「見て見て!」とはしゃいだあの日。それが人生最後のプレゼントになるとは知らずに。
小学二年の秋、
親から小さな黄色い付箋と、シャープペンシルをもらった。
テーブルに並んだ料理やケーキの記憶はおぼろげだが、
「見て見て!」とはしゃぎながら、
その付箋に何度も落書きをしたことだけは、今でも鮮明に覚えている。
嬉しくて、楽しくて、少し舞い上がっていた。
貧しいながらにも、笑顔があった。
確かに、そこに「幸せ」があった。
けれど、あの日にもらったプレゼントが、人生で最後の誕生日プレゼントになった。
その翌年から、プレゼントはなくなった。
いや、誕生日そのものが、人生から消えた。
クリスマスもなくなった。
お正月も、お年玉も、
マンガも、テレビも、
何もかもが静かに消えていった。
そのとき私はまだ幼すぎて、
それが「信仰のはじまり」だとは知らなかった。
一人の少年の「エホバの証人二世」としての人生は、気付くこともなく始まっていた。
