その教材、本当にあなたの「スピーキングレベル」に合っていますか?
先日、スピーキングを練習している生徒さんからこんな言葉がありました。
「今使っているテキスト、よく見たら“初級から”って書いてあるんです。英検4級、TOEIC300点くらいからって…。でも私、それすらまだ言えないんです」
その方は、以前TOEICで800点以上を取ったことがある英語力の高い方です。
だからこそ、
「800点以上取ったことがあるのに、こんな初級の英語も話せないなんて……」
と感じてしまったのかもしれません。
でも私は、全く気にする必要はないと思っています。
なぜかというと、
「知っている英語」と「使える英語」の間には、思っている以上に距離があるからです。

たとえば、
英文を読んで意味がわかる
聞いて意味がわかる
日本語を見て、自分で英文を作れる
会話の中で、瞬時にその英文が口から出る
状況に合わせて単語を入れ替え、応用できる
これらは、すべて違う段階です。
「中学英語があれば、日常会話はかなりできる」
そんな話を聞いたことがあるかもしれません。
でもそれは、中学英語を“学んだ”だけで話せるという意味ではありません。
知っている単語や文法を、自分から能動的に使えるところまで持っていく必要があります。
だから私は、スピーキング教材を選ぶときは、
「読んで理解できるレベル」より、思い切って難易度を下げていい
と思っています。

特にTOEICなどで高得点を取ってきた方ほど、難しい英文をたくさん読んできています。
でも、その感覚でスピーキング教材を選ぶと、
「これくらいはできないと」
「簡単な教材では成長できない気がする」
と、つい難しいものを選びがちなんです。
スピーチ原稿でも同じです。
土台となる英語力があるがゆえに、難しい単語や表現を使って「今の英語力に見合った原稿」を作ろうとしてしまう。
ところが、いざ覚えようとすると覚えられない。実際に話そうとすると口から出てこないんです。
(私も以前、通訳ガイド二次試験のためにスピーチ原稿を作っていたのですが、自身のスピーキング力よりもはるかに背伸びした内容だったので全然覚えられませんでした…)
これでは、せっかくの英語が「使える英語」になっていきません。

むしろ大切なのは、
簡単に見える英語を、たくさん使えるようにすること。
私自身、仕事で英語を使っていますが、生徒さんと取り組んでいる「初級から」と書かれた教材を見ても、
「このフレーズ、現場でも使えるな」
「これは瞬時に出てこないかも」
と思う表現がたくさんあります。
簡単な英文を読むことと、それを必要な瞬間にパッと使えることは、やっぱり別物なんですよね。
教材のレベルを下げることは、英語力を下げることではありません。
知識を「運用できる英語」に変えるために、負荷を調整しているだけ。
もし今、スピーキング教材を開いて、
「難しくて続かない」
「覚えても全然口から出てこない」
と感じているなら、一度思い切ってレベルを下げてみてください。
目安は、
「簡単に読める」ではなく、「考えなくても口から出せるようになりそうか」。
教材選びの基準をここに変えるだけでも、スピーキングの練習はずっと続けやすくなりますよ。
