なぜ「感謝」すると生きやすくなるのか?|脳のRASが教えてくれた、世界の見え方の変え方
「最近、なんだかうまくいかないな」
そんな日が続くと、なぜか良くないことばかりが目につくようになります。 返信が少し遅かった。予定通りに進まなかった。思っていた結果にならなかった。
「またダメだった」「自分は運が悪いのかもしれない」——。
実は、人間の脳にはネガティビティ・バイアスという仕組みがあり、生存本能として「危険やネガティブな情報」を優先して拾う性質があります。だから、不安や不満に目がいってしまうのは、あなたが悪いのではなく脳の自然な反応なのです。
ですが、脳の仕組みをもう少し深く知ると、世界の見え方を少しずつ変えていくことができます。
私たちは「現実」ではなく「脳が選んだ情報」を見ている
脳にはRAS(網様体賦活系:もうようたいふかつけい)と呼ばれる情報フィルターが存在します。
私たちは毎日、五感を通して膨大な情報に囲まれています。もしすべての情報を意識的に処理しようとすれば、脳は一瞬でパンクしてしまいます。そこでRASが、「自分にとって重要な情報」だけを選別し、意識へと届けているのです。
楽器を始めたいと思った途端、街中の楽器店が目に入るようになる
車を買い替えようと思った途端、その車種ばかりが走っているように感じる
これらはすべてRASの働きによるものです。つまり私たちは、「世界そのもの」を見ているのではなく、「脳のフィルターを通ったあとの世界」を見ていると言えます。
「感謝」とは、無理なポジティブ思考ではなく「フィルターの書き換え」
「辛いときでも感謝しよう」と言われると、少し抵抗を感じるかもしれません。嫌な出来事を無理やりポジティブに解釈する必要はありません。
脳科学における「感謝」とは、無理に前向きになることではなく、RASの検索クエリ(検索ワード)を書き換える作業です。
脳は「質問」に対して忠実に解釈を探す性質を持っています。
「なぜうまくいかないのか?」と問えば、脳のRASは「うまくいかない理由」を全力で探し出します。
「今日、助かったことは何だろう?」と問えば、脳のRASは「見落としていた小さなプラス」を全力で探します。
脳に届ける質問を変えるだけで、フィルターが拾い上げる情報がガラリと変わるのです。
今日からできる「脳の宝探し」
RASのフィルターを少しずつ良い方向へ書き換えるために、一日の終わりに自分へこんな質問を投げかけてみてください。
「今日、自分の味方になってくれた小さな出来事は何だろう?」
美味しいお茶が飲めた
コンビニの店員さんが笑顔だった
窓から見えた空がきれいだった
最初は夜に思い出すだけですが、習慣化すると昼間のうちから「あ、これは今日の宝物だな」と脳が自動でポジティブな情報に反応するようになっていきます。世界が変わったのではなく、あなたの脳が「良いこと」に気づける設定にアップデートされたのです。
幸せは「起きるもの」ではなく「気づくもの」
人生には落ち込む日もあります。
思うようにいかない日もあります。
不安になる日もあります。
それでも、そんな日の中にさえ小さな優しさや小さな幸せは存在しています。
誰かの何気ない一言。
温かい飲み物。
窓の外に広がる空。
美味しく食べられたご飯。
感謝とは、無理にポジティブになることではありません。
脳のフィルターを整えて、今まで見落としていた温かさに気づくための習慣です。
今夜、ぜひ一つだけ今日の宝物を探してみてください。
