教員だった私が、一番伝えたかったこと③
「一人で頑張りすぎる子ほど心配でした。」
「はい。大丈夫です。」
中学校で英語を教えていた頃、この言葉を何度聞いたか分かりません。
「宿題は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。」
「勉強、困っていることはない?」
「大丈夫です。」
一見すると、とても頼もしい返事です。
でも、私はその「大丈夫」という言葉を、そのまま信じることはできませんでした。
なぜなら、本当に困っている子ほど、「助けて」と言えないことがあるからです。
ある女の子のことを、今でもよく覚えています。
授業態度は真面目。
忘れ物もほとんどありません。
友達とも仲良く過ごし、先生から見ても「しっかりした子」という印象でした。
でも、英語の授業になると、少しずつ表情が曇るようになっていきました。
問題を解く手が止まる時間が増え、テストの点数も少しずつ下がっていきました。
放課後に声をかけても、
「大丈夫です。」
と笑顔で答えます。
でも、その笑顔が、私には少し無理をしているように見えました。
ある日、何気ない話をしている中で、その子がぽつりと言いました。
「先生に迷惑をかけたくないんです。」
その一言に、胸が締めつけられました。
子どもたちは、「助けて」と言えば、誰かが助けてくれることを知らないわけではありません。
でも、中学生になると、
「こんなことで相談していいのかな。」
「先生は忙しいから。」
「親に心配をかけたくない。」
そんな気持ちが強くなります。
だから、一人で抱え込みます。
そして、一人で頑張ろうとします。
大人から見ると「しっかりしている子」に見える子ほど、実は心の中ではたくさんの不安を抱えていることがあります。
教員だった頃、私が一番気にしていたのは、いつも相談に来る子ではありませんでした。
むしろ、何も言わない子です。
困っていても表情を変えない子。
「大丈夫」と笑う子。
誰にも頼らず、自分だけで何とかしようとする子。
そういう子ほど、「本当に大丈夫かな」と気になっていました。
なぜなら、相談できる子は、まだ一人ではありません。
でも、相談できない子は、自分の中だけで苦しさを抱え続けてしまうからです。
親になって、この気持ちは少し変わりました。
教員だった頃は、「もっと先生を頼ってほしい」と思っていました。
でも今は、「親にも言えなかったんだろうな」と思うことがあります。
子どもは親を困らせたいわけではありません。
むしろ逆です。
「心配をかけたくない。」
「迷惑をかけたくない。」
そう思うからこそ、「大丈夫」と言ってしまうことがあります。
それは優しさでもあり、思春期の子どもらしさでもあります。
だから、「何かあったら言ってね。」だけでは、なかなか届きません。
では、私たち大人には何ができるのでしょうか。
私は、子どもに「話しなさい」と求めるよりも、「話せる空気」をつくることの方が大切だと思っています。
毎日長い会話をする必要はありません。
「今日もお疲れさま。」
「部活どうだった?」
「最近、ちょっと疲れてない?」
そんな何気ない一言の積み重ねが、「この人には話しても大丈夫かもしれない」という安心感につながります。
そして、もし子どもが勇気を出して話し始めたら、途中で答えを出そうとせず、最後まで聞いてあげてください。
子どもは、解決策よりも、「分かってもらえた」と感じることで心が軽くなることがあるからです。
今、学びのたまごで子どもたちと向き合っていても、教員時代と同じことを感じます。
勉強につまずいている子どもの中には、「助けて」と言えずに頑張り続けている子がいます。
だから私たちは、勉強を教える前に、その子が安心して話せる関係を大切にしています。
安心できる場所があると、子どもは少しずつ「分からない」「困った」と言えるようになります。
そして、その一言が言えたとき、本当の学びが始まるのだと思います。
教員だった頃、私は「一人で頑張れる子」が強い子なのだと思っていました。
でも今は違います。
本当に強い子とは、困ったときに「助けて」と言える子。
そして、
その「助けて」を受け止めてくれる大人がそばにいる子です。
子どもは、一人で育つものではありません。
誰かを頼り、誰かに支えられながら、少しずつ大人になっていきます。
だから今日も、お子さんが「大丈夫」と言ったとき、その言葉の奥にある気持ちにも、少しだけ耳を傾けてみてください。
次回は
「先生だった私が、保護者様へ伝えたいこと。」
教員、親、そして塾講師として子どもたちと向き合ってきた中で、私が保護者の皆さんにお伝えしたいことを書きたいと思います。
ここまで読んでくださりありがとうございました。去年の7月この時期はもっと暑くて辟易していた記憶があります。今年は過ごしやすいですね。
少しでも過ごしやすい時期が続いて欲しいです。子供達の夏休みの学習も進む気がします。私の体調整える時間は
「サウナ」
です。頭の整理もサウナで行うと結構すっきりします。
