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設計者のアウトプットは図面、部品表、設変 #149

はる、『設計者のアウトプットは図面、部品表、設変(ECN)』これは社会人3年目の頃にO野部長が良く言われていたこと。
O野部長はいつも正論と理想論を振りかざすタイプで煙たがられていた。


ただ、お父さんはタイトルの言葉だけは腑に落ちた。
なぜなら、その3つ(本来業務)以外の仕事が多すぎたから。


説明用の資料作成、社内打ち合わせ・報告、取引先との打ち合わせ・報告、試作発注、試験計画打ち合わせ、試験立ち会い、試験後品の回収・調査・報告、実車の不具合確認・調査・報告、試乗評価、不具合対策検討・報告、法規や規格の調査、法規適合確認、認証資料作成、認証試験立ち会い、社内規格の改訂、他社ベンチマーク、デザインレビュー、クオリティレビューなど。
挙げればキリがないけど、本来業務とつながっているものも、そうでないものも当時は不可欠の仕事と思っていた。


ただ、新機種開発と量産機の品質対応を並行してやっているのはどう考えてもおかしいとお父さんも周りの人たちも思っていた。

品質対応にリソースを喰われると新機種開発のほうが手薄になる。
結果、詰めが甘いまま次の開発ステージに進み、問題が頻発する。

本来、開発ステージが進む毎に問題の数は減り、必要なリソースも減るはずなのに、本型(量産用金型)を起こしてからも問題が多いままで、設変が増えていくおかしなことが続いていた。
本型以降のコストアップ設変はかなり上のレベルまで承認を取る必要があり、これも工数を要した。
原因は前ステージで問題を発見できていなかった、あるいは対策が甘くて再発したから。

量産が始まってから見つかった不具合に対して所属人員総出で工場のプールや各地の納車整備センターに飛んでいって連日行う組替作業を『祭り』と呼んでいた。
この『祭り』に参加するのが大好きで張り切ってイキイキする上司もいた。
他人がやらかした『祭り』に参加するのは気楽で楽しかったけど、主催者側になると肩身が狭かった。
こんな悪循環のエンドレスループだった。

話を戻すと『祭り』も『図面、部品表、設変(ECN)』ではない。
O野部長が唱えた原則は、現実とマッチしなかった。

その数年後に新機種開発と品質対応はきっちり分離されて、その点は改善された。
ただ、そのかわりにお父さんは新機種開発を最大3機種かけ持ちすることになった。

なんでやねーん!

ずっこけた。
「この状況なんとかなりませんかね?」と聞くと「人が1割減っても、みんなが110%の仕事をすればカバーできる」とわけのわからない単純計算&根性論を持ち出すクソ管理職もいた。
1%足りてないし、元からキャパオーバーの120%で働いとるわい。


20代後半〜30代前半(中堅)の離職ラッシュと、係長クラスの離職が重なり阿鼻叫喚の地獄絵図だった。
自分も辞めてトドメを刺してやろうかと思ったが踏みとどまった。まだ夢を叶えていなかったから。

その後、新機種開発が順次完了し、3機種が2機種になり、やがて1機種になり、ようやくO野部長の言う『設計者のアウトプットは図面、部品表、設変』を有言実行できる環境になった。

O野部長の言っていたことは正しかった。
適切な人員配置と業務の割り振りができれば(キャパオーバーやギリギリではなく、余裕を持った開発リソースを確保できれば)、働く人も精神的、肉体的に余裕をもって、原理原則に従った無理のない設計開発ができる。

無理のない開発日程も大事。
(全てが1発でうまくいく前提の開発日程はすぐに破綻し、良くない辻褄合わせが始まる)

結果として手戻りが少なく、ストレスフリーでお客さまに喜ばれる良い製品開発ができる。

これは管理側でしかコントロールできない要素が多い。

下々の者たちに原理原則に基づく仕事を求めるのであれば、自分たちも原理原則に基づくマネジメントをしないと辻褄が合わないということをご理解いただける管理職の皆さまが増えてくれるとお父さんはうれしいです。

この会社では本当に幅広いことを見て触って体験し、色々失敗しましたが、最後には自分が作りたかったモノを組み込んだクルマを世に送り出すことができ、積年の夢を叶えられました。
約11年間、周りの人々にずっと助けてもらって、幸せな設計者として過ごせました。
ありがとう、ありがとう。


この記事を読むとメチャクチャやんと思われるかもしれませんが、メチャクチャでした。
あの時代はメチャクチャやけどしゃーないかと文句や愚痴を垂れながらも、係長やチームのメンバー、ハマちゃんらと一緒に日々みんな楽しく夜22時半まで仕事しておりました。

その後、やよい軒かラーメン屋か吉野家で遅すぎる夕食を食べるのが日課でした。

40歳を過ぎ家族持ちになった今は、こんな生活はできません。18時に帰宅しています。
二度と戻りたくはないけど、時々思い出してあの頃は楽しかったなぁと浸っています。


約2000文字。
長かったけど特にオチはありませんよ🚗

パワー!