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現地採用で年収850万円に下がった私が、1600万円で日本企業に"買い戻された"全記録

1,000万円。
850万円。
1,350万円。
1,600万円。

これが私のタイ14年の年収の推移。
一度下がって、最終的に下がる前より600万円上がった。

内訳はこうだ。

駐在員としてタイへ:年収1,000万円
現地採用に切り替え:850万円
再び駐在として転職:1,350万円
入社後の再評価:1,600万円

昇給の面談でこう言われたことはないだろうか。
「現地採用の給与テーブルは、こうなっているので」

私はある。
そして当時は言い返す材料を何ひとつ持っていなかった。

この推移を人に話すと必ず同じ質問が返ってくる。

「現地採用から駐在にどうやって戻ったのか」
「その年収どうやって決めたのか」

後輩の駐在員からも、同年代からも、昔の会社の先輩からも聞かれた。
つまり答えが世の中に無いということらしい。

検索すれば相場記事は出てくる。
「現地採用の給与レンジは5〜15万バーツです」

それで?

この記事はその「それで?」の先を書く。
実額で。
経緯ごと。

第1章:駐在1,000万円の内訳を現地採用のあなたは知らされていない

まず格差の正体を分解しよう。

駐在員の「年収1,000万円」は給与明細の数字だけの話ではない。
私が駐在だった頃の実額を書く。

家賃補助:月6万バーツ(当時レートで約26万円)
社用車:駐在員2名に1台。運転手つき
 休日に運転手を使う場合だけ、1日1,000バーツの自己負担
税金:会社負担
保険:会社負担

家賃補助は年収1,000万円の中に含まれていた。
それでも家賃と税金の心配が消えた状態での1,000万円。

現地採用になるとこれが全部消えてしまう。
消えるだけではない。

保険も年金も、手続きから何から全部自分でやることになる。

会社が人生の管理コストごと持ってくれるのが、駐在。
人生の管理コストを自分の時間と金で払うのが、現地採用。

つまり駐在と現地採用の差は「給与の差」ではない。
「会社が人生のコストをどこまで持つか」の差になる。

ここを理解していないと、交渉の土俵にすら立てない。

現地採用のあなたが「駐在並みの給与を」と要求しても通らないのは、あなたの能力の問題ではなく、比べている箱が違うからだ。

箱が違うなら、戦い方も変わる。

第2章:私は850万円への降格にサインした。「気にしていなかった」は本当か

2013年、私は日系ティア1のR&Dマネージャーとしてタイに赴任した。
駐在員。
年収1,000万円。
そして2017年、任期満了。

普通なら日本に帰る。
でも私は帰らなかった。
タイに残る道を選び転職した。

次の肩書きはR&D責任者。
身分は現地採用。
年収は850万円に下がった。
150万円のマイナス。

おまけに駐在パッケージも全部消える。
日本の家族には言うまでもなく反対された。

「評価されているんだから同じ会社にいた方が安全でしょう」

正論。
正直、不安もあった。
でも当時の私は30代前半。
ここでチャレンジしないと後悔すると思った。

年収のマイナス150万円については、正直に言うと私は気にしていなかった。
やりたいことを、やりたい場所で、やれるときにやる。
それだけを基準にしていた。

と、きれいに書くこともできる。
でも、ここで嘘をついても意味が無い。

「気にしていなかった」が通用したのは、あの時の私に見えていなかったものがあったからだ。
現地採用の本当の意味は給与明細には書いていない。

それを知るのはもっと後になる。
(この話は本編の後半で書く。私が転職を決意した本当の理由に関わるからだ)

第3章:現地採用の年収は、実は3つの場面でしか動かない

14年やって分かったことを、先に結論から言おう。
現地採用の年収が動く場面は3つしかない。

場面1:入社時の値付け
最初に提示される数字。
ここが全てのベースになる。

場面2:社内での役割拡張
肩書きと責任範囲が変わる瞬間。
日常の頑張りではなく、役割が変わった時だけ数字は動く。

場面3:転職時の再値付け
市場に自分を出し直す瞬間。
ここが最も大きく動く。
私の場合、ここで+500万円動いた。

逆に言えば、この3つ以外の場面でいくら頑張っても、年収はほぼ動かない。

残酷な話。
毎日誰よりも早く出社しても。
タイ人スタッフに誰よりも慕われても。
駐在員の尻拭いを何年続けても。
「役割」が変わらない限り、給与テーブルの中でしか評価されない。

私はこの3つの場面すべてを経験した。

場面2で、入社5ヶ月で工場長になった。
場面3で、850万円が1,350万円になった。
そして入社後の再評価で、1,600万円になった。

偶然ではない。

それぞれの場面にやったことがある。
ここから先はその「やったこと」を全部明かす。

3つの場面のどれが来ても戦えるように、私が14年かけて集めた材料をここから全部置いていく。

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