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私が会社を辞めた本当の理由

年商12億円規模の拠点を任されるようになってから、仕事は本当に充実していた。

売上も伸びていた。

採用もうまくいっていた。

仲間にも恵まれていた。

将来のことを考えても、会社を辞める理由なんて何一つなかったと思う。

少なくとも周りから見れば、順風満帆そのものに見えたはずだ。

でも、私は会社を辞めた。

今日は、その時の話を包み隠さず書こうと思う。



1. 順風満帆だったはずだった

起業に失敗し、プライドを捨てて会社員へ戻った。

そこから這い上がるようにして、神奈川拠点を任されるようになった。

採用に向き合った。

組織に向き合った。

営業にも向き合った。

結果として、拠点は月商1.1億円を超えるまでに大きく成長した。

もちろん、そこに至るまでの苦労やプレッシャーは並大抵のものではなかった。

でも、それ以上に毎日が最高に楽しかった。

自分自身がビジネスパーソンとして、日々アップデートされている確かな実感があった。



2. 大好きだった社長

私がそこまで狂ったように仕事に没頭できた最大の理由は、社長の存在だった。

私は、その社長のことが心から好きだった。

一人の人間としても。

組織を率いる経営者としても。

この人のために、仕事で圧倒的な結果を出したい。

この人を全力で支えたい。

この人の期待に、何が何でも応えたい。

お世辞でも何でもなく、心の底からそう思っていた。

社会人になってから、上司に対してここまで強い忠誠心やリスペクトを抱けた人は、他にはいない。

だからこそ、私にとって社長は本当に、代わりのきかない特別な存在だった。



3. 成長している実感があった

社長は、頼りない私を信じてくれた。

大きな挑戦をする機会を、何度も与えてくれた。

そして、それに伴う重い責任も一緒に預けてくれた。

だからこそ、私も120%の成果で応えたかった。

気付けば売上だけでなく、現場の仲間も増えた。

組織はどんどん大きくなっていった。

自分の視野も、世界も、あの場所で一気に広がった。

本当に、仕事が面白くて仕方がなかった。



4. 理解できなかった人事

そんな、すべてが満たされていたある日のことだった。

事業部門の責任者として、新しく一人の幹部が入ってくることになった。

もちろん、会社には人事権がある。

社長には社長の見据える未来があり、そのための考えがある。

頭では十分に理解していた。

組織人として、それに従うのが筋だということも分かっていた。

でも、私の心はどうしても納得できなかった。

その人の能力がどうこうではない。

経歴がどうこうでもない。

私には、社長が「なぜ、その人をそのポジションに選んだのか」という理由が、どうしても理解できなかった。

信じていた社長の判断基準が、自分の中でガラガラと音を立てて崩れていくような感覚だった。



5. 嫌いだから辞めたわけじゃない

今振り返っても、そう思う。

私は、新しく来たその人のことが苦手だった。

でも、嫌いだからという子供じみた理由で会社を辞めたわけではない。

会社組織に属していれば、好きな人もいれば苦手な人もいる。

そんなことは当たり前だ。

もしそれだけが理由なら、私は歯を食いしばってでも残っていただろう。

私が本当に苦しかったのは、人間関係ではなく、自分自身の「心の置き所」だった。

あれほど尊敬し、背中を追い続けてきた社長が、なぜその選択をしたのか。

何を求めて、何を信じてその決断を下したのか。

一番の心の支えであり、自分の原動力だった社長の「判断」に、どうしても共感できなくなってしまった。

その溝が、私の心を少しずつ、しかし確実に削っていった。



6. 今でも答えは出ていない

もちろん、黙って辞めたわけではない。

退職を決意する前に、社長とサシで何度も話し合った。

自分の正直な考えもぶつけた。

どうにかして納得したかった。

社長の真意を理解して、もう一度同じ方向を向いて走りたかった。

でも、最後まで私の中で納得のいく答えは見つからなかった。

そして私は、あれほど愛した会社を離れる決断をした。

あれから十分な時間が経った今でも、あの時の決断に完全に正解が出たとは思っていない。

もしかすると、自分がまた経営者になれば分かることなのかもしれない。

もっと歳を重ねて、人としての器が大きくなれば、平気な顔をして理解できることなのかもしれない。

でも、今の私には、まだあの時の社長の真意は分からないままだ。



7. 選択とは矛盾を受け入れること

会社を去る最後の日、社長からある言葉をもらった。

「選択とは、矛盾を受け入れることだ」

当時の私には、正直その言葉の真意がよく分からなかった。

でも、今は少しだけ分かる気がする。

何かを選べば、何かを失う。

全員が納得する、美しくて完璧な選択なんて、この世には存在しない。

経営とは、矛盾の中で決断し続けることだ。

人生もまた、同じだ。

あの時の社長も、表には出さない葛藤を抱えながら、何かを捨てて、何かを守るためにあの決断をしたのだと、今なら思える。

今でも、あの社長には感謝の気持ちしかない。

あの会社で学び、泥をすすりながら身につけた経験のすべてが、今の自分の確固たる土台になっている。

だから、会社を辞めたことを後悔しているわけでは決してない。

ただ、ふとした瞬間に、今でも考えることがある。

もし、あの時私が違う選択をしていたら。

大好きな社長を信じ抜いて、あの場所に残り続けていたら。

今とは違う、どんな未来があったのだろうかと。

そして私は、立ち止まることなく、再び新しい挑戦の道を選ぶことになる。

以前、一緒に仕事をして信頼を寄せていた方から「力を貸してほしい」と声を掛けてもらい、AI事業やアウトソーシング事業を展開する会社へ。

人生は、本当に何が起こるか分からない。

次回は、40歳まで大人しく会社員を続けるつもりだった私が、なぜ再び安定を捨て、この転職を決断したのかについて書こうと思う。

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