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単なるクセじゃない。子どもの性器いじりの話

小さい頃、私は下唇をチュッチュと吸う癖がありました。


親からは「みっともない」「口!」と、いつもきつく叱られていました。それでもやめられなくて、叩かれることもありました。唇の下は、いつも茶色くカサカサになっていました。

唇を吸うと、なぜか落ち着いたんです。今は、それをしたいとは思いません。小学校低学年くらいまでは続いていたと思います。

大人になって、感覚統合を学んで、ようやくわかりました。あれは単なる「クセ」ではなく、「感覚欲求」であり、感覚の「自己調整」だったんだと思います。

書籍『子どもの困ったクセが消える 触覚の育て方』(上野清香著)によると、指しゃぶりや唇吸いのような口を使ったクセは、単なるクセではなく、いくつかの生理的なメカニズムが関わっているとされています。舌や口蓋への圧刺激、吸うというリズム運動によって、副交感神経の迷走神経が働き、安心感が高まる仕組みがあるそうです。

私が唇を吸うことで落ち着いていたのは、まさにこの、自分で自分を落ち着かせるための、身体の仕組みだったんだと思います。大人の貧乏ゆすりと、同じような役割だったんじゃないでしょうか。

性器を触る子への支援で感じた疑問


今、私が働いている施設で、性器を触る行動が見られる子がいます。

「社会的にアウトだから」と、その行動をやめさせようとして、注意や叱責を繰り返している職員がいました。「注意しても注意してもやめない」と、その職員は嘆いていました。保護者にもそのことを伝えていて、対策として、ぴったりした長ズボンを履かせるようになりました。

これって、どうなんだろう、と思いました。

身体拘束ではないけれど、この暑い時期に、本人の意思と関係なく、ぴったりした長ズボンを履かせ続けること。それは、少しグレーな対応なんじゃないかと感じました。
「✕」の絵カードで「悪いこと」だと教えるやり方も、その絵カード自体が、本人にとって嫌な記憶と結びついてしまわないか、心配になります。

同じ支援者として、疑問だらけでした。

そこで、その職員に「感覚欲求」の話をして、代わりになる刺激を提案してみました。

先ほどの書籍でも、性器は触覚神経が集中していて、確実に強い感覚が得られる部位だと説明されています。何かの拍子に性器に触れた時に、「ちゃんと感じられる」経験をしたことがきっかけで、その場所を求めるようになることがある、とも書かれています。そして、決して性的な意味があるわけではなく、指しゃぶりと同様に、わかりやすい快感を求めているだけで、それほど心配することではない、とも述べられています。

つまり、その子は、社会的にダメな行動を、わざとしているわけではありません。これは、触覚の「くせ」であり、感覚を求める、自然な行動だったんです。

注意や叱責を繰り返して、頭で「ダメ」と理解させようとしても、あまり意味がないことが多いです。それよりも、感覚という視点に目を向けてほしいと思います。感覚の土台を育てる、触覚を育てるために、私たち大人には何ができるのか。そこを一緒に考えていきたいんです。

注意や叱責を繰り返して行動を変えさせるのではなく、楽しく遊んでいたら、気づいたらいい行動が増えていた——そんな支援を、これからもしていきたいと思っています。
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参考文献
上野清香『子どもの困ったクセが消える 触覚の育て方』(すばる舎)

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