🌺ウメばあちゃんのひとり語り「音だけでも、あの日の花火が見える」
——夜空に咲いたんは、心の中の“約束”やったんよ
「ドーン…」て、腹の底に響く音を聞くと、
うちは今でも、あの夏の夜を思い出すんよ。
花火そのもんは見えんでもええ。
音と、空気と、あの時の匂いだけで、十分や。
昭和の終わりごろやったか、
子どもも手ぇ離れて、ひとりで縁側に座っとった。
遠くから、町の花火大会の音が聞こえてきてな。
どこかの家から、ラジオの中継も流れとって。
ひとりで聞いとるはずやのに、
心の中には、ちゃあんと“誰か”がおってくれた。
それがな……たぶん、あの人や。
若い頃、いっしょに行った花火大会。
浴衣が暑うてな、川べりで「涼しいわ〜」て笑うた顔、
今でも忘れられん。
その人とは結ばれんかったけど、
花火のたびに、うちの胸の奥に“ぱっ”と咲くんよ。
「元気でいてくれたらええなぁ」て、
ただそれだけの願いやったけどな。
どんなに時が経っても、
人の記憶いうんは、ちゃんと“音”や“風”や“光”に包まれとる。
そして、それがふいに戻ってくる。
せやから、花火はうちにとって、
見るもんやのうて、「聞くもん」なんかもしれへん。
──あの“ドーン”の音が、
忘れとったはずのやさしい気持ちを、そっと連れてきてくれるんやから。
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こうしてひとりでポツポツしゃべっとるけど、
読んでくれるあんたがいてくれて、うちはほんまに嬉しいんよ。
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また会える日を、楽しみにしとるけんね。
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