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フランス人がやっている「ストレスを溜めないで働く」秘訣

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
日本ではよく「ストレス社会」といわれます。ストレスとひと言で言っても、個人によっていろいろなストレスがあるかと思いますが、その1つに「仕事」があるでしょう。日本では仕事のストレスで悩む人が多いとも言われ、「働き方改革」「ワークライフバランス」といった言葉が当たり前にあります。
 
ところが、フランスでは「ワークライフバランス」といった言葉がそもそも存在しないぐらい、フランス人は、仕事でストレスを溜めている人は圧倒的に少ないと言います。
 
では、フランス人は、なぜストレスを溜めないで働くことができるのか?
 
その理由と秘訣について教えてくれるのは、在仏14年超、8人の子を育てる日本人、トレオレル美智子さんです。その理由は、私たちが持っている憶測やイメージとはどうやらちょっと違うようです。
 
トレオレル美智子さんは、新刊『フランス人の気楽な働き方、全力の休み方』で、フランス人の、ストレスを溜めないで働く秘訣について詳しく解説しています。そこで今回は、同書の中からその該当箇所を一部編集して公開します。

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いくら良い話しかしないフランス人だって、ストレスや悩みはあるはず……

 日本人は、仕事とプライベートで言うと、仕事でストレスを溜め、プライベートでそのストレスを発散すると言う人が多い。
 ところが、フランス人は、仕事でストレスを溜めている人は圧倒的に少ない。少なくとも、日本人と比べてみると明らかだ。「ストレス社会」という言葉も、フランスに来てから耳にしたことがないぐらいだ。
 そこには、フランス人がストレスを溜めないで働く秘訣があることがわかった。
 ある週末、私たち家族は、港町の高級住宅街の一角に招待されていた。
 迎えてくれたのは、ブリュノ・バラドン。フランスの市場シェア24%を占める大型スーパーの、総支配人を務める人物だ。夫の古くからの友人である彼は、今回リビングのホームシネマの調子が悪いらしく、ホームシネマオタクである夫を呼んだのだ。
 夫が機材の後ろに頭を突っ込んでいる間、私はブリュノに淹れてもらったコーヒーをいただきながら会話していた。
 
「あなたたちフランス人は、本当に楽しそうに働くわね。そのストレスを溜めないで働く秘訣を、教えてほしいわ」
「あはは、それはそうさ。僕はこの仕事が、大好きだからね」
 
 基本、ネガティブな会話をしないフランス人。 楽しい週末、招待客を前にすれば、良いことしか話さない。
 だが彼は、300人の従業員のトップに立つ人物。主張が激しいフランス人たちの中で、そう優しい世界のみが広がっているはずがない。
 彼の中には、硬く崩れない頑丈なメソッドが構築されているはずだ。このチャンスを逃さないよう私は、ストレートに突っ込むことにした。

「仕事=コスチューム」という発想

「すばらしいことだわ。だけど、そうは言っても、やはり同僚と意見が食い違ったり、関係が良くないときもあったりするでしょう? そんなときは、やっぱりストレスが溜まるかなと思うんだけど……。そんなときは、どうしたの?」
 
 それを聞いたブリュノは、待ってました! と言わんばかりに目を輝かせ、語り始めた。
 
「あぁ、もちろんさ! 実は僕は、ある従業員から過去に、裁判で訴えられたことがあるんだよ」
 
 さすが、総支配人という役職ならではの経験だ。
 
「ある従業員が、給料を上げてほしいと交渉してきたんだ。しかし僕は、すべての状況を考慮した上で、それを受け入れるわけにはいかなかった。それで、裁判に発展したんだ」
 
 私は、予想外の重い話に戸惑いながら、聞き入った。
 
「そ、そうなのね……」
 
 言葉を失った私に、ブリュノは笑顔のまま。
 
「大丈夫、全然傷つく必要はないんだよ。なぜなら仕事とは、コスチュームだから」
 
 フランス語でコスチュームとは、男性用の背広やスーツを意味する。つまり、仕事や格式高いパーティーなど、その場や立場にふさわしい恰好をするために、身につけるものという意味だ。
 ブリュノにとっては、仕事そのものがコスチューム。朝9時から夕方5時まで身に着ける、コスチュームなのだそう。
「仕事=コスチューム」という考え方、発想がストレスを溜めないポイントであることが、その後の話で次第に明らかになってくる。

仕事はあくまで「コスチューム」だから、「私」には及ばない

 私たちはつい、仕事で失敗をしたり、上司から責められたりすると、
 
「どうして私はこんなに出来が悪いのだろう」
「また失敗してしまった、悪い癖が直らないな」
 
 などと、「私」がダメなのだと責めて、傷ついてしまう。
 だが、ブリュノは言う。
 
「仕事を終え、家に帰れば、夫であり父でもある。外を歩いていたら、総支配人でもなんでもない、ただの一人の男性だ。裁判に訴えられたのは、この一個人であるブリュノ・バラドンではない。僕のコスチュームが、訴えられたんだよ」
 
 そうだ、仕事で指摘されているのは、私が仕事で作成した書類や、仕事の役職上のルールに沿って動いている私だ。
 道を歩いているときにゴミを拾った「私」。夫と何気ない会話をした「私」。子どもたちに優しくした「私」。家でちょっと工夫した料理をした「私」。仕事で失敗した私と、これらの「私」とは、何のつながりもない。
 フランス人の捉え方はこうだ。
 コスチュームに指摘が入ったなら、まるで作品を訂正したり改良するかのように、手を加えればいい。それに、もしも、そのコスチュームが気に入らないなら、取り替えればいい。
 
 いかがだろう?
 この発想があれば、ストレスを溜めないで済む。仕事での失敗をプライベートの私と区分けして考えられるようになる。
 仕事で何が起きようとも、「私」には及ばない、「コスチューム」という捉え方。
 もし仕事でストレスを溜めてしまっている人がいたら、ぜひフランス人の「仕事=コスチューム」という発想を参考にしてみてほしい。
 これからは、「仕事の私」と「プライベートの私」を混ぜることはやめよう。
 コスチュームを、より良いものに育てていこう。
 そうすれば、仕事で何があっても傷つかないだけでなく、ブリュノのように、仕事をより純粋に楽しめ、好きになれるような気がしてくるに違いない。

〈著者プロフィール〉
トレオレル美智子
フランス在住14年の8人子育てワーキングマザー。
1986年滋賀県生まれ。一度目の結婚で二児を設けるが、良き妻、良き母でいようと尽くした結果、夫がモラハラDV化し、親族らにより強制離婚。東京でシングルマザー生活を送る。後にフランス人と再婚して渡仏。5人を出産し、7人の母として暮らしていたところ、フランス語が話せないまま突然またもやシングルマザーとなる。職なし、貯金ゼロ、公共料金の払い方も知らないところから、日仏辞書を片手に訪ね歩き生活を立て直す。子どもには不自由な思いをさせないようにと、働きながらも家事の手を抜かず、自分のことを後回しにしていたが、それを知ったフランス人マダムから「どうして自分の人生を楽しまないの!」と怒られる。「休む」ことを目的に働くのではなく、「楽しむ」ことを目的に一日中行動するようになる。その結果、仕事もプライベートもペースを崩すことなく両方が充実し、フランス人と三度目の結婚。その中で出会ったフランス人たちの些細な一言や行動に対してインタビューを重ね、「フランス人の楽に幸せに成功し続ける生き方」をメソッド化。オンライン・リアル(日本)での講演やセミナーを多数実施している。
 
【著者の壮絶な半生を描いた記事はこちら】(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/89388
https://bunshun.jp/articles/-/89389
https://bunshun.jp/articles/-/89390

いかがですか?
 
フランス人は、たとえ、仕事で失敗しても、失敗したのは「仕事」というコスチュームを着た「私」が失敗しただけ。まるで作品を訂正したり改良するかのように、手を加えればいい。プライベートの「私」とは何のつながりがない――。
 
そう考えるので、仕事の失敗をプライベートにひきずることはなく、ストレスも溜めません。
 
休日の過ごし方も、日本人のようにダラダラしたりせず、早起きして、夜遅くまでパーティーを楽しみます。
 
なぜなら、自分の人生を楽しむ、過去でも未来でもなく、「今」を楽しむことを大切にしているから。
 
「仕事もプライベートも、自分の人生を楽しむためにある」
 
そんなフランス人の人生哲学を解説した新刊『フランス人の気楽な働き方、全力の休み方』(トレオレル美智子・著)は、ネット書店および全国書店で好評発売中です。興味のある方はチェックしてみてください。

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