「網内人」
新聞で宮部みゆき先生が書評を書かれていたので、気になって読んだ初華文ミステリ。
ネットに潜む獣を撃て! 華文ミステリーの最高峰 飛び降り自殺した中学生の妹。背後にネットに潜むどす黒い悪意があることを知った姉はネット専門の凄腕探偵とともに敵を追い詰める。
陳浩基 著、玉田誠 訳
文藝春秋Books 作品紹介ページより
著者の陳浩基さんは、2011年に「世界を売った男」という作品で、第2回島田荘司推理小説賞受賞、さらに、2014年の「13・67」は世界的に高い評価を受け、2017年に日本語版が刊行されると「週刊文春ミステリーベスト10」、「本格ミステリ・ベスト10」の海外部門で第1位を獲得された新進気鋭の香港人作家だ。
華文ミステリは初めてなので、うまく世界観に入り込めるかなと思ったのは杞憂だった。
まるでジェットコースターに乗ったように次から次へと情報が押し寄せて、奥行きがあって魅力的で一筋縄ではいかない性格の登場人物たちが動き回り、ページをめくる手が止まらなく、終わらないで〜と思いながら物語はあっと驚く形で幕を終えるかと思ったら、作者あとがきでこの「網内人」をシリーズ化する構想があるとのことで、今から待ち遠しい限り。
「網内人」というタイトルは、著者の造語で、中国語でインターネットを「網路」または「網絡」と呼ぶことから、ネットの中で棲息する人々のことを指すそうだ。
本書の舞台は香港だが、舞台を他の国に移しても、違和感がないと思う。
ネットの中の匿名の悪意、正義感に背筋が寒くなること請け合い。
インターネットが日本に入ってくる前に生まれていた自分は、インターネット以前の世界を知っているから、インターネットの世界との境界を意識せざるを得ない。
だから、ネットの世界観を背景に持つ物語は、これまではどこか架空の未来のお話と思って読んでいた。
けれど、本書の内容は現実の世界との境界が曖昧に混じり合っているからか、読後にぞわりとするなんとも言えない恐ろしさが残る。
宮部みゆき先生が書評で、読み終わった後にワンタン麺が食べたくなるってお書きになっていたけど、本当に食べたくなるので、空腹時に読むのは避けたほうがよく、寝る前に読むと続きが気になって仕方ないので、明日はお休みで特に予定がない日に一気読みがおすすめ。
