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山行日記「表銀座縦走~すれ違う人たち~」Epi4 ちゃんと看取りますよ

槍ヶ岳山荘に到着した。
山頂は晴れたり、ガスがかかったりを繰り返している。

山の天気は本当に分からない。
急に雨が降ることもあれば、雲が吹き飛んで晴れ渡ることもある。

今チャレンジするしかないと決め、ザックをデポしてウインドウシェルを羽織っただけの軽装で、穂先にチャレンジする。

同じタイミングでチャレンジする数人のグループが先行し、急角度の鎖場やほぼ垂直な梯子を上っていく。

2個目の長い梯子を上り切ると、そこが山頂だった。
「えっ、もう着いちゃったの」正直な感想は、思ったよりもあっけなかった。

もっと厳しく時間がかかるものだと思い込んでいたが、自分の思いの強さから難しく考え過ぎていたようだ。

山頂に着いたときには、雲は晴れ遠くの山々まで見渡すことができた。
徐々に達成感が膨らんでくる。
まるでさっき休憩のときに食べた、ランチパックのようにパンパンに膨らんだ。


パンパンに膨らんだランチパック

登頂したメンバーの中に、槍ヶ岳診療所の先生と、ボランティアの慈恵医大の学生がいた。

正面に見えるきれいな三角形の山が常念岳で、その隣で山頂が平べったいのが蝶ヶ岳だと教えてくれた。

そこで「昨年はそこからこの槍を見てたんです。今日ここに来れて本当に嬉しいです」と伝えると、

笑顔で「おめでとうございます。それは良かったですね」と言葉をかけてくれた。

最高の瞬間だった。

隣に座っていた年配のおじさんは、お医者さんがいるなら落ちても大丈夫だね。と笑って言うので、「ここから落ちたらだめでしょ!」とつっこんだ。

すると先生が「ちゃんと看取りますよ」と気の利いたコメントで切り返し、周囲が笑いに包まれた。

そんな和やかな雰囲気の中、高齢の女性が梯子の最後の一段の箇所で、「あー、もったいない。これ登ったら終わりだわ」とつぶやきながら、登頂を果たした。

「ここはね、なかなかチャンスが無くて50年ぶりなのよ。今日登れて良かったわ」とその場の全員に伝えるように感想を言った。

「それは凄いですね、良かったですね、素晴らしいです、いい冥途の土産だな」とちょっと失礼なコメントも含め、皆で祝福した。

そこから、下り始めることになる。
山頂でのんびりする人以外は、登ってきた人から順に下っていく。

梯子や鎖は一人が通過してから、次の人が使うことになるので当然渋滞する。そのため必然的に、ゆっくり慎重に下ることになった。

この登山時の渋滞について、「ゆっくり行動できるので気が楽になるね」と自分の後に続いて下りてきたおじさんが話しかけてきた。

思わず「ですよねー」と激しく同意してしまった。

これで、今回の目標だった槍ヶ岳登山は達成できたのだ。

#登山 #山行日記 #エッセイ #槍ヶ岳 #山頂 #北アルプス

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