文章を書くとき #039 | 読みやすい文章について考える①
noteの創作大賞に応募する小説を、2ヶ月間で4本書いたので、次は何を書こうかなあ、なんて思いながら、いろんな人の書いたものを読んでいるのだけれど、僕には読めないものが多い。
いや、日本語は読めるよ。読めるけど、頭に入ってこない文章なのである。以前にも書いた『箇条書き構文』。いわゆるWeb構文で書かれているものが多いのだ。あれは苦手だ。
コンテクストがバラバラに分解されてしまっているから、読みながら頭の中で文章全体の意味を組み直して、意味を考え直さなければならないのである。
詳細は以下のエントリーを読んでください。
長い小説におけるWeb構文は、認知負荷がものすごおく高い。つかれる。
しかし、不思議なもんで、創作大賞は『書籍化』を狙ったもののはずなのに、なぜかWeb構文で書いてあるものが多い。
わかってんのか?書籍になるんだぞ?それを前提で書かないとダメだろ。と、思うのだけど、どうもあまり意識していない方が多い。
せっかくの小説のアイデアがもったいない。読みやすく、わかりやすく、書籍化を念頭に置いて書けばいいのに。
どういうことか説明しましょう。
以下の文章は『箇条書き構文』、もといWeb構文で僕が書いたものです。
空を見た。
曇っていた。
雲の隙間から、青い空がみえる。
この雲もいずれ消える。
明日は太陽が見えるだろう。
「雨はきらいだ」
僕は言った。
「私も」
彼女は答える。
彼女の手を握った。
握り返してくる彼女。
「いこうか」
僕は言う。
「うん」
彼女は答えた。
僕らは歩き出した。
この文章を、一般的な文庫本などのフォーマットに置き換えると、こうなります。

すっかすか。ページの上部1/4くらいの位置に文字が印刷してあって、あとは真っ白のすっかすかの本ができあがる。これが何百ページも続く。紙の無駄だし、10秒ごとにページをめくらなければならない。手がめっちゃ疲れる。
よっしゃ!書籍化じゃー!という狙いで小説を書いて、コンテストに応募しているのに、書籍化されたときの事が全く考慮されていない。ちゃんと考えましょう。本を作るのだって商売なんです。原価とかそういうのとっても大事よ。ほんと、まじで。
そんなわけで、ちょっと手直ししてみる。
「雨はきらいだ」
僕は、曇り空を見上げながら言った。「私も」隣にいる彼女も空を見上げながら答える。雲の隙間から青い空が見えた。この雲はいつか消えて、いずれ必ず太陽が現れるだろう。僕は彼女の手を握る。彼女も僕の手を握り返す。
「行こうか」
「うん」彼女は答える。
僕らは歩き出した。
この文章を文庫本のフォーマットに当てはめるとこうなります。

行数が半分くらいになった。余った場所に続きの文が書けますね。こっちの方が、書籍化の際に紙が無駄になりません。紙の問題かよ!と言うなかれ。紙の問題なのです。Web特有の『箇条書き構文』は紙が無駄になる上に、情緒に乏しく、ページをめくる手が疲れる本ができあがるのだ。よくない。
創作大賞に応募する小説の冒頭に書いてある『あらすじ』を読んで、「ほうほう、いいアイデアじゃん。面白そうだぞ」と思って本編に入ると『箇条書き構文』だったりしてガッカリする。読めないのである。いや、読めるよ!?読めるけどさ。読みづらいんだよー。
と、それなりに長い小説の場合や、ちゃんと書籍化を狙いたいなら、長い段落で書きましょう。過去の創作大賞の受賞作を読んでみてください。『箇条書き構文』で書籍化されてる例は、ひとつもありません。
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次に多いのが『主語が行方不明』の文章。これも読みづらい。というか、意味を理解するのに時間がかかる。
えーと、主語はどこだ?この述語はどこにかかってるんだ?ああ、これか、えーと…
みたいな感じで読み進めなければならない。
かんべんしてくれ。
学校で習ったじゃんか。『主語』と『述語』。あとはまあ、『目的語』とか『修飾語』とかいろいろあるけど、まぁいいや。とりあえず『主語』を行方不明にしないでください。
以下に、主語が行方不明になっている文章を書いてみましょう。
びっくりした。シーツを被って突然現れたのだ。彼女が。振り返る間もなく、クローゼットから迫ってきた。逃げようと驚いて尻餅をついてしまう。
そんな僕を見て彼女が笑う。
わかりづらいでしょう?こんな文章ありえん。って、思うでしょう?いやでもあるんだよ。いっぱいあるんだよ。僕もたまにこういうことやっちゃうんですよ。状況を描写しようと頑張ると『主語』がどっか行って、誰が何してるのか、わかんなくなるんだよ。
いや、倒置してるだけじゃん、と思うかもしれませんが、そういう『倒置』は、たまに使うから効果的なのであって、ずっとこの調子だと読みづらいだけであります。
以下に書き直した例をあげましょう。
突然、シーツを被った彼女がクローゼットから現れ、迫ってきた。僕は驚いて、逃げようと振り返る間もなく、尻餅をついてしまう。
彼女が笑う。
各センテンスの主語である『シーツを被った彼女』『僕』『彼女』の位置を意識して、ちょいと整理するだけです。
これをひとつひとつのセンテンス、段落で意識して丁寧におこなうと、文章が格段に読みやすくなります。簡単です。
『主語』をキチンと把握して、適切な位置に置くだけ。誰でもできます。大抵の場合、主語はセンテンスの最初に置きます。
さあ、やってみよー。
