「みんなで大家さん」成田契約終了の茶番〜誰も責任を取らない2000億円〜
2025年11月27日、成田国際空港会社が動きました。「みんなで大家さん」への土地賃貸借契約を11月30日で終了すると正式発表。理由は「造成工事の遂行能力が確認できなかった」。要するに、金がない。
ところが同じ時期、成田市は共生バンクからの工事延長申請を受理していました。期限を2027年8月31日まで約2年間延長。土地が使えないのに、工事延長だけは認める。
以前、私はこう書きました。
あれから4ヶ月。予想通りの展開です。
11月最終週、急転直下
11月上旬の段階では、まだ希望がありました。
成田国際空港会社は条件付きで契約延長に応じる方針を共生バンク側に伝えていました。条件は造成工事を続けるための資金証明。銀行の残高証明などを求めていたとされます。
11月25日。成田市が共生バンク側からの造成工事延長申請を受理しました。これで4度目の延長。期限は2027年8月31日まで。
ところが翌26日、NHKなどマスコミ各社が一斉に報道します。「NAAが借地契約の延長に応じない方針を決めた」
この時点で、成田市にはNAAの決定が通知されていませんでした。担当職員の中には報道でその内容を知った者もいたといいます。
11月27日。NAAの藤井直樹社長が定例記者会見で正式表明しました。
「11月30日を期限とする賃貸借契約を延長しない」
理由について藤井社長は語ります。「残工事の遂行能力があると確認できなかった。資金面が一つの要素で総合的に判断した」
共生バンクからは「承知しました。対応を検討します」との返答。
資金証明ができなかった
11月上旬には「条件付きで延長OK」だったNAAが方針を変えた理由。
関係者によると、共生バンクは大阪・宗右衛門町の土地を担保にした資金融通や、東京・西日暮里の開発用地の売却に動いていました。西日暮里については複数の買い手候補と具体的なやりとりが進んでいたものの、希望する金額では買い手が見つからない。
10月22日には千葉駅前ビルを売却していますが、売り出し価格20億円には遠く及ばなかったようです。
結論は明白でした。資金証明ができなかった。
NAAは国土交通省出身の藤井直樹社長のもと、6月に体制が変わったばかり。国会では野党が数度にわたってNAAの責任を追及していました。このタイミングでの契約終了は当然の判断とも言えます。
585筆という複雑怪奇な土地
ここで土地の所有構造を見ておく必要があります。
計画地全体は約46万㎡。東京ドーム10個分です。このうちNAAが所有するのは約18万㎡で、全体の4割を占めます。
残り6割のうち、共生バンクが所有しているのは約3割強。その他は成田市などが所有しています。
問題は、NAAの土地が主要な計画道路を含む複数区画に点在していること。
計画地全体は585筆の土地で構成されており、そのうち264筆をNAAが所有しています。
共生バンクが自分の土地を持っていても、NAA所有地が使えなくなると開発工程全体が止まる。これは設計段階からの構造的欠陥でした。
市長の言葉
11月26日の定例記者会見で、成田市の小泉一成市長は語りました。
「みんなで大家さんの事業への許認可を市が出しているわけではない」
「一連の問題について、市としてはコメントする立場にない」
投資家の一部が「成田市の開発許可が投資の後押しになった」と話していることについて問われると、市長は続けます。
「それは投資家の勉強不足だと思いますよ、はっきり言って」
「我々としては『みんなで大家さん』の許認可を出しているわけではないので、ここは全く別に、市としては考えている」
責任の所在について、市長は食中毒の例えを持ち出しました。
「例えば、食堂に入って食中毒を起こした、または食中毒になってしまったとき、その飲食店の許認可を出した保健所の責任か」
「あくまで許認可を出したことであって、その行為自体は責任を負うものではない」
一方で「市としては造成の開発許可を出した部分に関しては、しっかりやってもらいたいという気持ちは変わりません」とも述べています。
整理してみましょう。
造成工事の開発許可は出した。でも「みんなで大家さん」への許可ではない。投資トラブルは市の責任ではない。投資家の判断ミス。ただし工事延長申請は受理する。
誰も全体を見ていなかった
ここに構造的な問題があります。
成田市は2019年10月、共生バンクの申請に基づいて開発許可を出しました。この時点で、計画地の4割をNAAが所有し、しかもそれが主要道路を含む形で点在していることは把握できたはず。
585筆のうち264筆がNAAという複雑な土地構造。これで本当に開発が実現可能なのか。市はどこまで検証したのでしょうか。
2020年9月、NAAは共生バンクと賃貸借契約を締結しました。年間1800万円、当初は3年間の契約。造成工事完了後に改めて50年間の定期借地契約を結び直す計画だったとされます。
2020年11月、「みんなで大家さん成田」の販売が始まりました。想定年利回り7%。約1500億円を集めることになります。
そして2025年11月。NAAは契約終了を決め、成田市は工事延長を受理。
両者に連携はありませんでした。11月25日時点で、NAAの決定は成田市に通知されていません。
ここから先は
よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!
