『ディストピア・サバイバル・ガイド』(小鳥遊書房) 8章 依存症ディストピア
依存症は物質の乱用だけではなく、脳における神経物質のやり取りに注目するとゲームやギャンブル、買い物といった行為もまた依存症に分類されうる。現代社会には人々に依存的行為を誘発する仕組みが埋め込まれている。
【ストーリーガイド】ではフィリップ・K・ディック『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』を取り上げる。植民先の火星で過酷な生活に耐えるために入植者たちはキャンDという物質とパーキーパットという人形遊びに没頭する。パーキーパットは今風に言うとVRでのアバターに近い。
現実の過酷さから逃れるために薬物+没入型ゲームに依存する火星の入植者たちの様子は、現代人のスマホ依存の姿に重なる。そこへ宇宙からパーマー・エルドリッチが新しい薬物っチューZと、新しい遊びコニー・コンパニオン人形をもってくる。チューZの変容体験は、キャンDよりも根源的だ。
ディックのこの小説をインターネットやメタバースの先駆的存在と位置づける評論がすでにある。それを踏まえつつ、依存症と宿命について論じた。【探求ガイド】はフィリップ・K・ディック『スキャナー・ダークリー』/ 陸秋槎「ガーンズバック変換」/カート・ウィマー『リベリオン』。
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