桜とチューリップの競演の体験
先日、休暇を利用してはままつフラワーパークに行ってきました。3月末という時期で、桜とチューリップが咲き誇っていて、にぎわっていました。行ったのは平日だったのですが、土日祝ならもっと混んでいたのかもしれません。先日の投稿でご紹介した「桜とチューリップの競演」の内容の通り圧倒的、圧巻の風景でした。
同パークに今回行ってみてのまったくの個人的な感想と見解なのですが、印象的だったことをもとにしながら大きく5つ挙げてみます。
1.現地現物で体験することの重要性
改めて感じるのは、「現地現物」の価値です。
桜とチューリップの同時開花は、情報として知ってはいても、その迫力や没入感はやはり現地でしか体感できません。このことは、「現地現物主義」がよく言われる製造業などはもちろん、サービス・観光領域にこそ当てはまると感じます。顧客価値は机上ではなく、直接の体験の総量で決まるということです。
視覚だけでなく、風、香り、人の動き、スタッフの振る舞いまでが一体となって価値を形成していました。この複合的な体験設計は、やはりオンラインでは代替しにくいものです。
現地現物には、ここでは、もう1つの意味合いがあります。それは、情報収集や仮説立てを、二次情報(他者がまとめた話や文字情報など)だけで済ませるのではなく、一次情報(自分自身が直接体験したり、観察や調査を通して得たりした生の情報)も得たうえで考察するほうが精度が高まるということです。
先日、雑誌致知の記事をもとにしながら上記のような投稿内容を考えたわけですが、やはり現地現物の一次情報に触れると考えたことの解像度がぐっと高まります。
現場の問題点や課題の定義、顧客理解や人材の採用など、オンラインで得られる情報だけでは意思決定の判断材料として限界があり、現地現物でこそわかってくる面があります。
時間・場所の制約もあり、すべての事象やテーマで一次情報を集めるのは無理ですが、可能な限り現地現物に直接触れて身体感覚で捉えることはやはり大切だと感じます。
2.「花のリレー」に見る価値設計の連続性
私が入園した時期=桜とチューリップの満開は、梅の見ごろが終わった時期でもありました。
同パークは、桜とチューリップの競演を一大テーマに掲げているのは確かですが、桜・チューリップだけでなく、フジ、バラ、ハナショウブ、アジサイといった「花のリレー」(同園HPより)を通じて年間を通じた魅力の設計に努めているのが感じられます。
このことからは、単発イベントによるピーク一点豪華主義ではなく、やはり時間軸で価値を積み上げながら顧客接点の連続性を設計する視点を感じます。
浜松市の資料を参照すると、正確なデータの見方が不明なところもあるのですが、ピークの4月に対して7~9月の入園者数は1/10以下になるなど、やはり繁閑のばらつきは大きそうです。見ごろとなる花に加えて、気候的な要因も客足に影響を与えていそうなのがわかります。
同園のリピーターにも、行くのは桜とチューリップの時期だけという人も多そうだと想像しますが、年間を通した花のリレーに努めているというイメージを持ってもらっておくことは、来園者を生涯顧客と認識して将来的な接点の派生を促す上でやはり大切ではないかと思います。
3.景観を維持するための工夫
パークの特性上、花・植物以外の面でも景観の維持は死活問題になりますが、ごみもほとんど見当たらないことが快適さのひとつになっていると感じました。
運営面での工夫も感じられます。
例えば、鯉の餌やりに使う餌を買ったのですが、エサのパッケージが最中のようなものになっていて、それを割って中に入っている粒状の餌をあげたあと、その最中も砕いて餌としてあげられるようになっていました。これによって、餌箱のゴミがなくなります。細かい工夫ですが、こうした積み重ねがごみのないパークづくりにつながっていると思います。
日除けテントの持ち込みは可だがペグ打ちは禁止、盲導犬、介助犬、聴導犬は入園可だがペットは入園禁止、パーク内禁煙など。弁当の持ち込み可にし、テントありでピクニック気分の来園を可にしながらも、景観を維持するためのルールや工夫も見てとれた次第です。
4.シニア人材の活用と「誇り」のマネジメント
たまたまかもしれませんが、当日お会いしたパークスタッフの方はほとんどが高齢者の方でした。そのシニアスタッフの方々が、実にいきいきと仕事に臨まれている姿が、印象的でした。
勝手な想像ですが、パークの来場者で中高年層が多いこともありその対応面に加えて、植物の維持管理面でも園芸知識が必要となる関係から、結果としてシニア層が活躍しやすい構造になっているのかもしれません。加えて、地域密着型の施設でもあるため、地域資産を守るという意識も働きやすいのかもしれません。
そのうえで、自然発生的な意識向上に任せるだけではなく、スタッフのパークに対する誇りを高めるための日々の取り組みもなされているのではないかと想像します。前回参照した雑誌致知において、理事長が幹部スタッフとともに議論を重ねながらパークのコンセプトを練り上げていったという内容からも、そのことがうかがえます。
「自分たちがこの景観を支えている」「来場者の感動に直接関与している」と実感できる状態をいかにつくれるかは、マネジメントの腕の見せ所のひとつだと思います。
5.顧客構成の偏りは未開拓市場存在のサイン
私が行ったのが平日ということも関係していたのか、入園者は中高年層が中心でした。加えて、外国人観光客もちらほら見かけたものの、あまり見かけませんでした。入園者属性の分類まではデータを見つけられなかったため想像の域を出ませんが、中高年層への偏りがありそうだと想像します。
中高年中心の来園構造は、園芸や花観賞というテーマ自体が比較的中高年齢層に親和性が高いことからも、自然な成り行きだと考えられます。一方で、これは裏を返せば、若年層の未開拓余地を意味することにもつながります。
例えば、既に取り組まれている夜間ライトアップのさらなる充実や発信、写真映え(SNS)との連動、音楽などとの融合イベントの強化などによって、若年層の取り込みがさらに進められるのかもしれません。
また、外国人観光客についても、日本の花文化(特に桜+チューリップの同時体験)は強い訴求力と可能性を感じます。例えば、多言語発信や周辺観光地とのパッケージ化など認知や導線を強化すれば、さらなるインバウンド誘致も可能かもしれません。
いずれにしても、パークの「設計」と「現場力」の掛け算による、高い体験価値を感じた次第です。
<まとめ>
現地現物で体験し解像度を上げる
