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SanDisk $SNDK、 売上4.7倍で原価はマイナス1.4% | メモリが循環商品をやめる途中で、市場が読み飛ばした1行

2026年8月5日、午後4時5分。SanDisk($SNDK)の決算が出た。

四半期の売上は89億6,500万ドル。前年同期の19億100万ドルから372%増粗利率84.6%。GAAP希薄化後EPSは43.97ドル。前年同期は0.16ドルの赤字だった企業の、同じ四半期の数字だ。

そして翌朝、8月6日のアジア市場。キオクシアホールディングス(285A)9.67%下がった。SK hynix($SKHY)10.52%下がった。SanDisk自身も、決算発表前の8月5日の取引で5.40%下げて1,350.50ドルで引けている。7月1日の2,032.22ドルから、1ヶ月で33.5%減った水準だ。

史上最高の決算を出した企業の、製造を共有する相方が、その翌朝に10%売られる、この四半期を説明している行は、売上ではない。そのすぐ下だ。

売上原価が13億8,300万ドル。前年同期は14億300万ドルだった。2,000万ドル、減っている

売上が70億6,400万ドル増えた四半期に、作るための原価が1.4%減った。

(これはこれは…色んな意味に取れる…面白い)

この記事は、市場が今、今回の決算をどういった意味で読んだのかを追う話だ。そして同じ開示資料の1ページ目に、市場が読み飛ばした一行が、もう一つがある。では早速見ていこう。

原価が動かないと、粗利はどうなるか

この四半期に何が起きたのかを分解する。

売上は19億100万ドルから89億6,500万ドルへ、70億6,400万ドル増えた。原価は14億300万ドルから13億8,300万ドルへ、2,000万ドル減った。結果、粗利は4億9,800万ドルから75億8,200万ドルになった。

増えた粗利は70億8,400万ドル。売上の増加額より、粗利の増加額のほうが大きい。原価が減った分だけ、粗利の伸びが売上の伸びを追い越す。

売上は19億100万ドルから89億6,500万ドルへ、原価は14億300万ドルから13億8,300万ドルへ減った

粗利率で言えば、26.2%から84.6%へ。58.4ポイントの改善だ。

半導体メーカーの粗利率が84.6%というのは、通常あり得ない水準だ。設計だけを売るファブレス企業ならこの水準はあるが、SanDiskは物理的なフラッシュメモリを売っている。工場から出てきた製品に、8割超の粗利が乗る。

なぜこうなるのか。会社自身が3ヶ月前の四半期報告書で、機構をそのまま書いている。2026年4月3日締めの10-Qにはこうある。

2026年4月3日締めの3ヶ月間で、純売上は前年同期比251%増加した。主にギガバイト当たり平均販売価格(ASP)の248%上昇による。販売エクサバイトは前年同期から横ばいだった。

出典: Sandisk Corporation, Form 10-Q(2026年4月3日締め)Results of Operations

同じ量のフラッシュメモリが工場から出て、3.5倍近い値段で売れた。

原価は、工場から出るウェハの枚数で決まる。値段は、市場で決まる。この2つが切り離されているから、量が動かないまま値段だけ3.5倍になれば、原価は動かず粗利だけが膨らむ。

これが84.6%の正体だ。魔法ではなく、価格の関数だ。

販売エクサバイトは前年同期比で横ばい、ギガバイト当たり平均販売価格は248%上昇

ここで正確に押さえておきたいことがある。「エクサバイトは横ばい」は3ヶ月の比較の話で、9ヶ月では違う。同じ10-Qは、9ヶ月累計ではASPが76%上昇し、エクサバイトが18%増えたと書いている。量はゼロ成長ではない。前年同期並みに戻った四半期があった、というのが実態だ。

そしてもう一つ。データセンター向けだけを切り出すと、3ヶ月で売上が645%増え、その内訳はASPが186%上昇、エクサバイトは160%増だった。全体の量が横ばいで、データセンターの量が2.6倍になっているなら、ビットはどこかから引き抜かれている

引き抜かれた先は、四半期の売上表を横に見ればわかる。

エンドマーケット別の売上(2026年7月3日締め四半期、前四半期比)はこうなっている。

① データセンター 29億7,700万ドル

前四半期14億6,700万ドルから103%増。前年同期は2億1,300万ドルで、比較が意味を持たない伸び。

② エッジ 54億3,200万ドル

前四半期36億6,300万ドルから48%増。前年同期比では392%増。

③ コンシューマー 5億5,600万ドル

前四半期8億2,000万ドルから32%減。前年同期5億8,500万ドルに対しても5%減。

会社全体の価格が上がり続けた四半期に、金額で縮んだのはコンシューマーだけだ。

データセンター29億7,700万ドルとエッジ54億3,200万ドルが伸び、コンシューマー5億5,600万ドルだけが32%減

SDカードやUSBメモリを買う個人は、メモリ価格が3.5倍になったからといって3.5倍払わない。買うのをやめる。だから同じビットは、払ってくれる相手に回される。価格転嫁の限界が最初に出る場所が、この5億5,600万ドルの行だ。

コンシューマー売上は前四半期8億2,000万ドルから5億5,600万ドルへ縮小

ここまでが、決算のいちばん明るい面と、その裏側だ。史上最高益は価格が作った。そして価格が届かない場所から、ビットは引き上げられている。

では、なぜSanDiskを始めとしたメモリ銘柄は売られたのか?

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