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AIは進化している。でも、企業と利用者はついていけているのか?

※この記事は、最近のAIをめぐる動きを見ながら、私自身が感じたことを個人的な意見としてまとめたものです。あくまでも一つの見方として読んでいただければと思います。

最近、AI関連の記事を読んでいて、少し気になることがあります。OpenAIやAnthropicなど、AIを開発する企業の成長は依然として非常に速い。モデルの性能は上がり、できることも増えています。

文章を作る。
情報を探す。
会議を要約する。
プログラムを書く。
画像を作る。
データを分析する。

少し前なら「未来の話」だったことが、今では普通に使えるようになっています。ところが一方で、AIを導入する企業側からは、

「本当に利益につながっているのか?」

という声が出始めています。このギャップが、かなり面白いと思っています。

AIの能力は上がっている。でもROIは?

AIを導入すると、当然コストがかかります。AIそのものの利用料だけではありません。システム連携、セキュリティ対策、社員教育、PoC、運用設計。企業規模が大きくなれば、それなりの投資になります。そうなると経営側としては、「これだけお金を使ったのだから、どれだけ利益が増えたのか」と考えたくなる。これは当然だと思います。ただ、AIに対して短期間でROIを求めすぎるのも、少し違うのではないかと思っています。AIは、単に新しいソフトウェアを1本入れるのとは違います。むしろ、「仕事のやり方そのものを変える技術」に近い。だとすると、本当の効果が出るまでには時間がかかります。

AI導入には3段階ある

私は、AI導入の効果は大きく3段階で考えた方がよいと思っています。

まず短期。

Efficiency

議事録作成が30分から5分になる。メール作成が速くなる。調査にかかる時間が減る。プログラムを書く速度が上がる。これは比較的すぐに効果を測れます。

次に中期。

Process Transformation

AIを前提として業務プロセスそのものを変える。例えば、人間が資料を作ってからAIに要約させるのではなく、AIが情報を集め、整理し、ドラフトを作り、人間が判断だけをする。ここまで来ると、単なる効率化ではなく、仕事そのものが変わります。

そして長期。

Business Value

新しいサービスを作る。顧客体験を変える。意思決定の質を上げる。人員配置や組織構造まで変える。ここでようやく、企業として大きな利益や競争力につながってきます。つまり、

Efficiency

Process Transformation

Business Value

という流れです。問題は、多くの企業が一番最初の段階で、「で、利益はいくら増えたの?」と聞いてしまうことです。

でも逆も危ない

だからといって、「AIは将来役に立つから、とにかく使おう」というのも危険です。ここで最近よく出てくるのが、「AIシアター」という言葉です。AIを導入した。社員に使わせた。大量のトークンを消費した。社内でAI活用事例を発表した。でも、実際の業績にはほとんど影響していない。それでも、「うちはAIを活用しています」とアピールする。これはまさに、AI導入そのものが目的になっている状態です。本来は、

AI利用

業務改善

生産性向上

利益

であるべきです。ところが、「AIをたくさん使った」=「AI活用が進んだ」になってしまう。これはかなり危険です。Token Consumption ≠ Business Valueだと思います。

本当の問題は「AIを使う」ことではない

私はここが一番重要だと思っています。多くの企業がまだ、Existing Business Process + AIという発想です。つまり、今までの仕事の流れはそのまま。そこにAIを追加する。でも、本当に必要なのは、Business Process redesigned for AIではないでしょうか。例えば、「会議の議事録をAIで作る」これは便利です。でも、さらに一歩進めるなら、「そもそもこの会議は必要なのか」と考えるべきです。AIが事前に資料を読み、論点を整理し、問題点を抽出し、必要な意思決定だけ人間に提示する。そうすれば、会議そのものが30分から10分になるかもしれない。あるいは、会議自体が不要になるかもしれない。これがAIによる業務再設計だと思います。

AIより人間側がボトルネックになる

最近は、AIモデルの性能向上そのものよりも、「その能力をどう使うか」の方が難しくなってきているように感じます。AIは数カ月単位で進化します。でも人間の学習速度は、それほど速くありません。さらに企業の制度や業務プロセスは、もっとゆっくり変わります。すると、

AI能力の成長速度>人間の学習速度>企業組織の変化速度

という状態になります。これはかなり重要なポイントだと思います。AIが成長しているのに、企業の生産性が同じ速度で上がらない。それはAIが役に立たないからではなく、人間側と組織側が、その能力をまだ十分に使える状態になっていないからかもしれません。

AIの評価軸も変えないといけない

AI導入を評価するとき、売上がいくら増えたか。利益がいくら増えたか。もちろん重要です。でも、それだけでは少し乱暴です。例えば、作業時間が30%減った。手戻りが20%減った。問い合わせ対応が速くなった。判断に必要な情報収集時間が半分になった。こうした業務KPIをまず測る。その後、

業務KPI改善

生産性向上

利益

とつなげていく。この方が現実的です。AI導入では、「何を使うか」以上に、「何を測るか」が重要なのかもしれません。

AIブームが終わるのではなく、選別が始まる

最近AI関連株に警戒感が出ているという話もあります。でも私は、「AIブームが終わる」というより、「AIなら何でも評価される時代が終わる」ということではないかと思っています。とにかくAIを導入する。とにかく使わせる。とにかくトークンを消費する。そういう時代から、どこで本当に価値が出るのか。どの業務に使うべきなのか。どこには使わない方がよいのか。という選別の時代に入っている。これはむしろ健全な変化ではないでしょうか。

AIの時代は「何ができるか」から「何に使うべきか」へ

これまでAIの話題では、「こんなことまでできるようになった」という話が中心でした。でも、これからは少し変わると思います。重要なのは、何ができるかではなく、何に使うべきか。そして、人間は何をするべきか。という問いです。AIがさらに賢くなればなるほど、人間の役割は、作業することから、目的を決めること。問いを立てること。判断すること。違和感を見つけること。責任を持つこと。へ移っていくのかもしれません。そう考えると、今起きているのは単なるAIブームではありません。AIと人間、そして企業組織の関係を再設計する途中なのだと思います。AIは進化している。問題は、「人間と企業の側が、その進化に合わせて変われるのか」ということなのかもしれません。

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