📦第61話:流行ったのに、今は誰も語らないモノたち『プラモデル ― 手先が覚えた集中の時間』
🟩 はじまりの放課後
大悟:「なあ、最近“プラモデル”ってまた流行ってるらしいで。」
風太:「ああ、ガンプラとか再ブームって聞くね。」
もも:「でも、今のは3Dプリンタとかで部品も精密だとか。昔のってどうだったんですか?」
風太:「じいちゃん、あの“接着剤くさいやつ”作ってた?」
🟦 喜三郎じいちゃん、語り出す
喜三郎:「ああ、作っとったとも。
ワシらの頃は“タミヤ”“アリイ”“ニチモ”あたりが主流でのう。
箱を開けると、ランナー(部品枠)にびっしり並んだパーツが出てくる。
ニッパーもヤスリも、最初は百均なんて無かったけんな。
爪切りで切っとったもんじゃ。」
大悟:「それで戦車とかロボット作るんやろ?」
喜三郎:「そうそう。“モデラー魂”言うての、どれだけリアルに塗装できるか競っとった。
“セメダインC”の匂いが部屋じゅうに漂って、親に怒られたこともあったわ。」


🟨 あの頃の、あの空気
夏休みの午後、机の上に広げたパーツ。
扇風機の風に転がる説明書。
手に残るラッカー塗料のにおい。
集中すればするほど、時間が溶けていった。
完成した瞬間の達成感。
机の上に並ぶ戦車やゼロ戦、マジンガーZ。
友だちと見せ合って、「お前のほうがリアルやな!」なんて言い合う時間。
やがて、ゲームやスマホが「手軽な達成感」を与えるようになり、
ゆっくり作る“没頭の時間”は減っていった。
🟥 今の子らの反応は…
もも:「細かい作業って、逆に癒やされそう。」
風太:「完成させるって根気がいるもんね。デジタルにはない味。」
大悟:「接着剤の匂いか〜。あれ、じいちゃん世代の“青春のアロマ”やな!」
🟫 忘れられても、残ってるもん
喜三郎:「プラモデルはな、“上手く作る”より“作る時間を味わう”もんじゃった。
うまくいかんときも、指にのこるキズも、全部が“手で覚える時間”やった。
今の世の中が早すぎるけん、あの“ゆっくりと形にしていく喜び”が恋しくなるときがあるのう。」
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