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【番外編】私がブラック企業で見たもの3社目〜賞味期限を改竄する精肉店〜


前回までの記事では、新卒で入った職場、そして2社目で経験した出来事について書いた。
あの二つの職場で私は、「人を信じること」と「助けを求めること」を壊されていった。

今回はその後に働いた、短期間のパート先の話を書く。

ここは一見すると「普通の小さな職場」だった。

でも私にとっては、自分の感覚が少しずつ壊れていく場所だった。


少しずつ働こう

「次は短時間で働こう」と思っていた。

2社目を辞めたあと、私は限界だった。

もう正社員は無理だと思った。
フルタイムも無理だと思った。
責任を持つ働き方が怖くなっていた。

だから次はこう決めた。

「短時間のパートで、心を立て直そう」

そう思って選んだのが、家の近くの精肉店だった。



入った瞬間から感じていた違和感

その店は家族経営だった。正社員は夫婦とその息子。あとは数人のパート。
入ったときから、どこか独特な空気があった。

でも当時の私はもう、「違和感=自分の問題かもしれない」と思う癖がついていた。

前の職場でもそうだった。
その前でもそうだった。

だから今回もこう思った。

「まだ慣れてないだけかもしれない」



バレンタイン徴収という“謎の文化”

入ってたった3日目に、突然言われた。

「男性陣にバレンタイン渡すから、3000円ね」

説明はなかった。相談でもなかった。

「決まったこと」として、当然のように集金された。

まだ入って間もない私は、断れなかった。職場で浮きたくなかった。また嫌われたくなかった。

そう思うと、払うしかなかった。



封筒に入れただけで笑われた

私は言われた通り、封筒にお金を入れて渡した。
それを見て、笑われた。
「えwww封筒www」「なにそれwww」

丁寧にしたつもりが、ここでは「気取っている」と見なされたようだった。

その場では笑いになっていた。でも私は、その笑いの意味が分からなかった。ただひとつだけ分かったのは、

「ここでは私はズレている側なんだ」

ということだった。



「遅れたら陰口」という空気

その職場には、暗黙のルールが多かった。バレンタインの集金ひとつでも、遅れると空気が変わる。

「あの人まだ出してないよね」
「言ったのにね」

直接怒られるわけではない。

でも、確実に「見られている」。

その視線の圧が一番しんどかった。



一人だけ明確に敵意を向けてくる人

その職場には、一人だけ私を明確に嫌っている人がいた。
他の人とは普通に話すのに、私にだけ違う。ミスの指摘の仕方が強い。視線が冷たい。小さな行動を逐一チェックされる。

最初は理由が分からなかった。
でも次第に気づいてしまった。
これは仕事の評価ではない、と。



その人の背景と、私の居場所のなさ

その人はシングルマザーで、フルタイムで働いていた。私は短時間のパート。置かれた環境も、これまでの歩みも、何もかもが違っていた。 同じ職場にいるのに、見えている景色が違いすぎた。その埋められない溝が、そのまま「敵意」に変わっていったような気がする。
今ならそう説明できるけれど、当時の私はただ怖かった。
何をしても嫌われていく感じがした。



衛生管理の崩壊

そしてもう一つ、どうしても慣れなかったことがある。

衛生管理だった。正直、思い出すだけで吐きそうになる。潔癖症の方はこの部分は読み飛ばしてもらってもいい。

一部を挙げるだけでも、これだけある。

・基本的に手を洗わない&消毒も適当
・床に落ちたトレイや調理器具を拾って使う
・床に落ちた生肉も売っている
・作業靴と外靴(通勤の靴)が同じなので床はもちろん汚い
・靴裏の消毒もなし
・清掃が杜撰
・掃除や食器洗い品出しをした手で生肉を触る
・手袋を交換しない(私が交換しようとすると勿体ないと怒られる)
・作業着でタバコを吸いに行く(その際地べたに座って吸う)
・タバコを吸った後やご飯食べた後も髪や靴を触った後もそのままの手で生肉を扱う
・ペーパータオルを使用せず一枚の布タオルを共有する
・作業着は自己管理で洗っている様子がない(変色して異臭がする)
・異臭のする古い肉を切り込みに混ぜたり加工して売る
・当日加工とうたいつつ実際は3.4日前に加工して保存してる
・生肉を直接置くトレイや芝を消毒しない
・従業員がジェルネイルをしており、その手(素手で)ホルモンの処理をする
・賞味期限切れの肉のラベルを張り替えて売る(賞味期限改竄)

……まだまだありすぎて書き出すときりがない。

それを見ても、誰も気にしていなかった。

私だけが「これが普通なのか」「自分がおかしいのか」と立ち止まっていた。



「これを言ったら終わる」と思った瞬間

何度も思った。
「それ、おかしくないですか」
でも言えなかった。

言った瞬間に、空気が変わるのが分かったから。

また「面倒な人」になる。

また浮く。

また居場所がなくなる。

それが怖かった。

だから私は、飲み込んだ。



自分の感覚が消えていく

気づいたら、判断できなくなっていた。

これは本当におかしいのか?

それとも私が潔癖なだけなのか?

前の職場でも同じことを思った。

その前もそうだった。

繰り返されるうちに、自分の基準が壊れていった。



「どこに行っても同じ」という結論

結局、私はまた短期間で辞めた。

3ヶ月。それが限界だった。

理由はいくつもあった。

人間関係。衛生環境。空気の重さ。

でも一番大きかったのは「どこへ行っても同じように苦しくなるなら、自分の方がおかしいのではないか」という思考だった。

それはもう「考え」ではなく、「感覚」に近かった。



あとがき

一社目では倫理観が壊れた。
二社目では人を信じる力が壊れた。
三社目では、自分の感覚が壊れかけた。

今振り返れば、それぞれ別の問題だった。

でも当時の私の中では全部同じだった。

「社会は怖い場所だ」という結論に向かって、静かに積み重なっていった出来事だった。

そして私は、「自分の感覚を信じる」という当たり前のことを、少しずつ手放していった。



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望田のん|うつ病・回復の途中。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 スキ・コメント・フォロー、そしてチップでの応援は、すべて執筆の励みになっています。 チップは生活費に充てます☺ 「また読みたい」と思っていただけたら、とても嬉しいです✨️