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走り回ったあの日

ー 撮影現場での出会いから ー

「ねぇねぇ!ちょっと手を見せて🫴」

第一声がそれだった。

「なっ、なんでですか?」

「いいからいいから」

半ば強引に手を引かれ
じっと見つめて——

「なるほどね!」

……何が?

「何がなるほどなんですか?」

するとその人は、少し得意げに言った。

「手はね、その人の人生を表しているのだよ…」

(はぁ?)

「で、どんな人生でした?」

そう聞くと、

「破天荒な人生!」

そう言って、ケラケラ笑い出した。

それが、あの人達との出会いだった。

そしてその後も、
なぜかよく絡まれるようになった。

今思えば、
あの一言がすべての始まりだったのかもしれない。

スタイリスト時代。
朝から走り回った、あの日のことを思い出す。

その日は、相模原方面でのロケ撮影。
テレビ局の駐車場で衣装の確認をしていたときだった。

「あれ……バンダナがない…」

頭の中が一瞬でぐるぐる回り出す。
どうする?どうする?と、必死に解決策を探した。

ロケバスに乗り込み、現地へ向かう途中。
原宿あたりを通りかかった瞬間、

「あ、ここならあるかも!」

思わずバスを飛び降り、
竹下通りを全力で走った。

なんとかバンダナを購入。
……なぜか3枚。

後から「なんでやねん」と自分にツッコミを入れたのは言うまでもない。

もちろんロケバスは、すでに現地へ出発済み。

どうしようもなくなったところで、
気の利いたヘアメイクの子がAPさんに連絡を入れてくれていた。

後から出発していたタレント車に拾ってもらうことに。

正直、めちゃくちゃ気まずい。

でもそのタレントさんはとても優しくて、
「大変でしたね」と笑って乗せてくれた。

あのときの優しさは、今でも忘れられない。
APさんにも、ただただ感謝だった。

ラフォーレの前を通りかかったとき、
ふとあの人達のことを思い出した。

ちょうどその日、イベントで
ツリーハウスを作っているはずだった。

電話してみると——
本当にいた。

しかも、ツリーハウスの上から手を振っている。

こんな状況なのに、
どこか呑気な自分がいた。


撮影は無事に終了。

テレビ局に戻ったあと、
そのままツリーハウスの仲間たちの元へ。

ご飯を食べながら、今日の出来事を話すと、
みんな大笑い。

「ピンチをチャンスに変える人だね🤣」

そう言われた。

たしかに、そうかもしれない。

でもそれ以上に、
人に恵まれていた一日だったと思う。

その人たちは、ツリーハウスクリエーターだった。

撮影で出会った人たちで、
気づけばよく一緒にご飯に行く仲になっていた。

外務省からツリーハウスに魅せられた人、
美大出身の庭師から弟子入りした人、
サポーターとして学びに来ていた人。

そして師匠は、
古着をコンテナごと原宿に持ってきたこともある、
自由で、ちょっと奇才な人だった。

みんなバラバラで、個性的で、
でもなぜか一緒にいると心地よかった。

ラフォーレのツリーハウスにも、特別に登らせてもらった。

上からの景色は驚くほど気持ちよくて、
しばらく現実を忘れていた。

それを見ていたあの人が、ぽつりと言った。

「今、飛びそうだったよ…😁」

「やばい人じゃない?🤭」

そう返すと、みんな笑っていた。

あの一日は、確かに大変だった。

でも同時に、
とても豊かで、特別な一日でもあった。

きっと一生忘れないと思う。

今はそれぞれの道を歩いていると思うけれど、
あの日、あの時間は、
きっとみんなの中に残っている。







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