私が採用にこだわる理由。事業成長のボトルネックはいつも採用だった。
私は最初から、採用担当としてキャリアをスタートしたわけではない。
もともとの私は、バリバリの営業畑で育った人間だ。
毎日、耳が痛くなるほどテレアポの受話器を握りしめた。
足が棒になるまで、ひたすら飛び込み営業も繰り返した。
泥臭く新規開拓のリストを潰していく毎日だった。
だからこそ、昔の私は本気でこう信じて疑わなかった。
「会社を支え、売上を作っているのは、最前線にいる俺たち営業だ」と。
1. 採用担当としてキャリアを始めたわけではない
営業時代は、実際に自分で多くの契約を勝ち取ってきた。
寝ても覚めても数字を追い続け、目標を達成することだけにアドレナリンを燃やしていた。
営業こそが事業成長の絶対的な中心であり、花形である。
本気でそう思っていたからこそ、自分が初めて拠点の責任者(マネージャー)になった時、真っ先に考えた戦略も「営業組織の強化」だった。
営業がもっと強く、もっとガツガツ動けるようになれば、自ずと売上は右肩上がりに伸びていく。
そう信じて疑わなかったのだ。
2. 私は営業の人間だった
しかし、いざ拠点のトップとして現場の全体像を引いた目で見つめてみると、そこには奇妙な現実が広がっていた。
求める仕事はそこにある。
契約をくれるお客様もいる。
案件の数は、営業が走り回らなくても十分すぎるほど溢れている。
それなのに、なぜか拠点の全体の売上数字が全く伸びていない。
なぜだろう。
最初は本当に理由が分からなかった。営業のスキルが足りないのか、顧客へのアプローチが甘いのか、そんなことばかりをぐるぐると考えていた。
3. 売上を伸ばしたければ営業だと思っていた
当時の私には、まだ「一人の営業プレイヤー」としての狭い視野しか備わっていなかった。
売上が伸びないなら、もっと営業をかければいい。
もっと新しい契約を取ってこい。
もっと顧客の数を増やして、案件を積み上げろ。
そんな風に、力技で解決しようとしていた。
でも、どれだけ案件を増やしても、全体の数字はピクリとも動かなかった。現実は、私の営業脳が導き出した答えとは全く違う場所で、静かに詰まっていたのだ。
4. 現場で気付いた違和感
ある時、現場の稼働状況を細かく分析していて、ようやく一つの決定的な違和感に気がついた。
仕事がないのではない。
そこで「働く人」が、圧倒的に足りていないのだ。
人材派遣や請負というビジネスは、結局のところ、すべて「人」の稼働によって成り立っている。
どれだけ営業が天才的なトークでお客様から大量の仕事をもぎ取ってきたとしても、そこで実際に手を動かしてくれるスタッフがいなければ、売上は1円も発生しない。
「どれだけ受注しても、人が採れなければ、会社は成長できない」
それは、あまりにもシンプルで、だからこそ誰もが盲点になりやすい残酷な事実だった。
5. 採用が変わると事業が変わる
その本質に気づいてから、私はプライドを捨てて、採用という領域を徹底的に、科学するように見つめ直した。
ただ「求人を出す」という曖昧な作業をやめた。
応募数は今いくつあるのか。
そのうち、面接につながる「面接設定率」は何%か。
実際に面接に来てくれた「面接実施率」は。
そこからの「採用率」と、現場に根付く「定着率」はどれくらいか。
これまで営業マン時代には一度も見向きもしなかった「人に関わるすべての数字」を、営業のKPIと同じようにシビアに追うようになった。
求人の書き方を1行ずつ変えた。
面接でのスタッフへの寄り添い方を変えた。
現場に入った後のフォロー体制を仕組み化した。
すると、面白いように数字が動き始めた。
数字が変わると、集まる組織の空気が変わり、最終的には事業全体の売上が爆発的に伸びていった。
6. 採用は人事の仕事ではない
この経験を通じて、私は今でも強く確信していることがある。
採用活動というのは、決して「人事部」だけが裏方でやる仕事ではない。
それは「経営」そのものであり、「営業」であり、最前線の「現場」の戦いなのだ。
会社全体が一丸となって向き合うべき、最重要ミッションである。
採用が弱い会社は、どれだけビジネスモデルが優秀でも、いつか必ず人手不足で縮小していく。
逆に、採用が圧倒的に強い会社は、時代がどれだけ変化しても、人を軸にしてどこまでも伸びていく。
非常にシンプルだが、これこそがビジネスの逃れられない本質だと思う。
7. 私が採用にこだわる理由
私がこうして発信の中で「採用」を熱く語るのは、人事の専門家として教科書通りの理論を語りたいからではない。
採用のやり方ひとつで、死にかけていた事業が劇的に息を吹き返し、会社が変わっていく瞬間を、この目で何度も、生々しく目撃してきたからだ。
かつて月商2,000万〜3,000万円規模で頭打ちになっていた営業所が、月商1億円を超える巨大拠点へと大化けしたあの瞬間も、引き金になったのは営業力ではなく、間違いなく「採用の変革」だった。
結局、ビジネスの最後の勝負を決めるのは、いつだって「人(採用)」なのだ。
だからこそ、私は今でも採用というテーマに狂気的なまでにこだわり続けている。
そして、新しい挑戦の場に身を置くこれからは、
私が現場で血を流しながら学んできた「本当に人が採れる・定着する組織作りのリアル」や、
「AI」という新しい波が、これからの採用をどう劇的に、スマートに変革していくのかについても、出し惜しみなく発信していきたい。
採用が変われば、組織が変わる。組織が変われば、会社が変わる。
私は、本気でそう信じている。
