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「計画通りに進まない」から、PjMがいる。前提が変わり続けた10カ月のプロジェクト

本シリーズでは、DMM.com アルファ室で働くメンバーの言葉を通じて、アルファ室のプロジェクトのリアルを紹介しています。

今回取り上げるのは、グループ内の教育事業の一部譲渡に伴い、譲渡する領域とDMM側に残す領域を切り分けるプロジェクトです。
約10カ月の間に方針や前提が何度も変わるなか、関係各社と判断事項を整理し直しながら、最終的に”公開可能な到達点”まで進めました。

この記事では、メインPMを務めた高橋さんと、サブPMとして並走した金築さんの話を通じて、計画を守ること以上に、「今の状況なら、次に何を決めれば前に進むのか」をどうつくり続けたのかを紐解きます。

プロフィール

高橋 哲平
アルファ室所属。本プロジェクトではメインPMとして、プロジェクトオーナーとの連携、各社・各部署との調整、全体の見通しと進行上のリスクの察知を担当。

金築 英雄
アルファ室所属。サブPMとして、既存システムや業務フローの整理、環境まわり、WBSなど進行管理の土台づくりを担当。


「分割すれば終わる」ではなかった

——まず、このプロジェクトはどのようなものだったのでしょうか?

高橋:  
グループで展開していたある事業の一部を事業譲渡することになったんです。それにあたり、譲渡する領域と、DMM側に残す領域とでシステムを分ける必要がありました。アルファ室としては、残す側の推進や、DMM社内の調整を担う立ち位置でした。

金築:  
最初は、もう少し素直に進む案件だと思っていたんです。やること自体は、比較的はっきり見えていた。ただ、実際に入ってみると、すぐに「何をどう分けるか」を決められる状態ではありませんでした。既存システムがどうなっているのか。どんな業務が紐づいているのか。誰が何を管理しているのか。

高橋:  
関係者も、DMM社内だけでなく、グループ子会社、開発パートナー、事業譲渡先と多い。それぞれが持っている情報も違います。
役割が最初からきれいには分かれていなくて、そこを徐々に整理していく案件でした。

金築:  
だから最初にやったのは、「このプロジェクトを進めるために、何を明らかにしなければならないか」を整理することでした。関係者を洗い出して、分割の評価観点をそろえる。体制や会議体、WBSを整える。情報が揃ってから計画をつくった、というより、必要な人に聞きながら全体像をつくり、その都度解像度を上げていった感覚に近いです。

メインは広く見る。サブは細部を整える

——お二人の役割分担は、どのようになっていましたか?

高橋:  
基本的には、私がメインで全体を広く見る。金築さんがサブで、個別の論点を細かく調整していく、という分担でした。過去の別案件で、自分がタスクに追われて、全体が見えにくくなった経験があって。今回は同じ轍を踏みたくない、という思いもありました。

金築:  
環境まわりやWBSなど、進行の土台になるところを整えて高橋さんに渡す、という動きも多かったです。ただ、役割定義書を最初にガッチリ書いて進めた、という感じではありません。毎朝、「これどうなった?」「じゃあそれやるよ」と話しながら、柔軟に分担していました。

高橋:  
2人とも付き合いが長くて、言いやすい関係だったのは大きかったですね。バチッと「ここはあなただよね」と固定しすぎず、状況に合わせて持ち合う。うまくいった、とまでは言い切れない部分もありますが、二人で支える形は、今回の案件には合っていたと思います。

進捗会議の前に、前提をそろえる

——印象に残っている出来事はありますか?

高橋:  
週次で、ステークホルダーが集まって進捗を確認する場がありました。複数の会社から関係者が参加していたため、それぞれが持っている情報や前提に差がありました。そのため当初は、十分に論点をそろえきれないまま、週次会議の場で確認が始まることもあったんです。

金築:  
なので私たちは、「前日までに認識をそろえるミーティングを置き、持ち込むアジェンダを決めてから展開する」サイクルを提案しました。全体に出す前に、いったん内々でフィジビリティを確認してからにしよう、という合意もつくりました。

高橋:  
それでも、関係者が多いことで、合意した内容が十分に行き渡らないまま情報が展開される場面もありました。関係者が多いと、「いま何が正なのか」がすぐにずれるんですよね。だからこそ、アジェンダのテンプレを用意したり、司会や事前整理をこちらで補ったりと、役割の境界を少し超えてでも、会議が機能する状態をつくる必要がありました。

金築:  
会社ごとの役割はあります。でも、うまく進めるために、形式だけに閉じずにサポートに入る。そこは今回、かなり意識したところです。

方針が変わるたびに、「何をもう一度決めるか」を探す

——途中で方針が何度か大きく変わったと聞きました。どう受け止めましたか?

高橋:  
もちろん、方針が変わるたびに負荷はありました。ただ、難易度が一気に上がる方向ばかりではなくて、結果として進めやすくなる転換もありました。ここまで来ると、最初に聞いていた「システム分割」とは、プロジェクトの性質がかなり変わっていますよね。

金築:  
自分としては、驚きはあっても「やることはやらなきゃ」という感覚の方が強かったです。方針が変われば、必要なシステムも、タスクも、関係者も変わる。WBSや段取りは、かなり頻繁に更新していました。
ただ、単にスケジュールを書き換えるだけでは足りない。たとえば「新しい環境をつくる」から「既存を移設する」に変わったら、確認すべきことや判断する人も変わります。最初に考えるべきなのは「新しい納期はいつか」ではなく、「この変更によって、何をもう一度決める必要があるのか」。そこを整理してから、必要な人に入ってもらい、判断材料をそろえて、改めて計画に落とす。途中からは、その繰り返しでした。

完璧に分けるより、「現実的なライン」を探す

——うまく進めた判断として、印象に残っているものはありますか?

高橋:  
後半のデータ分割ですね。データベースを完全にきれいに分ける、という理想だけを追うと、現実的ではありませんでした。キー情報の扱いとか、どこまでを完全分離にして、どこは権限や範囲を絞ることで安全性を担保するか。

金築:  
今考えると地道な作業でしたよね。
完璧な分け方を描くより、「現実的なライン」を探すことに寄せられたのは、よかったと思います。

高橋:  
あとは、複数社が関わっているため似た資料やスケジュールがいくつも生まれて、「どれが最新で本物なのか」が分からなくなる場面がありました。
そこで各社のスプレッドシートを統合しました。新しいファイルをむやみに増やさず、必要なものはここに足していく。マスターを一つに寄せることで、「どれだっけ」を減らす。当たり前のようで、関係者が多い案件ほど効くんですね。

——振り返って、アルファ室のPjMが入ったことで、プロジェクトにどんな価値を提供できたと思いますか?

金築:情報や判断が分散していた状態から、「いま何が決まっていて、次に誰が何を判断するのか」が分かる状態をつくれたことだと思います。方針変更をなくすことはできませんが、変更が起きても立て直せる土台はつくれました。

ラフに相談できる関係が、健全さを支える

——この案件で学んだことは何ですか?

高橋:  
改めて感じたのは、ステークホルダーと話しやすい健全な関係をつくる大切さです。事業譲渡先の担当の方がとても協力的で、自己開示もしてくださる方でした。毎回ガチガチに準備して詰められる場だけだと、心理的に持ち込みにくくなる。構えすぎずに相談できる関係があると、プロジェクトの健全さが保ちやすいんですよね。

金築:  
忙しいときほど、怒りや焦りが出やすいんですよね。そこを理解したうえで、理性で物事を考える必要がある、と実感しました。あとは、DMM内の他部署調整より、他社との境界をまたいで動くハードルの高さです。今回は、染み出して整えないと前に進まない場面が少なくありませんでした。相手の立場に立って、「どうすれば分かりやすくなるか」「どうすれば幸せに進めるか」を考える必要がありました。

高橋:  
ただ、染み出しにもバランスがあります。提案はしてよい。でも最終決定と責任の所在は、相手側にある。誰が何に責任を持っているかを意識しないと、特に社外ではトラブルに発展する可能性があるんですよね。アルファ室は社内では横断的に動く性質がありますが、外側では契約や責任分界を踏まえた提案に寄せるべきだ、というのは今回の学びです。

柔軟に変える。でも、判断は曖昧にしない

——今回のような案件では、どんな人が力を発揮できそうですか?

高橋:  
計画をつくることが得意なだけでなく、状況が変わったときに「何を残し、何を決め直すか」を考えられる人だと思います。柔軟に変えることと、曖昧なまま進めることは違います。前提や責任の所在を確認しながら、その時点で最も現実的な進め方を組み直せる人は、力を発揮しやすいと思います。

金築:  
合理性だけで進められない場面もあります。感情を汲み取れること、相手の立場に立てること。いわゆるEQ寄りの力が要る場面が、今回は多かったですね。

応募を検討している方へ

——最後に、アルファ室に興味を持っている方へメッセージをお願いします。

高橋:  
アルファ室の案件は、最初から正解が用意されているものばかりではありません。関係者が多くて、方針も変わりうる。その中で、前提をそろえて、現実的なラインを探して、話しやすい関係をつくりながら進める仕事です。
でも決して、一人で考えなくてはならないのではない。周囲の人や上長がサポートしてくれるので、案件を進める中で成長することができます。

金築:  
自分の担当範囲の外に少し踏み出して、相手が動きやすい状態をつくる。全部の答えを自分で持っている必要はなくて、必要な情報がどこにあるかを探して、つないで、関係者が判断できる形にする。それが結果として、プロジェクト全体を前に進めることがあるんですよね。大変な面もありますが、その分学べることも多い。事業、システム、組織のあいだを行き来しながら、相手の立場に立って考えられる人には、やりがいのある環境だと思います。
そんな仲間がもっと増えたらいいな、と思っています。

──高橋さん、金築さん、ありがとうございました!

※掲載内容は取材当時のものです。組織体制・所属・役職・サービス内容等は変更されている場合があります。

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