第259話:ウメばあちゃんの『新作日本昔ばなし』!『縄を編むうちに結ばれた、二つの村』
リクちゃん、お友だちと喧嘩したまんま、仲直りできずにおることあるかい?
そういうとき、どうやって仲直りしたらいいか、わからんよねぇ。
今日はね、仲の悪かった二つの村のお話をしようかね。
むかし話
むかーしむかし、あるところに、谷をはさんで向かい合う二つの村があったそうな。
東の村と西の村。
ふたつの村は、深い谷に架かった古い吊り橋で繋がっておった。
じゃが、この二つの村は昔から仲が悪かった。
川の水の分け方をめぐって、何代も前から言い争いが続いておったんじゃ。
東の村人は西の村を「欲深い」となじり、西の村人は東の村を「ずるい」と責めた。
吊り橋を渡って行き来することも、いつしかなくなっておった。
ある嵐の夜、その吊り橋の縄が、ぶつりと一本切れた。
残った縄も今にも切れそうで、橋板がぎしぎしと不安げに揺れておる。
このままでは橋が落ちてしまう。
じゃが、橋を直すには、太くて丈夫な縄を編まにゃならん。それは一つの村だけでは、とても手に負える仕事やなかった。
東の村の長老が、迷ったすえに西の村へ使いを送った。
「橋を直すのに、力を貸してくれんか」
西の村の長老も、迷ったすえに頷いた。
「あの橋がなくなったら、わしらも困る」
翌朝、谷のほとりに両方の村人が集まった。
最初はみな、気まずそうに顔を背けておった。
縄を編む作業が始まった。
藁を寄り合わせ、何人もの手で力を合わせて、ぎゅっぎゅっと縄を綯っていく。
縄は、ひとりでは編めん。
向かい合った者同士が、藁を渡し、引っ張り、息を合わせんと、太い縄にはならんのじゃ。
東の村の男が藁を差し出す。
西の村の女がそれを受け取って綯う。
手と手が触れ、自然と「もう少し右じゃ」「そう、それでええ」と声が交わされ始めた。
汗の匂いと藁の匂いが混じり合い、日が傾くころには、村の境なんてどこにもなくなっておった。
長い長い一本の縄が編み上がったとき、両方の村人が一緒になって「おお」と声を上げた。
その縄で吊り橋が直され、橋はまた谷の上にしっかりと架かった。
「縄も人の心も、ひとりでは編めん。寄り合って、力を合わせてはじめて、切れない結び目になるんじゃ」
それからというもの、二つの村は橋を渡って行き来するようになった。
川の水も、譲り合って分けるようになったそうな。
橋の真ん中の太い結び目は、今も二つの村を繋いでおるという。
子どもたちへ
ほらね、リクちゃん。
東と西の村はね、話し合いで仲直りしたんやないんよ。
一緒に汗を流して、一緒に縄を編むうちに、いつの間にか心が結ばれとったんじゃ。
リクちゃんも、誰かと仲が悪くなってしもうたとき、無理に「ごめんね」を言わんでもいいんよ。
一緒に何かをしてみると、ふしぎと言葉なしに仲直りできることがあるんじゃないかね。
手を動かすうちに、心も近づいていくもんなんよ。
そいぎ、今日はここまで
リクちゃん、もし仲直りしたい子がおったら、一緒に遊んだり、一緒に何か作ったりしてみるといいよ。
言葉より、その時間のほうが効くこともあるけんね。
ばあちゃんとも、いっぱい一緒に何かしようね。
そいぎ、おやすみ。
もし少しでも心に響いたら、スキ♡やフォローをしてくれると、ばあちゃん若返る気がするよ。
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