昭和のジャンヌダルクは、令和でもジャンヌダルクだった。
4月17日、金沢。
本多の森 北電ホール。
私は、レッドチェッカー華子の制服で、
そのライブに挑んだ。
レッドチェッカーって何?
私が昨年書いた小説で、赤を探す物語。
私は、流行語大賞をとるべく
活動している作家なのだが、
知名度は全くない。
誰も、私を知らない。
知るわけがない。
それでも、
小泉今日子は、「真っ赤な女の子」というシングル曲を
リリースしていて、今回のツアーでも
それを、アー写として掲げているせいか、
会場は驚くほど赤の着用率が高かった。
私は、自然と気持ちがあがっていった。
勘違いも甚だしいけれど、
そこにいる全ての人が、
私の背中を押してくれている気がした。
うれしかった。
――
私が初めてキョンキョンを見たのは、
彼女が、まだデビューして間もない「スター誕生」だった。
当時は、番組全体がどこかゆるくて、
「質問がある人」という呼びかけに手を挙げた男の子に、
そのままマイクが渡った。
中学生くらいの男の子だったと思う。
彼は、その場で立ち上がり、
会場全体が見守るなかで、
ステージの上の小泉今日子に質問を投げかけた。
「僕は、伊藤つかささんが好きなんですけど、
伊藤つかさちゃんはどんな人ですか?」
もう、何十年も前のしかも、ポンコツな私の記憶なので
細かい言い回しはあっていないかもしれない。
だけど、その後のキョンキョンの答えに私は衝撃を受けた。
「つかさちゃんも、かわいいと思うけど、
私もかわいいので、応援してください」
こちらも、多少の違いがあるかもしれないけれど、
たしかにこのような内容のことを彼女は言った。
今なら、こういう発言が出来るアイドルも
珍しくないかもしれない。
だけど、当時の
操り人形みたいなアイドルしかいなかった時代に
この言葉を発したキョンキョンに
私はひどく驚いた。
そして、気が強い人だなぁと、
マイナスなイメージを抱いたように思う。
その後、聖子ちゃんカット全盛期の時代に、
キョンキョンは髪をバッサリ切る。
大人のいうことをきかないアイドル。
そんな印象を持ったかもしれない。
彼女は、一人で時代を切り開いた
昭和のジャンヌダルクだった。
――
ライブが始まって、
ステージに立った彼女は
とても小柄だった。
60歳になったという今も、
腕はまっすぐ伸びて、
その歌声は、全盛期を上回るほど
艶のある伸びやかな声。
ずっと第一線でいるというのは、
こういうことなんだなと、
私は、感心して、感動をしていた。
彼女は歩くパワースポットだと思った。
彼女の周りに集まる人は、
みんな一様に元気をもらっていた。
そして、
彼女は、令和になった今も戦っていた。
――
4月末、クマ被害防止対策について農水大臣が記者会見を行った。
一人での作業を避けること。
ラジオなど音の出るものを携帯すること。
「獲る、守る。寄せ付けない」
その三本柱で対策を進めるという。
私は、これを仲良くしているフォロワーさんの記事で知った。
でも、正直に思う。
事態は、もっと身近で、もっと深刻になっている。
京都でさえ目撃情報が増えているという。
私が住んでいる能登よりも、よほど無縁に思えるのに。
――
そんな中でキョンキョンは呼びかけていた。
その名も、「明日の森プロジェクト」
野生生物が豊かに暮らせる森を取り戻すため、
山頂付近に、どんぐりの植樹をする活動。
人と動物が共に生きられる関係を目指す取り組みだ。
宮城が中心らしい。
でも、本当は――
もっと多くの場所で必要なのではないかと思う。
――
それにしても、
かっこいいではないか。
国が出来てないことを
彼女は、必死に声をあげている。
それに賛同するファンも、
とても美しいと思った。
昭和の時代を切り開いて来たジャンヌダルク、
小泉今日子は、
令和の今も、戦い続けていた。
――
私は、まだなんの力も持っていない。
それでも、あの光に照らされた赤を、
無駄にはしたくないと思った。
※「明日の森プロジェクト」について
【寄付】「KK60 ~コイズミ記念館~ KYOKO KOIZUMI TOUR 2026」 明日の森プロジェクト | TADORi
