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【かてドラる】 僕なりの 『ヴァンパイア伝説』 みたいなもの|||シン小説 no.085

ひどい傷。
しかも、傷だらけ。

どれも深い。

ここは、修道院。
終末医療を、行っている。

普段、訪れるのは、関係者と不治の病の人だけ。

患者は、誰も出ていかない。
いや、出ていけない。

私は、ここの修道女。
治療師もしている。

街から離れ、町となり、村となる。
さらに点々と、いくつかの小さな村となる。

さらに、その先にある。

修道院とは、そういうものだ。

病院ではない。
けど、仕方がない。

運び込まれた時点で、もう助からないだろう、と。

だから、ある意味、ここで正しい。

手当てをしていて、ふと、気になった。

あれ……?この傷……。

ーーー

突然、空から、巨大な石が落ちてきた。

村の半分が、吹き飛ばされてしまった。

なぜだか、俺は生きていた。

一番近いところにいたはずなのに。

ーーー

最初に、運び込まれた人のあと、次から次へと、人々が運び込まれてきた。

あまりの数。

修道院の病床だけでは、足りず。

仕方なく、礼拝堂に布を敷き、寝かせる。

怪我人も多い。

が、それよりも、謎の熱病に侵され、苦しむ者の方が多かった。

そして、皆、次第に熱病に侵されていった。

運び込んで来た者たちも。
看病していた者たちも。

ーーー

なぜ生きているのか、わからないまま。

俺は、歩いていた。

村人に出会う。

ひどい怪我で、苦しんでいた。

内臓が溢れ出ていた。

なぜだか、うまそうに感じた。

匂い……そうか、うまそうな匂いがするからか。

もう、助からないだろう。

すまんが、いただくぞ。

本来なら、気持ち悪いはずの、生温かな内臓なのに。

なぜだか、強くなった気がした。

さらに、歩いた。

まだ、残っていた家があった。

怪我はしていなかったが、熱病にうなされていた。

なぜだか、うまそうに感じた。

もう、助からない……だろう……。

うまそうな匂いは、お腹からしていた。

生温かな内臓。

さらに、強くなれた気がした。

ーーー

礼拝堂の端から、叫び声。

血飛沫が舞っている。

誰かが、怪我人を襲っている……?

あれは、最初に運び込まれた、あの人?

あの人が、襲いかかっていた。

傷が、ない。

あの人には、もう傷がなかった。

ーーー

俺は、さらに歩いた。

目の前から、同じように歩いてくるヤツがいた。

うまそうだ。

が、相手も同じように感じているようだった。

戦いになった。

俺は、勝った。

そして、喰らった。

俺は、とてつもなく、力を感じた。

カラダは、傷だらけだが。

ーーー

あの人は、次から次へと、襲っていく。

どうやら、内臓を食べているようだった。

ときに、立ち向かう者もいた。

が、倒されてしまう。

ついに、残ったのは、私だけになった。

そのとき。

礼拝堂の大きなステンドグラスが、粉々に砕け散った。

誰かが、飛び込んできた。

ーーー

俺は、さらに歩いた。

とてつもなく、うまそうな匂いがする。

その方角へ向かって。

ここは、教会か?

ーーー

二人は、戦いはじめた。

壮絶。

ついに、ひとりが倒れる。

立っているのは、飛び込んで来た男の方。

助けに来てくれたの?

希望。
絶望。

どっちなのかしら。

ーーー

なぜだか、彼女は、特にうまそうに感じた。

格好からして、修道女か。

怪我も、していない。
熱にも、うなされてはいない。

なのに、とてつもなく、うまそうに感じる。

彼女を掴む。

彼女は、まったく抵抗しなかった。

叫び声も、あげない。

神のご加護?
さすが、修道女といったところか。

俺は、修道女の首筋を、優しく咬んだ。

なぜだ?

俺は、なぜ、お腹ではなく、首を。

しかも、優しく……。

俺は、彼女を突き飛ばし、飛び退く。

彼女は、倒れることなく、羽のように舞い、ひらりと着地した。

そして、優しく微笑みながら、言った。

「あなたが、最初ではないのよ」

おかしい、カラダが動かない。

「あれは、そうね、もう八百年くらい前になるかしら……」

彼女の声は、もう聴こえなかった。

ーーー

ここは、修道院。

終末医療を、行っている。

普段、訪れるのは、関係者と不治の病の人だけ。

患者は、誰も出ていかない。

いや、出ていけない。




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