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ダンスパーティ開催のお知らせ

アルパカを愛でる会
会長 深水 楓 です。
 

今日もアルパカタウンの
執務室で仕事をしていると、
足音荒く、
あの人がやってきました。
 
ここは予想通り。
 
私は慌てず、
背筋をピンと伸ばしました。
 
 
「会長! これはどういうことです?!」
 


「ナギさん、声が大きいですよ」
 
「今の今まで、私に黙ってましたね?」

そう言って、
ナギさんは1枚のチラシを
広げて見せました。
 

「ダンスパーティ開催のお知らせ」
 


「はい、だって、止めるでしょう?」
 
「止めるに決まってるじゃないですか!
役場もない、学校もない!
それなのに、ダンスパーティのイベント?
何を考えてるんです?! 会長!」
 
「まあまあ落ち着いて……今、説明するから」
 
でも、
ナギさんは、ふいっと執務室を
出て行ってしまいました。
 
 
……おかしい。
 
今回のナギさんは、
沸点がやけに低い。
 
ちょうどそこへ
やって来たのは、
アルパカ町長です。
 
ダンスパーティの
打ち合わせに来てくれました。
 
私は彼に聞いてみました。
 
「ああ…。ナギさんは、ダンスが嫌いなんですよ」
 
「へえ、意外ですね。何でもできるのに」
 
「まあ、学生時代に言われたことが原因らしいです」
 
「言われたこと?」
 
「はい、ステップが正確すぎて、メトロノームみたいだって」
 
「メ、メトロノーム?」
 
私は吹き出してしまいました。
 
メトロノームのように、
正確にステップを刻む
ナギさんの様子が、
ありありと目に浮かんだからです。
 


「町長」
 
その時、低い声が響きました。
 
ナギさんが腕を組んで、
こちらを睨んでいます。
 
「……おしゃべりが過ぎるんじゃないですか?」
 
町長は怖かったのか、
飛び出して行ってしまいました。
 
その場に広がる、
気まずい沈黙。
 
ナギさんは何も言いません。
 
「え、ええと、気にしないでいいと思いますよ。
いいじゃないですか、メトロノーム!」
 
「苦しい言い訳ですね」
 
「……相談しなかったのは、悪かったと思いますよ。
でも、聞いてください」
 
「何です?」
 
「アルパカタウンには、まだ何もありません。
店がないから、食料品の買い出しさえ、
隣町まで行く必要があります」
 
「……」
 
「でも、住民のみんなは、文句ひとつ言いません。
だから、少しでも笑顔になってもらいたくて」
 
「……会長、企画するのは構いません。
でも、先に相談して下さいって言いましたよね?」
 
ナギさんは、
腕を組んだまま言いました。
 
その目はもう、
いつものナギさんでした。
 
「……すみません。また、先走っちゃいました。
ナギさんも、来てくれます?」
 
「私はメトロノームですから、今年は自宅待機ですね。
会長たちで、楽しんできてください」
 
 
ナギさんは、
執務室を出て行きました。
 
私は、
無理に誘いませんでした。
 
ナギさんの顔が、
優しく笑っていたからです。
 
 
ちょっと寂しいけど――
 
また来年、
来てくれますよね、ナギさん😄
 

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