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やめた社員を「大切にする会社」と「出禁にする会社」の違い〜アラムナイは裏切り者か、リソースか

中央大学で「企業アルムナイ研究会」という面白いテーマを研究しているグループがあります。知り合いにご紹介いただいたこともあって、3月2日にそのオープンセミナーに参加して考えたこと、印象に残ったことをメモにしておきます。


10年で現役社員と同じ規模のOBOGが誕生

毎年10%前後の退職率だとすると、(当たり前ですが)10年で外部に現役社員と同じ人数のOBOGグループが誕生することになります。20年なら倍です。これはバカにできない数で、彼らが味方になるのか、アンチになるのかは、社会的な評判や潜在的な顧客という視点からもかなり大きなインパクトがあります。

Alumini(アラ(ル)ムナイ)とは
alumnusの複数形。卒業生、 同窓生、 校友

https://ejje.weblio.jp/content/alumni

また昔は「ついてこれない社員」が退職するのが通例でしたが、むしろ最近は

「できる社員」
「能力がある社員」
「外でも食っていける能力がある社員」

ほど、JTC(Japanese Traditional Company)を見限ってやめていくということもよくあります。

つまり、一旦はその会社に魅力を感じたものの、やめていった社員を、リソースとして活用できるのかは、これからの企業経営に無視できない要素だという事になるわけです。

*今回の企業アラムナイ研究の範疇はいわゆる定年退職でやめた方々ではなく、現役バリバリで会社を去った人たちを対象としています。

アラムナイと良い関係を保てる会社と、敵対する会社

登壇者からは企業アラムナイの理想形は「WBC(ワールドベースボールクラッシック)」ではないかという話が何回か出てきました。たしかに、大谷翔平が日本ハムファイターズ出身であることは周知の事実であり、その大谷がメジャーで活躍すればするほど「あの大谷を育てた球団」として日ハムの評価も上がります。そのような関係が、企業とアラムナイの間で構築できれば確かに理想的です。

ただそれができている会社と、まったくできていない会社に2極化しているのが実際です。

たとえばGoogleやリクルート、コンサル会社がAlumini団体を作って、積極的に卒業メンバーが交流したり、本体の会社がその活動を支援をしたり、場合によっては仕事を受発注して良好な関係を保っているケースはよく知られています。

逆に、やめた人を「脱北者」「裏切り者」「脱藩浪人」扱いして出禁にしている会社の事例も多いことは、体感値としても分かります。

この差はどこから出てくるのでしょうか?

転職の本音と建前

そもそも、なぜ人は転職するのか?たとえば転職サービス「DODA」による転職理由ランキングは下記です。

https://doda.jp/guide/reason/

建前としては「そんなもんかな」というランキングですが、ホンネは、もっとエグい「人間関係」の不満がもっと上に来るような気がします。

はっきり言えばポジティブな理由というよりは、「上司と合わない」「会社の方針に納得できない」といったネガティブな理由が多い気がします。上司が本当に人格的に素晴らしくて、もっと自分が成長できると思えば、多少給与が低くても、残業が多くても、そこまで不満に思わないからです。

実際「ピーターの法則」が当てはまるケースは少なくありません。

ただ転職理由として正直に「ブラックだった」「上司がダメだった」などとホンネを言えば角が立ちます。また円満退職の形して「もっと新しい仕事にチャレンジしたかった」と説明したほうがポジティブで聞こえがよく、転職先が受け入れやすいというのも実際でしょう。

だからちゃんとした”大人”は決して本音はいいません

ただ本音がマネジメントの失敗≒人間関係の不満なら、アラムナイとして会社がお声がけしてもやんわりお断りするのが普通です。

また企業の方にとっても、内情をよく知っているアラムナイと現役社員を交流させることは「リスク」があります。というのは、利害関係(力関係)のなくなったアラムナイが、いろんなことを「バラす」と、ある種の共同幻想が崩れる可能性があるからです。

そんなこともあってか、会場からも「アラムナイ組織の構築について、ネガティブな側面をどう払拭するか?」についての質問もちらほらありました。(明快な答えはなく、これからの研究テーマということでしたが。)

アラムナイとうまく関係を構築できる会社

それでもなぜ、アラムナイと優良な関係を作れる企業があるのか?個人的な仮説としては、下記の3つぐらいのポイントがありそうな気がします。

1)会社の規模が大きい
2)そもそも会社へのコミットメントが高くない
3)ビジネスに繋がる利害関係が一致

1)に関しては、会社の規模が大きければ、全く知らない人が多数存在します。となると、出戻りでその会社に転職したとしても、ちょっと部署が違えば転職理由となった人とまったく絡まない可能性も高くなります。

逆に気のあう上司や、厳しいプロジェクトを共に乗り越えた仲間も多数いるでしょうから、彼らとまた出会えるならアラムナイ活動に絡んでもいいかな、と思う可能性は高くなります。(中学や高校の同窓会と同じようなものです)

逆に経営陣と社員が近いベンチャー企業のような少人数の組織において、濃密な関係性があったうえでの転職の場合は、(特に会社本体が絡む)アラムナイ活動にコミットしたいと思う人は少なそうです。
(さきほど大企業のアラムナイを「中高の同窓会」に例えましたが、ベンチャーの場合は「元カノ・元カレ」みたいな感じででしょうか。)

2)の「そもそも会社へのコミットメントが高くない」に関しては、例えばIT業界でGoogle, Amazon, Appleあたりを渡り歩いている人は多くいます。殆どの場合、インフラ、フロントエンド、AIなどそれぞれ専門分野を持っていて、会社というよりはその職種にコミットしてコミュニティ化しているので「たまたま現在の会社にいる」「条件が良ければ移る」という感覚を持っている人は多いと思います。したがってアラムナイがあって、面白い人に出会えチャンスがあると思えば、組織化のハードルは低そうです。

3)の「ビジネスに繋がる利害関係が一致」に関しては、コンサル会社でいえば、アラムナイが事業会社に転職していれば、営業先として関係を構築しやすくなりまし、アラムナイにしても古巣の優秀なリソースを引っ張ることで事業が成功しやすくなると思えばWin-Winとなります。

まとめ

アラムナイ同士が勝手につながることはよくあることですし、私も元同僚とつながって飲んだり、仕事をすることもあるので、特別なこと事でもないと思います。

ただ、そこに元いた会社”本体”がコミットしてくることは特別な意味を持ちます。転職者による古巣の評価サイト「Openwork」で評価が高いような会社なら、アラムナイもリソースとして協力したいと思うでしょうし、もちろんその逆もあるでしょう(後者の方が相対的に多そう)。

そのあたりの整理がうまくされてくると、日本版の企業アラムナイはなかなかおもしろい存在になってくるかなと思いました。

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