【大人のハッピーイングリッシュ・単語帳を開く前に】成功へつながる質問3つ|1000件以上の学習相談から見えたこと
こんにちは。英語講師のNaokoです。
英語教材を簡単に手に入れられる時代になりましたね。
私が「英語を学ぼう!」と決意したころは、音声教材そのものが少なく、あっても高価でした。日本で生活しながら、生の英語を耳にする機会も、今ほど多くはありませんでした。
それを思うと、書籍だけでなく、アプリ、YouTube、オンライン英会話、AIを使った学習サービスまで、無料または手頃な価格で利用できる今の状況には、隔世の感があります。
魅力的な教材もたくさんあり、うらやましくもあります。
一方で、教材が豊富になったからこそ、
「結局、何をやればいいのかわからない」
「自分には、どの教材が合っているのだろう」
「いろいろ試しているのに、英語力がついた実感がない」
と迷う人も増えているのではないかと思います。
選択肢が増えたからといって、自分に合う教材を選びやすくなるとは限りません。むしろ、選択肢が多いほど、何を基準に選べばよいのかわからなくなることもあります。
1000件以上の学習相談を通して感じたこと
私はこれまで、保育所英語講師、小中学生を対象とした英語塾講師、小学校非常勤講師、中高生の家庭教師、大人向けオンライン英語講師として、幅広い年代の英語指導に携わってきました。
大人向けの指導では、英語を一から学び直したい方だけでなく、医師や研究者をはじめ、仕事で英語を必要とする専門職の方への指導も担当してきました。
これまでに行った大人の英語学習者へのコンサルテーションは、1000件を超えます。
また、英語を教える側としてだけでなく、研究所・大学病院・大学で、研究の現場に身を置いた経験もあります。
学校英語、受験英語、大人の学び直し、実際に仕事で使う英語。英語教育の入り口から、仕事や研究で英語を使う段階まで、さまざまな現場を経験してきました。
その経験を通して、私がはっきりと感じていることがあります。
それは、すべての人に同じ教材、同じ学習方法が適しているわけではないということ。
学ぶ目的や現在の英語力、得意・不得意、学習に使える時間によって、優先すべき内容や学ぶ順番、適した学習方法は変わります。
同時に、最終的な目的は違っても、実践的な英語力を身につけるために、多くの人に共通して必要となる土台もあります。
一人ひとりに合わせるべき部分と、多くの人に共通して必要となる土台。
その両方が必要なのです。
だから、教材を選ぶ前に、まず、自分が英語を学ぶ目的と、目指す英語力、現在の英語力を整理して欲しいと思います。
① 英語を使って、何ができるようになりたいのか
最初に考えたいのは、「何のために英語を学ぶのか」です。
旅行先で、必要なことを一通り伝えられるようになりたい。
外国人の友達を作り、気軽におしゃべりを楽しみたい。
仕事で英語を使えるようになりたい。
映画や海外ドラマを、字幕なしで楽しみたい。
洋書や海外の記事を読めるようになりたい。
TOEICや英検などの試験で、目標とする結果を出したい。
英語を学ぶ目的は、人によって異なります。
さらに、同じ「仕事で英語が必要」という場合でも、実際に求められる英語力はさまざまです。
英語で商談や交渉をする必要があるのか。
仕事に関係する限られた話題について、会話ができればよいのか。
英語で電話対応をする必要があるのか。
大量の文書を英語で読み書きするのか。
簡単なメールのやり取りができれば十分なのか。
また、英語を使う相手はネイティブスピーカーなのか、それとも、さまざまな国の人と英語を共通語として使うのか。
目的や状況によって、必要な語いも、優先して伸ばすべき技能も、効果的な学習方法も変わります。
「英語ができるようになりたい」という思いを、もう一歩具体的にしてみましょう。
自分は英語を使って、誰と、どのような場面で、何ができるようになりたいのか。
ここが明確になると、学習の方向が見えやすくなります。
② 自分に必要な英語力を「目的地」にする
「英語ができる」と聞くと、どのような話題でも、何の不自由もなくペラペラと話せる姿を思い浮かべる人が多いようです。
そして、そのレベルに達していなければ、「英語ができる」と言ってはいけないと思っている方も少なくありません。
もちろん、そこを目標にすることが悪いわけではありません。ただ、「英語ができるか、できないか」を二択で考える必要はないと、私は思います。
英語力には、さまざまな段階があります。
日々の仕事や生活がある大人にとって、英語学習に使える時間とエネルギーは限られています。必要以上に高く、漠然としたゴールを掲げていると、かなりの英語力が身についても、「自分はまだ英語ができない」と感じ続けることになります。
これまで多くの生徒さんと接する中で、よく聞いてきたのは、次のようなご希望です。
「日本で生活しているので、毎日英語を使うわけではない。けれど、英語が必要になったときには、基本的な会話ができるようになりたい」
「相手の言っていることを、ある程度聞き取れるようになりたい」
「映画や海外ドラマを、字幕なしで楽しめるようになりたい」
「洋書も読めるようになったらうれしい」
「基本的な内容であれば、間違いのない自然な英文を書けるようになりたい」
これは、おそらく多くの日本人が現実的に求めている英語力ではないでしょうか。
必ずしも、すべての人が、高度な商談や専門的な通訳ができるほどの英語力を求めているわけではありません。
英語が必要になったときに、相手の言っていることを理解し、自分の伝えたいことを誤解なく伝えられる。興味のある本や記事を読み、必要なメールや文章を書くことができる。
まずは、このような「実際の生活の中で使える英語力」を目指すことが、多くの大人にとって現実的なのではないかと考えています。
大切なのは、「何でもできる英語力」を漠然と追いかけるのではなく、自分がやりたいことを実現するには、どの程度の英語力が必要なのかを考えることです。
これが、英語学習の「目的地」になります。
もちろん、一度決めた目的地を、ずっと変えてはいけないわけではありません。学習を続ける中で、できることや興味の幅が広がり、「もう少し先まで進みたい」と思うこともあるでしょう。そのときには、さらに高度な英語力を新たな目的地として設定すればよいのです。
まずは、今の自分に必要な目的地を決め、そこに向かって進んでいきましょう。
③ 今の英語力という「現在地」を確認する
目的地を決めたら、次に確認するのは、自分の英語力の「現在地」です。
まったく知らない言語とは違い、多くの方は、すでに英単語やフレーズをある程度知っています。簡単な英文なら読める、短いやり取りならできるという方も多いでしょう。
それなら、「少しなら英語ができます」「流暢ではありませんが、ある程度はわかります」と言ってよいのではないでしょうか。
今できることを認めるのも、学習を続けるうえで大切なことです。
そのうえで、読む・聞く・話す・書くという技能を分けて、今の状態を確認してみます。
簡単な英文なら理解できるのか。
英文を読めばわかるけれど、音で聞くとわからないのか。
相手の話はある程度わかるけれど、自分から英文を作るのが難しいのか。
日常的な会話はできるけれど、仕事に必要な語いが不足しているのか。
時間をかければ書けるけれど、正確さに自信がないのか。
英語力は、「できる」「できない」の二択で判断できるものではありません。また、すべての技能が同じように伸びているとも限りません。
できないことを責めるためではなく、これから優先して伸ばす力を知るために、できていることと、今後伸ばしたいことの両方を整理します。
目的地と現在地がわかって初めて、その差を埋めるために、どの力を、どのような順番で伸ばせばよいのかが見えてきます。
英語学習を一本の木として考える
ここで、英語学習の全体像を、一本の木にたとえて考えてみましょう。
木の「根」にあたるのは、「英語を学ぼう」という意志です。
「英語を使って、こんなことができるようになりたい」という思いが根となり、学習を始め、続けていく力になります。
木の「幹」にあたるのが、目的にかかわらず必要となる、英語の基本的な仕組みと技能です。
たとえば、次のようなものです。
英語の仕組みを理解するための文法
日本語に訳し戻さず、英語の語順に沿って意味を捉えるリーディング
英語の音を聞くと同時に、意味を理解するためのリスニング
知っている語いや文の形を使って、自分の考えを伝えるスピーキング
基本的な内容を、正確で自然な英文にするライティング
旅行、仕事、試験、英語読書など、最終的な目的は違っても、この幹がしっかりしていれば、その先の学習を進めやすくなります。
そして、木の「枝」にあたるのが、それぞれの目的に合わせた学習です。
TOEICなどの試験対策、ビジネス英語、旅行英語、専門分野の英文読解、プレゼンテーション、通訳・翻訳などが、ここに当たります。
枝だけを急いで伸ばそうとしても、それを支える幹が細ければ、学んだことがなかなか定着せず、伸び悩みやすくなります。
反対に、幹をしっかり育てておけば、自分の目的に合わせて、必要な枝を無理なく、着実に伸ばしていくことができます。
現在地と目的地を比べるときには、「自分には、どの枝が必要か」だけでなく、「その枝を支える幹が育っているか」も確認する必要があります。
試験対策のテクニックを学んでも、英文そのものを正確に理解する力が不足していれば、思うように得点につながらないかもしれません。
英会話のフレーズをたくさん覚えても、英文の仕組みを理解していなければ、覚えた表現を応用するのは難しいかもしれません。
シャドーイングを繰り返しても、英語特有の音の出し方や音のつながり、強弱やリズムを知らなければ、聞こえてくる音を正確に捉え、再現するのは難しいかもしれません。
同じ教材でも、人によって得られる効果が異なるのは、その教材で伸ばせる力が、すべての人の課題に合うわけではないからです。

「目的」「目的地」「現在地」を整理してから、教材を選ぶ
ここまで整理して、ようやく教材選びに入ります。
教材は、英語力を身につけるための手段です。人気がある、評判がよいという理由だけで選ぶのではなく、次の点を確認してみてください。
自分の目的に合っているか
今の英語力で無理なく取り組めるか
今、優先して伸ばしたい力を補えるか
知識を学ぶだけでなく、実際に使う練習ができるか
自分の生活の中で続けられる分量と進め方か
また、教材を一冊終えること自体を、最終目標にしないことも大切です。
文法用語を覚えた。単語帳を一冊終えた。問題の正解を選べた。
もちろん、これらも必要な学習です。しかし、そこで終わるのではなく、身につけた知識を使って、
すばやく英文の意味を理解できる
相手の話を聞き取れる
自分で英文を組み立てられる
必要なことを相手に伝えられる
というところまでつなげることを目指したいものです。
英語は、知識として学ぶだけでは、なかなか使えるようになりません。
一方で、英語の仕組みや音の特徴といった土台を身につけないまま、フレーズや試験対策のテクニックだけを覚えても、総合的で実践的な英語力にはつながりにくいものです。
だからこそ、
「まず、英語の基本的な仕組みを理解する」
「その仕組みが使われている自然な英文に、たくさん触れる」
「学んだことを使って、実際に英語を使ってみる」
という流れで学ぶことが大切です。
教材を探す前に、自分が英語を学ぶ「目的」、必要な英語力という「目的地」、現在の英語力という「現在地」を整理する。そのうえで、今の自分が優先して伸ばすべき力を見極め、それに合った教材を選ぶ。
それが、たくさんの教材に振り回されず、自分に必要な英語力を着実に育てていくための出発点です。
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