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こっぷ。|||シン小説 no.093

必死になって、熱い味噌汁を飲んでる。

相当熱い、それなのに。

理由は、簡単。

飲み干さないと、お茶を入れてもらえないから。

僕は都度、ひとりに、ひとつ。

留置場のコップになって久しい。

水のおいしい留置場もあるだろう。

残念ながら、ここは違う。

お茶は、煮沸したお湯で淹れられる。

それだけでも、飲みやすさは格段に変わる。

寝て起きて、なにも飲んでいないのに。

まずは、熱い味噌汁なんて。

なんとか、飲み干して、お茶。

それも、最低、三杯は飲まないと。

昼食まで、また、まずい水だけ。

朝食。

ゴザが引いてある。

どうやら、掃除やらなんやらは、すでに終わってるらしい。

布団もない。

小さな入り口。

看守さんが、そこを開けると、ささやかな台になる。

僕らは、そこに人数分おかれる。

熱い熱い味噌汁が注がれ、リレーされる。

僕の担当は、どうやら、ベトナム人の男性のようだ。

住んでちゃいけないのに。
働いてちゃいけないのに。

偽の身分証を使って。

偽の身分証を売ってるヤツが一番ズルいって、ぼやいてる。

警察は、身分証をつくってるヤツを探してるらしい。

でも、わからない。

全部、用意されてたから。

一番つらいのは、ベトナム語の本がないこと。

なんにもない時間が、一番つらい。

昼は、味噌汁はない。

お茶から。

ラジオ放送みたいなのが鳴ってる。
簡単なニュースとか、音楽とか。

パン。
コッペっていうそう。

ジャムみたいなの。
バターみたいなの。
唐揚げみたいなの。

毎日、ほぼ同じだ。

お金がある人は、好きなお弁当とか、ジュースとか。

買えるのは、自弁。
お決まりの食事は、官弁

「官弁は、かんべん」

何度も何度も何度も、聞いてる。

僕の担当は、メガネの男性。

病気らしい。

彼は、僕のお茶を飲む前に、看守さんに薬を渡されてる。

薬を飲むコップは、僕たちとは違う。

彼は、もうお金がないんだって。

使い切ってしまった。

自弁、恋しい。

そういえば、何度か、彼の担当になってる。

ここは、みんな一ヶ月もいない。

なのに、彼は、それ以上いる。

隣の人が、美味しそうに自弁してる。

気を使う、とか、ないよね。

だって、数日、長くて一ヶ月。

それに、ここを出たら、もう会うことはないらしいから。

夜。

やっぱり、味噌汁はない。

僕の担当は、若い男性。

殴ってないのに、殴った。

そう言って、婚約者が警察を呼んだとか。

ホントかウソかなんて。

だって、本当に罪を犯してるかどうかなんて、関係ないんだから。

ここは。

突然、僕は、投げつけられた。

壁に激突。

おいおい、割れないよ。

僕は、プラスチックだから。

新しい傷なんて、わからない。

もう、全身、傷だらけだからね。

そうやって、婚約者も?

まぁ、僕には関係ない。

朝。

また、熱い熱い味噌汁……。

あれ、あれれ……漏れてる。

僕は、誰にも渡されることなく、回収箱に放り投げられた。

そういや、一度も、大切にされたことなんて。

ないや。





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