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コンビニ夜勤…常連客の秘密

前作「コンビニ夜勤…自動ドア」に登場した、
裏のスナック「タヌキ」の店長。

通称、店長。

この人も、俺が夜勤をしていたコンビニの常連さんだった。

見た目は……ハゲのおっちゃん!
今で言う、お笑い芸人のどぶろっくさん。
体型も、身長も同じぐらいかも。
でも、下ネタは言わない人でした。

多分、当時……50歳になってなかったと思う
すごく優しい話し方だったような……
(残念ながら、声も忘れてしまった)

とにかく、いつも笑顔で、話し方も穏やか。

スナック「タヌキ」では、店長が
食べ物や飲み物を作っていた。

そして、店のママが実の奥さん。

夫婦でスナックを経営している。

なんとも不思議な夫婦だった。

タヌキには、女性のバイトが2人いた。

店長夫婦に、子供がいないが、姪っ子が
いるらしく、仕事を終えて、コンビニに
寄ってくれる時は、なぜか?
いつも姪っ子の話しが多かった。

姪っ子のことが、とにかく可愛いらしい。

写真を見せてもらったことはなかった。

でも、姪っ子の話は何度も聞いた。
大学生で、俺と同じくらいの年齢。
二駅先に住んでいる。

そして店長は、
会うたびに俺へ聞いてくる。

「今、何が流行ってるの?」
「若い子は、どんな音楽聴いてるの?」

俺に聞いても、
そんなに詳しいわけではない。

それでも店長は、
姪っ子のためなのか、
流行りの話をよく聞いてきた。

そして……
同じ話を何度も聞いた。

「昔は、よく来てくれたんだよ」
「中学生になる前なんて、正月、
ゴールデンウィーク、夏休み、冬休みって、
しょっちゅう来てたのなぁ」

その話しを、何回聞いたか分からない。
でも、それだけ姪っ子が可愛いのだろう。

そんな店長には……秘密があった。

     少女漫画が大好き。

今なら、別に何ともない。
男性が少女漫画を読んでいても、
普通のことだと思う。

でも、当時は違った。

少なくとも、大人の男性が、
好きで少女漫画を読んでいるなんて、
あまり言いづらい時代だった。

その秘密を知っていたのは、奥さんだけ。
店の女の子たちにも、姪っ子にも内緒。

   っということになっていた……

家には、大量の少女漫画があるらしい。
もともとは、姪っ子が家に遊びに来た時に、
「漫画がいっぱいあったら喜ぶだろう」

という理由で集め始めた。

ところが、気が付いたら、
自分がハマってしまったらしい。

そして毎週、少女漫画の週刊誌を買っていた。

ただし……

店長は、自分の事は棚にあげ、
「この本は、うちの奥さんが読むんだよ」
っと、いかにも、奥さんが少女漫画好き
みたいな顔をしていた。

でも実際に読んでいたのは……
       店長!

そんな店長の秘密を、
俺が知ることになった理由。

実は……

その姪っ子。

俺の知っている女性だった!!

いや。

正確には、
知っているどころではなかった。

普通に一緒に遊んでいた。

ただ、この時点では、
まったく気付いていなかった。

俺は当時、
コンビニ以外にもバイトを掛け持ちで、
飲食店のバイトをしていた。
(裏の厨房で作っていた)

同じ飲食店でバイトしてた、
一つ年下の短大生がいた。

名前は、ゆみちゃん。
そして、そのゆみちゃんと、
ものすごく仲が良かった友達がいた。

ゆみちゃんいわく、天然ボケのひーちゃん。

ひーちゃんは、バイト仲間ではない。

でも、なぜか?ゆみちゃんがバイトの日。
ひーちゃんも来ている事が多く、店の中で
飲料を飲みながら、ゆみちゃんのバイトが
終わるまで、待っていた。

そして何度か、俺たちバイト仲間数人と、
ゆみちゃんとひーちゃんで、遊びに行った

カラオケ。
ボーリング。
ファミレス。

普通に遊んでいた。

そんなある日。

ひーちゃんが言った。
「今度、おじが誕生日なんですよ」

「へぇ」

「サプライズ考えてて」

そして続けた。

「うちのおじ、少女漫画が大好きな変わった人なんですよ」

俺は漫画を読まないので、少女漫画の面白さは
分からなかった。

まぁ〜でも、世の中には、少女漫画が好きな
おじさんもいるんだろうなぁ〜
ただ、それだけ。

この時点で、
コンビニの常連であるタヌ店と、
目の前にいるひーちゃんが、
おじと姪っ子の関係だなんて、
気付くわけがなかった。

その後。

ひーちゃんから頼まれた。

「大量に少女漫画を買うから、本屋まで車で
連れてってくれませんか?」

当時、バイト仲間で車を持っていたのは、
俺だけだった。

なので、「いいよ」っと、普通に承諾した。

俺は車に、ひーちゃんを乗せて本屋へ行った。

そして……

少女漫画を大量購入。
本当に大量だった。

買ったのはいい。
ところが、ひーちゃんが言った。

「これ、内緒にしたいから、しばらく車の中に
隠しておいてほしい」

これも、「いいよ」っと承諾した。

車のトランクに大量の少女漫画を入れる俺。

んっ?  なんか俺も怪しい人みたいだ。
漫画の内容は、俺にはよく分からない。

そして後日…

ひーちゃんから、
「サプライズする日が決まった」
っと連絡が来た。

その日、俺はコンビニの夜勤当番ではなかった。

ひーちゃんが買った漫画は重い。
なので俺は、
「届けてあげるよ」っと言った。

すると、ひーちゃん。

「おじ、駅の近くで働いてるから、コンビニの
近くで降ろしてくれれば大丈夫」っと言う。

俺は聞いた。

「どこのコンビニ?」

ひーちゃんが答えた。

……まさかの、俺がバイトしているコンビニ。

一瞬、
意味が分からなかった。

「えっ? おじさん、何の仕事してるの?」

すると、ひーちゃんが言った。
「コンビニの裏のタヌキ」

……えっ?  タヌキ?

俺は、ここで初めて気付いた。

「ちょっと待って」

「えっ?」

「おじさんって……タヌキの店長?」

「そうだよ。 知ってるの?」

「知ってるって言うか、常連だし」

マジか!

知ったの……サプライズ当日。

少女漫画を、
俺の車のトランクに積んだまま。
俺は思った。

これは面白い!

ということで……

車は、コンビニの駐車場に停めた。

そして俺も、ひーちゃんと一緒に、
初めて「タヌキ」に入った。

店長。
そして奥さん。

二人とも、
ものすごく驚いていた。

そりゃそうだ。

タヌ店激愛の姪っ子と、金髪ロン毛の俺が
何の連絡もなく、タヌ店 誕生日の日に、
一緒に店に入って来たのだから。

しかも、2人で
大量の少女漫画を抱えて……

奥さんが、血相を変えて言った。

   「あんた達……どういう関係?」

店長も、目の色を変え、同じような
顔をしている。

すると、ひーちゃんが、俺をチラッと見て
笑顔で、まさかの事を言う!

「こ〜いう関係」……っと。

まて、まて、まて……
誤解される。

こ〜いう関係って!
何もないし、
違う、違う、

俺も、えっ?? って感じで、
固まる。

すると、ひーちゃん
「どう言う関係か?って言ったら、
ゆみちゃんの、バイト仲間だから、
交友関係になるんじゃない?」って。

      「天然ボケ」

そうだ、忘れていた。ひーちゃんが
天然ボケだった事を……

まっ、でも誤解は解けたようで、
タヌ店も、タヌ奥も、安堵の顔付き。

それにしても、俺は何度も店長から
姪っ子の話を聞いていたし、
その姪っ子は、俺と普通に遊んでいた

俺は知らないうちに、
店長の姪っ子とカラオケへ行き、
ボーリングへ行き、

そして……

タヌ店の誕生日のサプライズのために、
大量の少女漫画を買いに連れて行っていた。

しかも、その少女漫画。
店長の秘密だった。

世の中って、本当に狭い。

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