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『キツツキと雨』感想「役所広司の芸達者ぶりに酔いしれて千鳥足状態。」


今回の映画エッセイは隠れた名作『キツツキと雨』である。

なぜにこの映画があまり多くの人に知られていないのか…カッチンにとっては日本映画界の七不思議のひとつである。

ちなみに残りの六つは今はまだ秘密である。

『キツツキと雨』は役所広司さんが木こり、小栗旬さんが気の弱い新人監督を演じている。

もうこれだけでめちゃくちゃ面白そうである。

役所広司さんの木こり役なんて、ちょっと想像しただけでも失笑噴飯ではないか。

『キツツキと雨』あらすじ【ネタバレなし】

最初に『キツツキと雨』のあらすじをネタバレなしでざっくりと紹介しておこう。

『ある山奥の田舎町に突然ゾンビ映画の撮影隊がやってくる。

木こりの克彦はエンストした撮影車を助けたことをきっかけに、撮影の手伝いをするようになる。

この映画の監督を務める25歳の幸一は、気弱な性格ゆえに納得のいかないカットでもNGを出せず、スタッフの言いなりになっている状態だった。

息子とのギクシャクした関係に苦悩する克彦と、自分を思うように出せない幸一は、気がつけば互いに大きな影響を受け始め…』

といった感じのあらすじである。

『キツツキと雨』感想【ネタバレなし】

何度も声を出して大笑いしてしまう映画である。

脚本がおもしろい上に、木こりを演じる役所広司さんの演技が可笑しすぎるせいである。

役所広司さんの面白さは変顔をしたりなどの低レベルなコミカルさではない。

演技が上手すぎるゆえのリアリティがもたらす面白さなのだ。

山奥で木こりをして暮らしてきた男が、映画の撮影の手伝いをするようになりゾンビ役として出演まで果たしてしまう。

待ち時間の長さなどにブチ切れたかと思ったら、撮影した映像をチェックするラッシュで自分が映っている姿を観て密かに感動しまくる。

役所広司さんは間やセリフの言い方だけで笑いを取れる稀有な俳優である。

一見普通に演じているだけなのだが、妙におかしくてゲラゲラ笑ってしまうのだ。

そんな極上のコメディはもちろん1人では作り上げられない。

気弱な新人監督を演じている小栗旬さんも、まだ若いというのに抜群のセンスを発揮している。

小栗旬さんはこの映画で基本的に引きの演技を見せてくれているのだが、変に張り合おうとしない芝居が克彦のおもしろさをさらに引き出していた。

この映画は高品質のコメディを楽しめる作品なのである。

役所広司さんと小栗旬さん以外のキャストも素晴らしくて、この映画は捨てシーンがないというか…本当にずっとワクワクさせてくれるのだ。

どうしてこの映画がもっと有名ではないのか…?

カッチンは本当に疑問である。

『キツツキと雨』感想【ネタバレあり】

『キツツキと雨』はとにかくクスクスゲラゲラと笑ってしまう映画だが、笑いだけのコメディと思ったら大間違いである。

克彦には幸一と同じ世代の息子がいて、妻を亡くした後に2人で暮らしている。

息子と衝突することが多かった克彦だが、幸一と仲を深めていく中で息子と向き合う姿勢に変化が訪れていく。

気弱な映画監督の幸一も、克彦と触れ合っていく中で変化していく。

自分に自信が持てずNGを出すことができず、スタッフの意見にも反対できない。

若くして監督を務めるプレッシャーに押し潰されそうになっていた。

そんな幸一を変えたのが克彦の存在だった。

山崎努さん演じる大御所俳優の出演シーンで、幸一は納得できるまでテイクを繰り返す。

撮影後、大御所俳優は自分にNGを出しまくった幸一を呼び出し、「最高の撮影だった。また一緒にやろう」と握手を求める。

幸一は感極まって泣きだしてしまうのだが、同時にカッチンも泣き出してしまった事はここだけの話である。

撮影しているゾンビ映画は予算の関係でエキストラがとにかく少なかったのだが、克彦の呼びかけで村人が集結し一気に迫力が出る。

エキストラが集結した景色を見ている幸一の表情がまた素敵なのだ。

幸一はどんどん自分の意思を出すようになり、頼りがいのある監督に成長していく。

そんな幸一を嬉しそうに感じている人物をカッチンは見逃さなかった。

嶋田久作さん演じるカメラマンである。

このカメラマンはぶっきらぼうで怖そうな感じなのだが、実は幸一が自分の意思を出すたびにニヤリと嬉しそうに微笑んでいるのだ。

嶋田久作さんと一緒にカッチンも一緒にニヤリとしていたのかって?

愚問中の愚問である。

※Amazonのアソシエイトとして[カッチンの映画で喋らないと。]は適格販売により収入を得ています。


『キツツキと雨』は人との出会いが成長をもたらしてくれることを、笑いと感動を交えながら教えてくれる映画である。

木こりと映画監督というどう考えても無関係な2人が、互いに影響を与え合って成長していく。

些細な出会いや縁を大切にしたくなる。

そんな映画である。

笑いがあるからこそ惹き込まれて大きく感動してしまうのだ。

本当に上質な映画だと心から思っている。

くどくて申し訳ないが、どうしてこの映画がもっと有名じゃないのかカッチンは本当に疑問である。

観たことないという人はぜひ観てみてほしい。

役所広司さんの演技の上手さを目の当たりにして、震えて眠ることになると思うが…。

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