいところです。
ただ離れていれば良いというわけではなく、
遠すぎる空港にすると、その分燃料がたくさん必要になってしまうので、
ディスパッチャーのセンスと経験からバランスを見て選定します。
JFKの場合、周辺にある大型機が着陸できる空港でですと
近い順に、フィラデルフィア(PHL)、ボストン(BOS)、ワシントン(IAD)、トロント(YYZ)、デトロイト(DTW)、シカゴ(ORD)などがあります。
これらの空港の天候や、航空情報(NOTAM)などを確認し、選定可能か慎重に調査します。
また、実際にダイバートとなった場合に、その空港でスムーズな対応ができるかをポイントにする場合もあります。
PHLには当社の便は就航していませんが、BOSには就航していて、社員が常駐している場合などは、
BOSに行った方がダイバート後の処理のハードルは圧倒的に下がりますよね。
そんなことも考慮しながら、今回はBOSを選定したことにしましょう!

Geminiが作るイラストっていつも無駄にポップですよね、、
③パイロット目線
パイロットの視点から代替飛行場のことを考えてみましょう。
まず、燃料について。
飛行機は一度飛び立つと着陸するまで給油はできません。
皆さんもドライブで、次のガソリンスタンドまで300kmと言われたら、
多めにガソリンを持っておきたいなと思いますよね。
パイロットも同様で、基本的に燃料は少し多めが良いという人が多いです。
遠くの代替飛行場を選定する=その分燃料を多く積むことになりますので、
パイロットの気持ちとしては少し余裕が生まれます。
(とは言うものの、昨今の燃料代はかなり高いですし、
燃料が増えると機体が重くなってしまってパイロットの自由度が下がってしまうので
多ければ良いと言うことでもありませんが、、)
また、天気に関しても、やはり遠い空港を選定している方が安心感があります。
近すぎる空港は同じような天候であることが想像できますからね。
また、天気は西から東に変わっていきます。
目的地の空港より東側にある空港を選定していると、代替飛行場に向かっている間に
今度はそちらの天気が悪くなってしまうということも考えられます。
なので、目的地空港の天気が雷雨などで悪いと予想される場合は、
その空港より西側にあって、距離も程よく離れている空港が好まれるかもしれません。
また、多少遠くても普段から就航している空港であれば、
その空港の着陸手順を知っているという安心感もありますし、
自社員のフォローを受けられるというメリットも大きいですね。
番外編 ダイバート後はどうなる?
ダイバートしてしまった場合のその後についてですが、主に下記が考えられます
給油したのち、目的地空港に向けて再度運航する
代替飛行場で運航を終了し、お客様は振替の手続きを行う
給油したのち、出発地空港に引き返す
どのパターンが多いかは一概には言えません。
特に国際線の場合は法律で決まっているパイロットの勤務時間の制限があるため、
すぐに目的地空港への再運航ができない場合も多く、2を選択せざるを得ないこともあります。
そんな場合、お客様には飛行機を降りていただき、地上交通や他のエアラインなどに振替を行います。
どのパターンでもお客様にはご迷惑をお掛けしてしまうため、
パイロットもディスパッチャーもダイバートが極力起きないように日々準備や調整を行なっています。
それでもダイバートが起きてしまった場合、これが最善の策だと思って決断をしていますので、
ディスパッチャーやパイロットの様子に思いを馳せていただけると幸いです。。
次回に続く!
