天然石ブレスレットを作っている。
……はずなのに。
最近石を並べていると、どうしても女のことを考えてしまう。
今回使ったのは、黒と茶色が混ざった大ぶりのメノウ。
最初にこの石を見たとき、
「秋やなあ」
と思った。
茶色っぽいところもある。
黒もある。
琥珀とかべっ甲みたいで、なんか綺麗。
ここまでは普通。
問題はここから。
この石を着けてる女、どんな女なんやろ。
たぶん、薄手のニットを着てる。
髪は長め。
秋になると、なぜかブラウンとかキャメルばっかり着たくなるタイプ。
夕方、用事もないのに少し遠回りして帰る。
「寒くない?」
って聞かれて、
「ちょっとだけ」
とか言う。
いや、絶対わざとやろ。
寒いなら上着着ろよ。
でも本人はたぶん、誰かに上着を貸してもらうところまで計算してる。
……知らんけど。
そんな妄想をしながら、横にシャンパンゴールドの貝パールを置いてみる。
うん。
エレガント。
じゃあ反対側にターコイズ。
……なんで?
秋なのにターコイズ。
でも、これが妙にいい。
こういう女おるやろ。
全部を秋色でまとめない。
ブラウンのワンピース着てるのに、靴だけ真っ赤とか。
上品なバッグ持ってるのに、指輪だけなんかカジュアルとか。
「そこ、青入れるんや?」
っていうところに、平気な顔で青を入れてくる。
たぶん本人は、
「だって好きやから」
くらいしか考えてない。
そういうところが、いい。
というわけで完成したのが、
【女心と秋の空】
です。

秋の空みたいに、ころころ表情が変わる。
エレガントにもなるし、
ニットとデニムなら少しカジュアルにもなる。

でも、どこか一筋縄ではいかない。
……たぶん、このブレスレットを作ってる途中から、私は石じゃなくて女を見てたんやと思う。
天然石って不思議やな。
石を選んでるだけなのに、
その先にいる誰かまで勝手に作ってしまう。
さて。
このブレスレットを着けたあなたは、
今日は誰の心をコロコロ変えてみますか?

Elan
