母のこと
昨日、母のことを考えていたら、母から電話がかかってきた。
こういうことは、大学時代からよくある。
電話だけではない。
社会人6年目か8年目ぐらいのころ、仕事にもすっかり慣れて、友達もたくさんできて、ファッションにも興味を持って、私生活でお金の使い方が荒くなっていた時期があった。
友達とランチ、ショッピング、飲み会。
そして、友達がどんどん結婚していく時期でもあって、ご祝儀など、出費がかさんでいた。
そして私は、家賃の2年更新の更新料の存在を忘れていた。
忘れていた自分が悪いのだが、貯金では足りず、親に連絡しようか悩んでいたら、母から連絡があった。
「整理していたら、あなたが子どものころに貯めていた通帳が出てきたから、送るね」
そこには、10万円が入っていた。
これで何とかなる。
母と私はどこかでつながっているのだと思う。
以心伝心というやつかもしれない。
私が小学生のとき、テストで100点を取ってきても、母はなかなか褒めてくれなかった。
「なんで褒めてくれないの?」
と聞くと、
「あなたの性格は、褒めたら調子に乗る。『コンチクショー』って思ったときのほうが頑張れるから」
と言われた。
正直にいうと、子どものころはもっと褒めてほしいと思っていた。
でも、私以上に私の性格を理解していた。
そんな母に、とっても褒められたのは、塗り絵をしていたときだった。
配色や塗り方を、とてもとても褒めてくれた。
だからなのか、今でも私は、その配色が一番好きだ。
親は共働きだったので、夕飯はおばあちゃんが作ってくれていた。
両親とも帰ってくる時間が遅かったから、宿題を見てもらった記憶もない。
「勉強しなさい」と言われた記憶もない。
むしろ、遅くまで勉強していると、
「もう寝なさい」
と言われた。
母はよく世界の話をしてくれた。
決して裕福な家庭ではなかったけれど、美術館や博物館、動物園、映画、演劇など、いろいろなところに連れて行ってくれた。
「本物を見ることが大事だから」と。
妹が病気で入院しなければならなくなったとき、目を真っ赤にしている母を見たことがある。
涙を見たわけではない。
でも、きっと泣いたあとの顔だった。
母は、私には涙を見せなかった。
小さくて、細くて、か弱そうに見える母。
でも、決して弱い人ではない。
負けない人だ。
※no.020「どんなおかあさんでしたか?」(ほぼ日の糸井さんの質問)
を受けて。
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