自賠責の「借りパク」5741億円が返ってくる 〜高市政権の一括返済で何が変わるのか〜
車を持っていれば必ず払う自賠責保険。その関連資金から、国が約6000億円を「借りたまま」30年近く返していなかった事実をご存じでしょうか。2025年、高市政権がこの問題に決着をつけようとしています。
ただし「自動車ユーザーのお金が返ってくる」という報道には、少し語弊があります。今回は、この問題の構造を整理してみました。
そもそも何が起きていたのか
1994年から95年にかけて、政府は自賠責関連の特別会計から約1兆1200億円を一般会計に繰り入れました。バブル崩壊後の財政難が理由です。「数年で返す」という約束でしたが、約6900億円を返した後、2004年から2017年まで返済がストップ。2018年に再開したものの、年間数十億円ペースでは完済まで80年かかる計算でした。
これが「財務省の借りパク」「自賠責ネコババ問題」と批判されてきた経緯です。
高市政権は2025年度補正予算で、残りの5741億円を一括返済する方針を決定。国会審議を経て実行される見通しとなっています。
「自動車ユーザーのお金」ではない?
ここで整理しておきたいのが、お金の流れです。
実は、自賠責保険には2つの別々の財布が存在します。
保険会社側の財布は、ドライバーが払った自賠責保険料を管理しています。事故が起きたら、ここから被害者に保険金が支払われます。
国側の財布(自動車安全特別会計)は、かつての「再保険制度」時代に積み上がった運用益を管理しています。療護センターの運営やひき逃げ被害者の救済など、保険でカバーしきれない部分のセーフティネットに使われてきました。
流用されたのは後者、つまり過去の再保険制度で生まれた運用益です。今のドライバーが払っている保険料から直接持っていかれたわけではありません。
再保険制度とは何だったのか
2002年まで、国は保険会社から自賠責の「再保険」を引き受けていました。保険会社のリスクを国がバックアップする仕組みです。その再保険料と運用益が、長年にわたって積み上がり、約7500億円に達していました。
2002年に再保険制度は廃止されます。「官から民へ」という当時の流れの中で、国が再保険をやる必要があるのかという議論があったためです。
制度廃止時、運用益の一部は保険料の値下げという形でユーザーに還元されたとされています。しかし、すでに流用されていた約6000億円は返済されないまま残りました。
返済されると何が変わるのか
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