第112話:ウメばあちゃんの『新作日本昔ばなし』!『みんなと違う木』
語りかけ
リクちゃん、
「みんなと違う」って、ちょっとこわいような気がするとき、ない?
自分だけ変わっとるんかな…って、
不安になることもあるかもしれんねぇ。
でもな、
“みんなと違う”ことが、そのまんま“強さ”になることもあるんよ。
今日は、そんな木のお話ば聞いてくれんね。
むかし話
むかーしむかしのことじゃった。
山のふもとに、たくさんの木が並ぶ場所があった。
杉、ヒノキ、松の木たちは、
どれもまっすぐ高う伸びて、風にそよそよ揺れとった。
ところがその中に、
一本だけちいさくて、ぐにゃりと曲がった木が生えとった。
葉っぱはまばら、枝も細く、
まわりの木らは言うた。
「なんやあの木、かたちがおかしかなぁ」
「まっすぐ伸びらんなんて、木のくせにみっともなか」
けれどその木は、何も言わん。
風に吹かれながら、
静かにその場所で生きとった。
ある年の夏、山に大きな台風が来た。
ものすごい風が木々をなぎ倒し、
どの木も根っこから折れてしもうた。
大きな杉も、堂々としたヒノキも、
みんなバタバタと倒れた中で──
ちびで曲がったあの木だけが、
ひとり、しなって耐えとった。
「ええっ、倒れてない!?」
村人たちは目をまるくした。
風をまともに受けず、
体を曲げて、しずかに受け流しておったんじゃ。
しばらくして、村の大工がぽつりと言うた。
「この木は、折れなんだ。
まっすぐやなか。大きさでもなか。
曲がっとっても、しなやかなら強かんやな」
その木は切られることなく、
村の広場に植えかえられた。
そして──
どんな苦難にも、しなやかに耐え抜いたその木は、
やがて「しなやかな木」と呼ばれ、みんなに親しまれていった。
今では村の子どもたちが、
その木の下で遊びながら言うとるそうな。
「ぼくも、ちょっと変わっとるけど、倒れん木になるけんね!」
めでたし、めでたし。
子どもたちへ
ほらね、リクちゃん、
まっすぐやないからって、ダメちゅうことはなか。
曲がっとるからこそ、
倒れん強さっちゅうのがあるんじゃよ。
リクちゃん:
「うん。ぼくも“しなやかな木”みたいになりたい!」
ウメばあちゃん:
それでよか。それがいちばんええとよ。
自分だけのかたち、大事にしんしゃい。
そいぎ、今日はこのへんにしとこうかね。
(終)
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