140字【 夾竹桃 】|||シン小説 no.086
「夾竹桃、花がキレイなのが意外なのよね」
「キョウチク……?花?
チューリップかなんかか?」
返事をするなんて。
珍しい。
夫は庭の夾竹桃を、知らない。
夾竹桃が、なんなのかも。
毎日、見てるはずなのに。
いまちょうど、紅い花が、たくさん咲いている。
私の庭なんて、ね。
いいの、いいの。
アナタは、それで。
庭の奥の、夾竹桃。
縁側の脇に、アジサイ。
石灯籠の下に、スズラン。
花壇には、スイセン。
それに、あの……。
キリがないわね。
そうね。
もう、十分かしら。



