50代、初めての海外一人旅で思ったこと

30年前の20代の頃から、
いつか一人で海外旅行に行きたいと思っていました。

なんとなく、
一人で行くってかっこいい。
自立している大人の女性。

そんなイメージがありました。

でも現実は、
時間がない、お金がない、英語ができない。

気づけば30年以上、
何も変わらないまま過ぎていました。


子育てが落ち着き、仕事を始めて、
海外に行けるくらいのお金はできました。

でも今度は、
「仕事があるから時間がない」

英語も、思い出したように勉強しては
続かないまま。

結局、
本気で行こうとはしていなかったんだと思います。


そんな中、仕事で心が壊れてしまい、
しばらく休むことになりました。

時間だけは、たっぷりある。

このまま同じ場所にいるのが苦しくて、
環境を変えたいと思いました。

そして
「自分にもできる」と思える何かに
挑戦したくなりました。

それで、
海外に行こうと決めました。


ところが、
パスポートがないことに気づき、慌てて申請。

出来上がる頃には、
気持ちはすっかり冷めていました。

行きたい場所もない。
英語にも自信がない。

「行っても意味がないかもしれない」

できない理由ばかり、
頭の中に並びました。


それでも家族に
「一人で海外に行ってくる」と言ってしまった自分がいて、
引き返せなくなりました。

子どもに「どこ行くの?」と聞かれて、

・直行便がある
・治安がいい
・自然が多い
・暑すぎず寒すぎない

そんな条件で選んだのが
オーストラリアのパースでした。


正直、
「行きたいから」ではなく
「引くに引けないから」でした。


そこから必死で調べました。

・携帯のつなげ方
・電車の乗り方
・ホテルへの行き方
・コーヒーの頼み方

これまで海外には何度も行っていたのに、
こんなに不安になったことはありませんでした。

今までは、
人任せで、旅行会社に頼りきりの旅だったんだと気づきました。

だから、どこか楽しめなかった。


今回は、本当に一人。

不安ばかりで、
準備も大変で、
途中で何度もやめたくなりました。


でも不思議なことに、
調べていくうちに
少しずつ自信が出てきました。

不安だったのは
「わからなかったから」でした。


行き方、場所、英語。

全部ノートにまとめて、
自分なりの“しおり”を作りました。

出発の頃には、
「もう行かなくてもいいかも」と思うくらい
詳しくなっていました。


それでも当日の朝、
足がすくみました。

成田空港に行くだけで怖い。

「日本からちゃんと出国できるかな」
そんな不安まで出てきました。


空港では、
保安検査で化粧水が引っかかり、
それだけで一気に不安が増しました。

水を買って、
ただひたすら緊張しながら待ちました。


飛行機に乗ると、
CAさんの優しさに少し救われました。

機内食を食べて、
少しだけ気持ちが落ち着きました。


そして到着。

「ここからは全部一人だ」

そう思った瞬間、
また緊張が戻ってきました。


入国審査は顔認証で終わり、
誰とも話さず通過。

でも検疫で長蛇の列。

その間に携帯をつなげようとしたけど、
うまくいかない。

周りは外国人ばかり。

その時、後ろから日本語が聞こえました。

若いカップル。

「この人たちに聞こうか」
「でも頼りたくない」

迷ったまま、声をかけられずに
前を向き続けました。


空港のWi-Fi設定案内を探したけど見つからない。

でも携帯の設定を見ると、
それらしい表示がある。

試しに接続してみる。

メールアドレスの入力があり、
そもそもメールが見られないから無理かもと思いながら
しばらく待っていると——

つながった。


その瞬間、思いました。

「一人でもできるかもしれない」

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