【ビジネスのヒント】なぜ香港の街角でベイブレードが流行っているのか?その驚くべき「構造的理由」
香港で、ちょっと意外な光景が広がっています。
子ども向け玩具のはずの「ベイブレード」に、仕事帰りのサラリーマンたちが本気で向き合っている——荃湾(ツェンワン)のショッピングセンターでは、仕事帰りのサラリーマンや子どもら約10人が、コマを回す姿が日常になっているそうです
(日本経済新聞の報道による)。
なぜ今、香港でこの"ベーゴマ型玩具"がここまで熱狂的に受け入れられているのか。教育・組織開発の視点から、その構造を考察してみます。
1. 「ノスタルジー消費」が生むコミュニティ
香港では今、子ども時代を懐かしむ「ノスタルジー消費」が大きなトレンドになっています。
ポイントは、単なる懐古趣味で終わっていないこと。「かつて熱中した記憶」と「今の自分」をつなぎ直し、それを共有できるコミュニティが自然に形成されている——ここに今回のブームの本質があります。
2. 「息の長いコンテンツ育成」という勝算
この現象の裏には、日本企業が得意とする「息の長いコンテンツ育成」の設計力があります。
構造的な設計:一過性のブームで終わらせず、世代を超えてルールや熱狂を継承できる仕組みになっている
対戦の文化:偶然性の遊びではなく、技術や戦術が介在する「競技」として磨き上げてきた
この2つが、一度離れたファンを「大人になった今、もう一度本気で楽しめる」舞台へと呼び戻しているのです。
3. 教育・ビジネスの視点から見る「勝つ構造」
これは教育現場や組織開発でもまったく同じことが言えます。
「性格」で遊ばせない:その場の思いつきではなく、ルール(仕様・対戦の型)という「構造」があるからこそ、サラリーマンも子どももフラットに競い合える
ベイブレードの成功は、流行を追いかけた結果ではなく、「プレイヤーが継続的に参入できる土壌」を設計し続けた結果である
【ビジネスヒント】明日から使える3つの視点
ベイブレードの事例を、自分たちの現場に置き換えるとしたら——
① 「離脱した人」を仮想敵にしない
かつてのファンや社員が離れるのは、興味を失ったからではなく、戻ってくる「舞台」がなかっただけかもしれません。一度離れた人が違和感なく再参加できる入口を、あらかじめ設計しておく。
② ルールは「平等化装置」として使う
サラリーマンと子どもが同じ土俵で対戦できるのは、年齢や経験を無効化する明確なルールがあるからです。組織でも、肩書きや年次に関係なく評価される「共通の型」を用意できれば、世代間のフラットな競争・協働が生まれます。
③ 「再燃」を前提に設計する
一度きりのヒットで終わらせるのではなく、何年後かに「もう一度本気でやりたくなる」余白を残しておく。これは商品設計だけでなく、研修プログラムや組織文化づくりにも応用できる発想です。
考察:私たちの現場にも、同じ問いがある
私たちが提供する教育や組織運営の場も、香港のベイブレード対戦場と本質は同じではないでしょうか。
「かつて熱中した感覚」を、今の仕事や学びの中にどう再現するか。
「構造(プラットフォーム)」さえ整っていれば、ファンは勝手に育ち、世代を超えて熱狂を生み出す。
香港のベイブレード熱は、私たちに「勝つチーム」をつくるためのヒントを、静かに示してくれています。
(出典:日本経済新聞「ベイブレードが香港でブーム再燃 コンテンツ育成、懐古ムード捉える」)
