NVIDIAが取りにきたのは、シェアではなく規格だった | メモリの設計図と、300万のモデルが積まれた場所 $NVDA
2026年8月26日、水曜日。米国市場の引け後に、NVIDIA(NVDA)が2027年度第2四半期の決算を出した。
💡 NVIDIA Corporation $NVDA Q2 FY2027決算 2026-08-26
— FabyΔ (@FABYMETAL4) August 26, 2026
💰 今四半期業績
- 🟢 EPS:$2.22 (予想$2.09)
- 🟢 売上高:$96.22B (予想$92.27B)
📊 重要指標
- 🟢 Data Center売上高:$89.0B (YoY+117%, QoQ+18%)
- 🟢 Edge Computing売上高:$7.2B (YoY+27%, QoQ+13%)
- 🟢 Non-GAAP粗利益率:75.0%… pic.twitter.com/GYsw1Bzriv
数字は良かった。
売上962億ドル、前年同期比106%増。前年比の伸び率が加速したのは、これで4四半期連続になる。データセンターが890億ドルで、全社売上の92.5%を占めた。Non-GAAP EPSは2.22ドルで、市場予想の2.09ドルを上回っている。
しかし、市場が最初にみたのは、そこではない。
粗利率だった。第2四半期の実績75.0%が、第3四半期に74.0%へ落ち、第4四半期には71〜72%まで沈む。CFOのColette Kressは理由を明言した。メモリの価格だ、と。
そして、この会社がこれまで一度もやらなかったことを、一つだけ行った。1年先のガイダンスの公表だ。2028年度の売上は、前年比で約70%増える見通しだと置いた。
良い決算とガイダンスにコストの警告が付いた、という読み方をすれば、それで話は終わりだ。
ところが、同じ日にNVIDIAに関して、意外な発表と報道があった。
💡NVIDIA、カスタムメモリ「NVHBM」を発表 | メモリコントローラをHBMベースダイへ移設、帯域30%増・電力15%減 $NVDA
— FabyΔ (@FABYMETAL4) August 26, 2026
NVIDIA $NVDA は8月26日、NVLink Fusion の拡張として独自の高帯域メモリ技術 NVHBM… pic.twitter.com/YRa9qntZu3
一つはNVHBMという技術発表だ。HBMのメモリコントローラを、演算チップのダイからメモリ側のベースダイへ移す設計になっている。そして注目すべきは、NVIDIAがこれを自社で製造すると言っていないことだ。標準実装を自分で策定し、複数のメモリメーカーがそれに従って供給する形にする、というものだ。
💡NVIDIA、Hugging Face 買収で交渉 | 評価額130億ドル超 $NVDA
— FabyΔ (@FABYMETAL4) August 27, 2026
NVIDIA $NVDA が、オープンソースモデルの共有基盤である Hugging Face の買収に向けて交渉を進めていることが明らかになった。Business Insider… pic.twitter.com/IYyuJWmcyD
もう一つは買収報道だった。The Informationが、NVIDIAがHugging Faceを129億ドルで買収することに合意したと伝えた。Hugging FaceはオープンソースのAIモデルが世界中から集まる場所で、300万を超えるモデルが置かれている。年間経常収益は1億ドルほど。利用者の97%は一円も払っていない。
ここで違和感が残る。
決算の数字だけを追っていると、この会社はコストに押されているように見える。粗利率を3ポイント以上削られ、部品の値上げを全額は転嫁できていない。売り手として世界最強クラスの価格決定力を持つ会社が、メモリメーカーの言い値を飲んでいるように写る。
だが、同じ日に出た二つの発表は、コストに押されている会社の動きではない。
メモリの設計仕様を自分で決めて、他社に作らせる。オープンモデルが集まる場所を買う。どちらも、目先の粗利率には一円も効かない。効いてくるのは数年先だ。
粗利率を削られている当の四半期に、なぜ数年先の標準を取りに行くのか。
この1日に出たものを並べ直して、感じたことが一つある。
NVIDIAが取りに行っているのは、もうチップのシェアではない。AIインフラの各層で、みんなが従う形、つまり「規格」そのものだ。
メモリだけの話ではない。相互接続にはNVLink Fusionがあり、他社のカスタムチップを自社のラックへ迎え入れている。モデルの流通にはHugging Faceがある。資本の流れにも、6つの金融機関と組んだ5,000億ドル超の枠を用意した。
自分で全部を作るのではなく、通り道を持つ。同じ形態が何度も出てくることに気が付く。
本記事の前半では、Q2 FY2027の決算を分解する。数字の並びには、この会社が何を先に買ったかがそのまま出ている。後半では、同じ1日に出た発表を層ごとに並べ直す。演算、相互接続、メモリ、モデル、そして資本。5つの層で何が起きたのかを追うと、NVIDIAがどこに立とうとしているのかが見えてくる。今後の投資判断の参考となれば幸いだ。
なお、決算発表とQ&Aの全文日本語訳についてはXのサブスクメンバー向けに公開している。良ければ、合わせて参照してもらえたらと思う。
https://x.com/FABYMETAL4/status/2092744380914483533?s=20
加速は、まだ止まっていない: Q2 FY2027を分解する
では、早速決算の中身を見ていく。
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