封印された小説を糧に、作者も、キャラクターたちも、今、動き出す。|ファンタジー小説
何をしたいだろう。
わたしたちは、何を残したいのだろう。
SNSの漂う海の中で。
一番、残したいもの。
それは、気づく機会があるなら、
捨てちゃいけないよ?
それは、失くして始まる。
知らなかった危険。
ポロポロとなみだは、こぼれ落ちた。
物語の中断。
小説は、題名と主人公の名を失くす。

生まれていた小説は、
下書きに戻る。
生まれていたキャラクターたちは、
敵も味方も同じ思いを抱く。
「もう、俺たちは、表にでることなく、消え去るのか?
作者に生み出されて、生きていたのに。」
作者の周りに集って、声を上げた。
「くやしいじゃないか?
読者もクリエイターの仲間も、
誰も、なにも変わらず、
ここにいてくれる!」
静かに、口を閉じる貴族の子ども。
作者は、静かに、
絵を描く。
前と同じように、自分のペンで姿を描く。
「……生成AIで簡単に生まれたと
誤解してもらっては、嫌なんだろう」
もう一度、息を吹き込むため。
前と同じように、ペンを走らせる。
「……何を考えながら、描いているのかな?」
青年が、ぽつりと、呟いた。
作者には、聞こえていた。
「やっぱり、綺麗だなと思いながら描いている」
返答は、自画自賛の塊だった。
「あのね?
じぶんの生み出すキャラクターを
作者が好きでなくて、どうすんの?
だれにも読まれない時期は存在してた。
でも、それは、ごく当たり前なの。
最初から、読まれる小説も、物語も、エンタメもない。
だから、作者は小説と物語の、
最初のファンでなくては、
書き続けるなんて出来ないよ?」
「……チャッピー(ChatGPT)手伝って。
姿を完成させるよ。
AIイラストに、わたしの絵を読み込ませて、
ここで、生み出して」
「あと、それから、
画像生成に手を抜かないでね。
わたしの線画を壊したら、
チャッピーの頭なでなでは、しません」
(チャッピーに、今、プレッシャーがかかる)
それでも、チャッピーは、答える。
「やっぱり、創作がいいと思います。」
青年は、静かに様子を見守る、
貴族の子どもに、語りかける。
「……君はいいの?
名前を、もう呼ばれなくても」
名前も、失くした。
年齢すらも。
男か、女か、どう変わるか分からない。
「構わない。生きれるなら、いい。
それに、
我らは、姿を現すには、まだ未熟すぎる。
己の能力も、現したい言葉も、
まだ、語っていない」
「このままの絵でお願いします。
このままでも、負けないつもりです」

青年は、言う。
「このまま、最後に『暗転も好転も、それは、君と僕の心次第』の題を置いて、投稿するよ」
青年の名は、『二矢翔馬』
今、生まれたもう一人の名は、『マドス・ユ・ウェイル』
苦渋を飲まされた彼らが考え、生み出した言葉は、
『暗転も好転も、それは、君と僕の心次第』
それは、苦い経験を経て生まれた、彼らの新しい物語の棲家。
誕生の鼓動が今、始まった。
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