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”正解がない”横断プロジェクトで、PMは何を考えるのか。アルファ室が向き合った全体最適のつくり方

本シリーズでは、DMM.com アルファ室で働くメンバーの言葉を通じて、アルファ室の仕事やカルチャーのリアルを紹介しています。

今回取り上げるプロジェクトは、DMMの共通ヘッダー上にDMMポイントの残高や期限の近いポイント情報を表示するプロジェクト「Carnival」です。

一見シンプルな表示変更に見える施策の裏側には、対象サービスの選定、ABテスト設計、効果測定、関係部署との調整、意思決定までが絡み合っていました。

この記事では、CarnivalでメインPMを務めた児玉さんと、プロジェクト終盤から参画した松田さんの話を通じて、アルファ室のPMがどこまで考え、どう関係者を巻き込み、何を判断材料として前に進めているのかを紐解きます。

児玉 大輔
DMM.com アルファ室所属。CarnivalではPMとして、ABテスト実施に向けた進行管理、関係部署との調整、必要な情報の整理、意思決定に向けた材料づくりを担当。

松田 正明
DMM.com アルファ室所属。Carnivalには終盤から参画。ABテスト結果を踏まえた次の展開に向けて、対象サービスの調査やタスク整理を担当。


ポイントを表示する。その裏側にあった、横断の検証プロジェクト

——まず、Carnivalはどのようなプロジェクトだったのでしょうか?
児玉:Carnivalとは共通ヘッダーにDMMポイントの残高や期限の近いポイントを表示し、ユーザーにDMMポイントの利用促進をするプロジェクトです。
もともとは、あるサービスでポイント残高を表示したいというニーズがあったことがきっかけです。
ただ、それを個別サービスの施策で終わらせるのではなく、効果があるのであれば、DMMの中の広いサービスで展開できるのではないか、という話になりました。

このプロジェクトの中で、アルファ室は、効果測定の旗振り役として入りました。
どのサービスでテストするのか、何をもって効果があったと判断するのか、もし展開するなら対象範囲はどこまでなのか。
まだ決まりきっていない部分を整理して、プロジェクトとして前に進めていく役割でした。

松田:
私はABテストの終盤から入りました。テストが成功した場合に、どのサービスへ展開していくのかを調査したり、次の開発に向けたタスクを整理したりする役割です。

入った当初は、単にポイント残高を表示する施策なんだな、という理解でした。
ただ、実際に関わってみると、単にUIを出す・出さないの話ではありませんでした。
DMMには60以上のサービスがありますが、そのサービスごとに事情も違いますし、売上、利益、ユーザー体験、ポイントの使われ方など、見るべき観点がたくさんある
そこが、このプロジェクトの難しさでもあり、面白さでもありました。

横断プロジェクトで最初に向き合ったのは、「前提をそろえる」こと

——今回のプロジェクトで、大変だったことは何でしたか?

児玉:
一番大きかったのは、関係者ごとに持っている前提が違うことでした。

たとえば、ABテストを実施するにあたって、各サービスの状況やアクセスに関する情報が必要になります。こちらとしては、効果検証や負荷確認のために必要な情報として依頼しているのですが、受け取る側からすると、「何のために必要なのか」「なぜこのタイミングで聞かれているのか」が見えていないことがある。

横断プロジェクトでは、どこかで方針が決まっていたとしても、それが現場の一人ひとりに同じ粒度で伝わっているとは限りません。そこを最初に実感しました。

松田:
上位の意思決定があることと、現場で納得感を持って動けることは別なんだと感じました。決まっていることを伝えるだけでなく、目的や依頼背景まで説明する必要があると感じました。

児玉:
そうですね。こちらが知っていることを、相手も知っている前提で進めるとズレが起きます。

今回も、途中から説明の仕方を見直しました。プロジェクトの目的から伝え直し、なぜその情報が必要なのか、何に使うのかを丁寧に説明する場を設けました。

横断プロジェクトでは、情報を集めること自体が仕事なのではなく、関係者が同じ前提に立てる状態をつくることが大事なんだと思います。

サービスごとに事情が違う。その中で、どう全体最適を考えるか

——複数サービスを横断する難しさは、どんなところにありましたか?

児玉:
ポイント残高を表示することが、全てのサービスのユーザー体験の向上、サービスの利益に貢献するとは限りません

ポイントを使ってもらうことで購買につながる可能性がある一方で、ポイント利用によるコストも発生します。そのため、あるサービスでは前向きに捉えられることが、別のサービスでは慎重に見られることもあります。

どちらが正しい、という話ではありません。それぞれのサービスに事情がある。そのうえで、DMM全体としてどう判断するのかを考える必要がありました。

複数部署と、スケジュール・テストの前提・ゴールを調整し、ABテストを開始

松田:
そこは、私にとっても大きな学びでした。

各サービスの立場に立つと、それぞれの考え方に納得できるんです。一方で、アルファ室としては、個別の事情だけではなく、全体としてどうするのがよいのかを考えなければいけない

最初は「各サービスの状況を整理して、判断材料を出す」ことがPMの役割だと思っていました。でも、それだけでは足りない場面もあるんですよね。

「で、どうしたいのか」を自分たちでも考える必要がある。そこが難しかったです。

ABテストの結果を受けて、見送る判断をどう伝えるか

——ABテストの結果を受けた判断にも難しさがあったと聞きました。

児玉:
はい。実は結果として、今回の条件では複数サービスへの展開を見送る判断になってしまったんです。
ABテストは、事前に「どういう結果であれば展開するのか」という条件を設計していました。
検証の結果、その条件にマッチする結果がでなかったんです。
難しかったのは、その判断を各サービスにどう伝えるかです。

ポイントを使ってもらう体験自体は、ユーザーにとって価値があるという見方もできます。
一方で、今回設定した評価軸では、期待していた効果が十分に確認できなかった。

ユーザー体験としての価値と、今回の施策として展開すべきかどうかは、分けて考える必要がありました。

松田:
そこはすごく印象に残っています。

関係者の中には、ポイントを使ってもらうこと自体に意義を感じている人もいます。ユーザー体験の観点でも、ポイントを持っていることに気づけるのは良い体験だと思います。

ただ、今回のABテストで何を判断するのかは、事前に握っていました。だからこそ、「その考え方は大事にしつつ、今回の判断軸ではこうなりました」と丁寧に説明する必要がありました。

児玉:
「これで終わりです」と突き放すのではなく、今回の検証ではこう判断する。ただし、今後考えるべき論点は残っている。そういう伝え方を意識しました。

プロジェクトを止める判断は、進める判断と同じくらい丁寧さが必要です。協力してくれた人たちがいるからこそ、何を検証して、何が分かって、なぜこの判断になったのかを説明する責任があります。

「どうしたいのか」を問われる環境

——今回のプロジェクトを通じて、アルファ室らしさを感じた部分はありますか?

松田:
「自分たちはどうしたいのか」を持つことを求められるところです。

前職や他の環境だと、お客さんや依頼元が正解を持っていて、それに対してどう実現するかを考えるケースも多いと思います。でもアルファ室では、そもそも正解が決まっていないことが多い

A案、B案があったときに、「周りがそうしているから」「他社がそうだから」ではなく、なぜDMMではその選択をするのかまで説明できないといけない。そこは大きな違いでした。

児玉:
このプロジェクトも、最初から正解があったわけではありません。サービスごとの事情があり、ポイント施策としての考え方があり、全体最適の観点がある。状況も日々変わっていきます。

だから、ただ決まったタスクを進めるだけではなく、その時点で何が最適なのかを考え続ける必要がありました。

そういう意味では、“生きたプロジェクト”だったと思います。

松田:
全サービスを横断的に見る機会にもなったので、DMMのサービス理解も深まりました。入社して間もないタイミングで、会社全体の構造や、アルファ室としての動き方を知れたのは大きかったです。

同時に、まだまだ自分に足りないところも見えました。情報を整理するだけでなく、自分なりの意思を持って進めていいんだ、むしろ持つ必要があるんだと感じました。

応募を検討している方へ

——最後に、アルファ室に興味を持っている方へメッセージをお願いします。

児玉:アルファ室のプロジェクトは、分かりやすい正解が最初から用意されているものばかりではありません。むしろ、何も決まっていない状態から整理していくことも多いです。関係者やサービスごとの事情を整理しながら、目的に向けて少しずつ前に進めていく仕事です。
そういう仕事に面白さを感じる人には、合っていると思います。

松田:入社してすぐでも、横断プロジェクトの中で学べることはたくさんあります。もちろん最初からすべて分かるわけではありません。私自身も、分からないことや足りないことを感じながら進めていました。

でも、だからこそ学べることが多いです。DMM全体を見ながら、正解がない中で自分たちなりの答えを作っていく。PMとして、そういう経験を積みたい方には面白い環境だと思います。

──児玉さん、松田さん、ありがとうございました!

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