共通東洋語の基礎
本ブログは漢文(文言文)、中国語(台湾華語)、日本語、ベトナム語を混合させた人工言語、「共通東洋語」の創造を試みることを目的の一つとする。この言語のコンセプトとして、「東アジア各国語の母語話者が最小限の学習時間で互いに一定の意思疎通が可能となること」、「中国語と日本語の母語話者は特段の学習なしにその文を読んで大意を理解できること」の二つを設定したい。以下に記述するその基礎はあくまでも暫定的な試案であり、この試みに賛同する者の意見があれば、それらを取り入れ柔軟に変更していくものとする。
1, 音韻
1-1,音素
基本的にベトナム語(北部方言)の音韻体系に準ずる。ただし、「A,Ă,Â」「U,Ư」「E,Ê」「O,Ô,Ơ」の各母音はそれぞれA,U,E,Oの四種類に統一する。また、ベトナム語における子音DはZと、子音TR-はCH-、子音Gi-はZ-と表記し、非ベトナム語母語話者にも特段の学習なしに一定の発音が可能なようにする。
以上を総合し、以下の23のアルファベットを音韻の表記に用いることとする。
A a/aː/ B b/beː/ C c/seː/ Z z/zeː/ D d/deː/ E e/ɛː/ G g/zeː/ H h/hat/ I i/iː/ K k/kaː/ L l/ɛl/ M m/ɛm/ N n/ɛn/ O o/ɔ/ P p/peː/ Q q/kwiː/
R r/ɛr/ S s/ɛs/ T t/teː/ U u/uː/ V v/veː/ X x/iks/ Y y/igrɛk/
1-2,声調
ベトナム語(北部方言)における声調に準じつつ、声調を持たない言語の母語話者に配慮し、3声調とする。もっとも、これは音の高低によって差異を表現するわけではないため、厳密には声調の定義には合致しない。声調を持たぬ言語の母語話者にも疑似的に声調を表現できるようにするための便宜的なものである。具体的にはベトナム語におけるThanh ngangを第一声とし、Thanh sắc、Thanh huyền、Thanh nặngの3つを第二声とし、Thanh hỏi、Thanh ngãの2つを第三声としてまとめる。
第一声(長音)は母音に長音記号を付すことで表記する。これは日本語において長音符(ー)を用いることで表記される音である。発音に際しては日本語の長音と同じく、二モーラ分長く母音を発音する。ただし、ベトナム語において短母音Â,Ăにて発音される語は第一声としては扱わず、第二声とする。
第一声にて発音される漢字の例
家(Zā)、中(Chūng)、医(Ī)、基(Cō])、危(Nguī)、請(Xīn)、歌(Cā)、遊(Zū)、間(Zān)、冬(Dōng)、英(Ānh)、査(Chā)、充(Sūng)、然(Nhiēn)、生(Sīnh)、員(Viēn)、争(Chānh)
第二声は特に発音記号を付さず、発音に際しても特段の注意を必要としない。
第二声にて発音される漢字の例
時(Thoi)、平(Binh)、常(Thuong)、問(Van)、世(The)、界(Zoi)、学(Hoc)、動(Dong)、行(Hang)、庭(Dinh)、国(Quoc)、化(Hoa)、佐(Ta)、市(Thi)、形(Hinh)、式(Thuc)、辞(Tu)、茶(Cha)
第三声は母音を二重に表記する。実際の発音に際しても母音を二度発音することでこれを表現する。
第三声にて発音される漢字の例
免(Mieen)、礼(Lee)、勇(Zuung)、努(Noo)、社(Xaa)、検(Kieem)、補(Boo)、減(Zaam)、広(Quaang)、警(Caanh)、解(Zaai)、保(Baao)、鼓(Coo)、所(Soo)、謹(Caan)、想(Tuoong)
2, 語彙
2-1 文字
基本的に日本漢字を使用し、繁体字(康煕字典体)も可とする。簡体字は基本的に使用しないこととする。「フリガナ」として先述のアルファベットを使用する。
2-2 語彙
基本的に中国語、日本語、韓国語、ベトナム語の内2言語以上において用いられる漢語はいずれも使用可能とする。これらのうち、1言語のみにおいて用いられる漢語も中国語か日本語の母語話者にとって意味推測が容易なものは使用可能とする。ある漢語が漢和韓越のうち2言語以上で用いられているかどうかは、「CJKV辞典」で確認できる。
CJKV Dictironary
3, 文法
3-1 語順
基本的にSVO語順とするが、中国語におけるいわゆる「把構文」も可とする。「把」の代わりに「対」を用いることも可とする。
基本語順
① S+V+O
② S+把(対)+O+V
3-2 人称代名詞

なお、三人称代名詞は性別を問わず、「彼」を用いることとする。
3-3 名詞述語文
基本的に「A是B」を用いるが、「AB也」も可とする。
A=B
① A是B
② AB也
3-4 疑問詞
What 何
Why 何故
Who 誰
Where 何処
When 何時
How 如何
3-5 疑問文
文末に「乎」をつける。
例:Is this a pen?
① 此是筆乎)。
② 此筆也乎。
3-6 名詞の複数形
「等」を名詞の後につける。
例:Pencils
筆等
3-7 動詞の未来形
「将」を動詞の前につける。
例:I will go to the park.
我将行公園。
3-8 動詞の過去形
「了」を動詞の後につける。
例:I went to the park.
我行了公園。
3-9 名詞の目的格
ある名詞が目的語であることを表すには、動詞の後にそれを置くか、その語の前に「把」、もしくは「対」をつける。
例:I buy a pencil.
①我買筆。
②我把筆買。
③我対筆買。
3-10 名詞の所有格
名詞を「之」でつなげる。
例:My pencil
我之筆
3-11 命令形
命令文 特段の形態はなし。主語を省略するなどして表現する
依頼 「請」を文頭に置く
例:Could you lend me some money?
請汝貸些銭。
禁止(否定命令) 「不可」、「不要」、「無」、「勿」のいずれかを動詞の前に置く
例:Don’t die.
汝勿死。
3-12 主要な前置詞
於 時間・場所の指定(In, on, at)
為 ~のために(For)
由 ~によって(By)
自 ~から(From)
因 ~により(Because)
向 ~へ(To)
和 ~と(And)
共 ~と(With)
3-13 可能・願望・義務
可能
①「能」を動詞の前につける(能力があって可能、の意)
例:I can swim.
我能水泳。
②「得」を動詞の前につける(状況が許すため可能、の意)
例:I can go to travel abroad.
我得行海外旅行)。
願望
「願」または「欲」を動詞の前につける。
例:I want to play chess.
我欲玩西洋棋。
義務
「応」を動詞の前につける。
例:I have to do homework.
我応作宿題。
3-14 指示詞
これ、この(This) 此
あれ、あの(That) 彼
ここ 此処
あそこ 彼処
3-15 順序数詞
「第」を数詞の前につける、または「次」を数詞の後につける
First 第一、一次
Second 第二、二次
Third 第三、三次
3-16 比較
①単純比較
主語+形容詞+「比」+比較対象
A大比B=A>B
②最上級
A+「最」+形容詞+「於」+比較対象
例:A is most beautiful in B.
A最美於B。
3-17 形容詞の否定
形容詞の前に「不」をつける。
例:This flower is not beautiful.
此花不美。
3-18 時間
時 Hour
分 Minute
秒 Second
3-19 無主語文の例
例:They say that~
如是我聞~
3-20 主要なあいさつ
はじめまして 初次見面
おはよう 朝安寧
こんにちは 昼安寧
こんばんは 晩安寧
さよなら 暫別
ありがとう 感恩
3-21 量詞
共通東洋語では全ての量詞を「個(Ca)」で統一する。
例:一個魚、一個人、一個家
3-22 勧誘表現
「何不」を動詞の前につける。
例:Why don’t you play football?
汝何不玩蹴球。
3-23 再帰代名詞
我自己 Myself
汝自己 Yourself
彼自己 Himself/ Herself
我等自己 Ourselves
汝等自己 Yourselves
彼等自己 Theirselves
3-24 祝いの表現
祝賀 おめでとう
祝賀生日 誕生日おめでとう
恭祝新年 新年おめでとう
3-25 受動文
A+「被」+動詞+「於」+B
AはBに~される
3-26 「為(Vi)」の用法
「為」は節全体を導き、「~するために」という意味の節を構成することができる。
例:I save money in order to buy a car.
我貯金為買車。
3-27 曜日・月日
日本語に準じる。
〇月△日
月曜日
火曜日
水曜日
木曜日
金曜日
土曜日
日曜日
3-28 名詞修飾
修飾節と被修飾節の間に「之」を置く。
例:This is the restaurant where I eat sushi.
此我食寿司之餐館也。
3-29 仮定法
①順接仮定条件(If)の場合は「仮」、または「万一」を、仮定条件を表す節の前に置く。
例:If it rains tomorrow, we will stay at home.
仮明日天気雨、我等将在家。
②逆接仮定条件(Even if)の場合は「雖」を、仮定条件を表す節の前に置く。
例:Even if it takes all night, I will finish the project.
雖要全一個晩、我将完成企画。
3-30 継続の構文
現代中国語に準じ、「着」を動詞の後に置くことで「~ながら」の意味を表現する。
例:He studies while listening to music.
彼対音楽聴着学習。
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