CPUは死んでいなかった | 真の勝者を、CPU本体・メモリ・関所の3軸で読み解く
2026年4月23日、Intel (INTC)が記録的なQ1 2026決算を出した。特に CEO Lip-Bu Tanの以下のコメントが決算カンファレンスの中で強烈だった。
CPUは、AI時代に不可欠な基盤として再登場している。これは我々の希望的観測ではなく、顧客から実際に聞いている話だ。
CPU:GPU比率は1:8から1:4へ縮まり、Lip-Bu Tanは「parity(1:1)あるいはCPU優位の方向に向かう」と明言した。Intelの決算後、株価は+24%急騰。AI関連事業は売上の60%を占め、前年同期比+40%の成長。Googleとの3-5年の長期契約を含む、複数の長期供給契約も締結された。
その2週間後の5月5日、今度はAMD (AMD) がQ1 2026決算を公開した。
データセンター部門の売上は$5.8B、前年同期比+57%。EPYCサーバCPUの売上が、クラウドとエンタープライズの両方で50%超の増加。経営陣は、Q2 2026のサーバCPU売上が前年同期比+70%を見込むと公表した。Metaが、6世代EPYC「Venice」と「Verano」のリードカスタマーになることも明らかになった。
そしてさらに翌々日、5月7日にはARM (ARM) がQ4 FYE26決算を発表した。
通年売上 $4.92B、+23% YoY。データセンターロイヤリティは「前年比2倍になった、今期もさらに2倍を見込む」とCEO Rene Haasが明言。ARMは「AGI CPU」と命名した自社設計の初のデータセンターCPUの出荷を発表し、2027-2028年に$2B+の顧客需要を確保していると公表した。同社は、2031年までにチップ売上だけで$15Bを目指すと長期計画を提示している。
Intel、AMD、ARM、3社のCEOが、3週間のうちに同じことを言った。
「CPUは死んでいない。それどころか、AI推論とエージェント時代の主役として、再びデータセンターの中心に戻ってきている」と。
だが、ここで立ち止まって考えたい。
Intel、AMD、ARMがCPUシリコンの覇権を争っているあいだ、CPU 1個が世に出るために必ず通らなければならない、いくつかの物理的な工程がある。そこに座って、出荷数量に比例して確実に収益を得ている徴税とも言える企業群がいる。Q1 2026の3社決算が描いた現実と、その先に1年後何が起きるかを冷静に予測した上で、その関所に座る企業を順に見ていく。
…ここで、先に正直に書いておく。
この論考を書き始めたときの仮説は、「CPU需要爆発の本当の勝者は、CPU本体ではなく、関所に座る隠れた寡占企業だ」だった。シンプルで、気持ちのいい逆張りだ。
ところが、決算データを並べ、分析を重ねるうちに、答えは少しずつ別の場所に着地した。
主役は1グループではなく、3〜4グループに割れた。
隠れた関所企業はいる。だが「最大の勝者」は、市場が既に強烈に注目している別の場所にいた。本稿は、このCPU需要爆発による「最大の勝者」に焦点を当てた分析と考察を積み重ねた約5万字の解説記事となる。ちょっと長い記事となってしまったが、時間があるときにゆっくりと読み進めていっていだければと思う。
ではまずは、今回のCPU需要爆発が起きた背景から解説していこう。
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