電話が苦手な人が、いま二人に一人。それでも自分から出る人に、仕事は集まってくる
電話が鳴る。それだけで、少し体がこわばってしまう。そんな人が、いま本当に増えています。
社会人三年目までの若手に聞いた最近の調査では、電話業務を苦手だと感じている人が、およそ半数にのぼりました。年代を二十代・三十代まで広げると、七割以上が電話に苦手意識を持っている、という結果も出ています。理由もはっきりしていて、「電話のマナーに自信がない」「そもそも普段から電話を使わない」「実家に固定電話がなかった」といった声が並びます。誰かに自分から電話をかけたり、自分あて以外の電話を取り次いだりした経験が、そもそもないまま社会に出る。今はそういう入り口が、まったくめずらしくなくなりました。
だからまず言っておきたいのは、苦手なのはあなただけじゃない、ということです。LINEやチャットで、文字のやり取りに慣れて育ってきた世代なら、電話が急に怖く感じられるのは、むしろ自然なことです。声だけで、相手の顔も見えない。言い間違えても消せないし、返信のように考える時間もない。苦手意識が生まれる条件が、きれいにそろっているんですよね。だから、自分だけがダメなんだと落ち込む必要は、まったくありません。
ただ、ここで一つだけ、はっきり伝えておきたいことがあります。苦手だからやらない、ではなく、苦手だからこそ早めに場数を踏んでおく。この向き合い方の差が、半年後の自分を、いちばん大きく変えていきます。
採用や現場の采配をする立場から見ていると、電話でスッと連絡が取れる人は、想像している以上に強いんです。文字で五往復するより、電話で三分話したほうが早く片づく場面は、仕事の中にいくらでもあります。テキストが万能に思える時代だからこそ、声で一気に用件を握れる人の価値は、逆にぐっと上がっている。だから、電話に自分から出る若手は、それだけで「この人に任せてみよう」と思ってもらいやすい。特別なスキルや実績よりも先に、まず信頼のとっかかりになってくれるんですね。
もちろん、最初からうまくいく人なんていません。名乗りを噛む、相手の名前が聞き取れずに聞き返す、保留や取り次ぎの操作にもたつく。誰だって最初はそうです。でも、それは全員が必ず通る道で、三回も四回もやっているうちに、体のほうが先に慣れてきます。メモとペンを手元に置いておく、第一声のセリフだけ先に決めておく、相手の名前と用件を声に出して復唱する。ほんの小さな準備を積み重ねるだけで、電話は驚くほど怖くなくなります。取ると腹を決めて、場数を踏む。その一歩を選べるかどうかが、いちばん確実なリターンになって返ってきます。
実際、はじめての一本をやり切った日のことは、けっこう覚えているものです。声が上ずっても、最後まで用件を聞いて、きちんと取り次げた。ただそれだけで、次に電話が鳴ったとき、手が伸びるのがほんの少し早くなる。その小さな成功が積み重なっていくと、まわりは自然と「あの人は電話を任せられる」と見るようになります。任される仕事が増えれば、経験が増える。経験が増えれば、また少し自信がつく。地味だけれど、この循環に乗れた人から、現場では強くなっていくんですよね。
それに、電話で人とやり取りできる力は、どんな職場に行っても、たぶん一生腐りません。メールの書き方や資料の作り方は、道具が変わればまた覚え直しになりますが、相手の声を聞いて、その場で言葉を返していく力は、時代が変わっても土台として残ります。効率よく文字で済ませられることが増えたぶん、顔を合わせて、声で、きちんと通じ合える人が、これからむしろ貴重になっていく。そう考えると、いま感じている苦手意識は、時間をかけて乗り越えるだけの値打ちが、十分にあるものなんです。
そして、これはお世辞ぬきで思っていることなんですが、学力やスペックの面で、まわりに少し引け目を感じている人ほど、ここは大きなチャンスなんです。電話に出るのに、偏差値も、華やかな資格もいりません。必要なのは、逃げずに受話器へ手を伸ばす素直さと、それを続けていく根気だけ。明るくて、真面目で、相手の話にちゃんと耳を傾けられる人。そういう人が、現場では時間をかけて、いちばん頼りにされる場所へ、着実に近づいていきます。派手さはないかもしれないけれど、まっすぐ続ければ、ちゃんと報われていく道です。
今できないことを、そんなに重く受け止めなくて大丈夫です。入ってから覚えればいいし、やりながら慣れていけばいい。最初から完璧に電話をさばける新人なんて、どこにもいません。大事なのは、できないことを言い訳にして、手を止めてしまわないこと。その一点さえ守れれば、半年後には、自分でも驚くくらい動けるようになっています。
正解を押しつけるつもりはありません。ただ、次に電話が鳴ったとき、ほんの少しだけ早く手が伸びたら、そこから見える景色は、少しずつ変わりはじめます。その一本を、自分から取ってみるかどうか。決めるのは、あなた自身です。
現場で人が育っていく仕事に興味が湧いたら、こんな会社ものぞいてみてください。
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