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Drataで取得するSOC2、ISMSについて


SaaS企業やスタートアップが取引先から「セキュリティ認証を取得しているか」を問われる場面は、年々増えています。特に「SOC 2」や「ISMS(ISO 27001)」は、B2Bで事業を展開する企業にとって、営業の入口を左右する重要な信頼の証になりつつあります。

一方で、これらの認証取得・維持には、証跡収集や監査対応など多くの手作業が伴い、担当者の負担が大きいことでも知られています。こうした負担を軽減するために近年注目されているのが、「Drata(ドラータ)」に代表されるコンプライアンス自動化プラットフォームです。この記事では、SOC 2とISMSそれぞれの基本を整理した上で、Drataを使った取得の進め方について解説します。

SOC 2とは何か

SOC 2(System and Organization Controls 2)は、米国公認会計士協会(AICPA)が策定した基準に基づき、企業のシステムやサービスが適切なセキュリティ管理体制のもとで運用されているかを、独立した監査人が評価・報告する仕組みです。特にクラウドサービスやSaaS事業者が、顧客企業に対して自社のセキュリティ体制の信頼性を証明する手段として広く使われています。

SOC 2の評価は、「セキュリティ」「可用性」「処理の完全性」「機密保持」「プライバシー」という5つの信頼性基準(Trust Services Criteria)に基づいて行われ、企業は自社のサービス内容に応じて、これらの基準のうちどれを評価対象にするかを選択します。

また、SOC 2には「Type1」と「Type2」という2種類の報告書があります。Type1は、特定時点における内部統制の設計状況を評価するもので、比較的短期間で取得できます。Type2は、一定期間(一般的には3か月〜1年程度)にわたって、その内部統制が実際に機能していたかを継続的に評価するもので、より高い信頼性を示せる分、取得までの期間も長くなります。

ISMS(ISO 27001)とは何か

ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)は、国際標準化機構が策定した国際規格「ISO/IEC 27001」に基づく認証制度です。SOC 2が「監査人による評価報告書」であるのに対し、ISMSは第三者の認証機関による審査を経て「認証」を取得する仕組みという点が大きな違いです。

ISMSの特徴は、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)に基づいて、組織全体の情報セキュリティマネジメント体制を継続的に構築・運用・改善していくことを求めている点にあります。特定のシステムやサービスだけでなく、組織の情報資産管理全体を対象とした、より包括的なマネジメントの枠組みと言えます。

SOC 2とISMSの違いを整理する

両者はしばしば混同されますが、いくつかの違いがあります。SOC 2は米国発の枠組みで、主に北米の取引先からセキュリティの信頼性を求められる際に重視される傾向があります。一方ISMS(ISO 27001)は国際規格であり、グローバルに事業を展開する企業や、欧州・アジアを含む幅広い地域の取引先とのビジネスにおいて評価されやすい認証です。

また、SOC 2は「監査人による評価と報告書の発行」という形式であるのに対し、ISMSは「認証機関による審査と認証書の発行」という形式である点も異なります。多くのグローバル企業では、この両方を取得することで、より幅広い取引先の要求に対応できる体制を整えています。

なぜ取得・維持が大変なのか

SOC 2やISMSの取得・維持には、社内の様々なシステムから証跡(アクセスログ、権限設定のスクリーンショット、ポリシー文書など)を収集し、監査人や審査機関に提出する作業が必要になります。従来、この証跡収集は手作業で行われることが多く、担当者がスプレッドシートで管理項目を追跡し、各システムの画面をスクリーンショットで撮影して証拠として保存する、といった労働集約的な作業が発生していました。

さらに、認証取得はゴールではなく、取得後も継続的に統制が機能していることを証明し続ける必要があるため、こうした証跡収集業務は一度きりで終わらず、継続的な負担として組織にのしかかります。

Drataとは何か

Drataは、こうした証跡収集や監査対応の負担を軽減するために設計された、セキュリティ・コンプライアンス自動化プラットフォームです。企業が利用している様々なSaaSツールやクラウドインフラと連携し、セキュリティ管理状況を継続的にモニタリングしながら、必要な証跡を自動的に収集する仕組みを提供しています。

対応しているフレームワークはSOC 2やISO 27001にとどまらず、HIPAA(医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)、PCI DSS(クレジットカード業界のデータセキュリティ基準)、GDPR(EU一般データ保護規則)、CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)、ISO 27701、NISTの各種フレームワークなど、非常に幅広い規制・基準をカバーしています。複数の認証・規制対応を並行して進める企業にとって、一つのプラットフォームで統合的に管理できる点は大きなメリットです。

Drataを使った取得の流れ

Drataを活用したSOC 2・ISMS取得の一般的な流れは、おおむね以下のようになります。

1. スコープと対象フレームワークの設定 まず、自社がどの認証・フレームワークを、どの範囲(サービス・部門)で取得するかを決定します。

2. システム連携の設定 クラウドインフラ、人事システム、開発環境など、社内で利用している各種システムをDrataと連携させます。これにより、アクセス権限の設定状況や、セキュリティ設定の状況などを自動的に収集できる状態を整えます。

3. ギャップ分析とコントロールの整備 現状のセキュリティ体制と、取得したい基準が求める統制要件との間にあるギャップを洗い出し、不足しているポリシーや手続きを整備します。

4. 継続的モニタリングと証跡の自動収集 連携したシステムから、Drataが継続的に証跡を自動収集し、コンプライアンス状況をダッシュボード上で可視化します。統制に不備が生じた場合はアラートが上がる仕組みになっており、問題を早期に発見・是正しやすくなります。

5. 監査人・審査機関との連携 SOC 2の場合は監査法人、ISMSの場合は認証機関による審査が必要です。Drataは、監査人が必要とする証跡へのアクセスを効率化する「監査ハブ」のような機能を提供しており、監査対応にかかる往復のやり取りを削減できます。

6. 認証取得後の継続運用 認証取得後も、継続的なモニタリングを通じて統制状況を維持し、次回の監査・審査に備える運用を続けていきます。

Drata導入のメリットと限界

Drataのようなプラットフォームを導入する最大のメリットは、手作業による証跡収集の工数を大幅に削減できる点です。また、複数のフレームワークに同時対応する際も、共通するコントロール項目を一元管理できるため、二重・三重の作業を避けやすくなります。加えて、取得したコンプライアンス状況を対外的にアピールする「Trust Center」のような機能を通じて、営業活動における信頼性訴求にも活用できます。

一方で、Drataはあくまで証跡収集とモニタリングを効率化するツールであり、実際にセキュリティポリシーを策定したり、組織文化としてセキュリティ意識を根付かせたりする取り組みそのものを代替するものではありません。また、SOC 2の監査やISMSの審査自体は、それぞれ独立した監査法人・認証機関が実施するものであり、Drataの利用が直接認証取得を保証するわけではない点にも注意が必要です。ツールの導入と並行して、組織としての体制整備や従業員への教育も欠かせません。

まとめ

SOC 2とISMS(ISO 27001)は、それぞれ異なる背景と形式を持つセキュリティの信頼性を示す枠組みですが、いずれも証跡収集や継続的な統制維持という点で、担当者にとって大きな負担が伴います。Drataのようなコンプライアンス自動化プラットフォームを活用することで、この負担を軽減し、複数のフレームワークへの対応を効率的に進めることが可能になります。

ただし、ツールはあくまで手段であり、組織としてのセキュリティガバナンスを実質的に高めていく努力があってこそ、その効果が最大化されます。自社の事業フェーズや取引先からの要求を踏まえながら、どのフレームワークを、どのようなスピード感で取得していくかを検討していくことが重要です。