川の断面
水槽を、横から眺めるのが好きだ。
魚が泳ぐ水槽に砂利をしき、水草を入れても、まだ何かさびしい気がした。
子どもが学校から帰ってくるのを待ち、近くの小川へ行く。
いつもの公園の階段を下りて、小川に出る。
川岸を網ですくうと、小さなヌマエビが網のなかで跳ねた。
そっと、水槽の中に放つ。
小さな光がちらちらと反射している。
向こうが透けるくらいに透明な身体が、宙を舞うように、軽やかに水のなかを泳ぐ。
小川のなかを四角に切り取ったような水槽。
特殊なはさみで、子どもと協力して、小川の一角をゼリーみたいに切り取って、そっと水槽にはめたんだ。
ヌマエビが手足を小刻みに動かし、石のかげに隠れたり、水草にとまったりしている。
水槽を眺めると、川の断面が見える。
私のすぐそばで、別の世界が静かに動いている。
この瞬間も、小川のなかでは魚が泳ぎ、川底をエビが浮遊するように歩いているのだろう。
夜、目をつむると、そんな光景が浮かんだ。
隣では子どもがもう、ぐっすりと眠っていた。
