着任初日、生徒にこう言われた。『あなたは、いつ辞めるの』
教育の仕事を始めて最初の日。
担当クラスに入った瞬間、一人の生徒が私にこう言った。
「あなたは、いつ辞めるの」
忖度も、遠慮も、一切ない。
正直、心が抉られた。
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でも私は、こう聞き返した。
「どうして、そう思うの?」
少しの間があって、その子はこう答えた。
「この一年で、担任が2人いなくなったから」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが変わった。
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この子は意地悪を言ったわけじゃない。
傷つけようとしたわけでもない。
ただ、純粋に知りたかっただけだ。
「あなたも、前の先生みたいにいなくなるのか」
それだけを、ストレートに聞いた。
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子どもはこういう存在だ。
思ったことを、そのまま口にする。
嫌なら無視する。
言葉より先に、手が出ることもある。
善悪の判断が、まだついていないこともある。
大人の目線で見ると「なんでそんなことを言うんだ」になる。
でもそれは、大人の物差しで子どもを測っているだけだ。
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教育の現場で一番やってしまいがちなのは、
「子どもを理解しようとすること」
だと私は思っている。
理解しようとする、という発想自体が
すでに大人側の視点だ。
「あの子はこういう子だ」と分類した瞬間、その子を見るのをやめている。
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私がその生徒に「どうして?」と聞けたのは、理解しようとしたからじゃない。
ただ、その子の言葉をそのまま受け取ったからだ。
「いつ辞めるの」を、攻撃として処理しなかった。
「何かがあってこの言葉が出た」と、そのまま受け取った。
それだけで、子どもは話してくれる。
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子どもの国に入国するのに、パスポートはいらない。
必要なのは、「この子は今、何を見ているのか」を先に考えることだけだ。
理解しようとするより先に、受け取ること。
それが、子どもの国への唯一の入り方だと、私は思っている。
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次回:トイレから出たら、生徒に言われた。『先生、機嫌悪いの?』
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