神は、計画を持っている。——Pharoah Sanders『Karma』
32分間、終わらない。
いや、終わりたくない——それが正確だ。「The Creator Has a Master Plan」が始まった瞬間から、時間の感覚が変わる。32分が5分のように過ぎ、同時に永遠のように広がる。これは音楽か、それとも儀式か。
Pharoah Sandersという人
1940年、アーカンソー州リトルロック生まれ。
John Coltraneのバンドに加わり、Coltraneの晩年の「宇宙的」な音楽の形成に深く関わった。1967年にColtraneが世を去った後、Pharoahはその精神的遺産を引き継ぎ、独自のスピリチュアルジャズを展開した。「A Love Supreme」の次の章を書いたのが、この『Karma』だ。
『Karma』という一枚
1969年2月14日録音、Impulse!Recordsよりリリース。2曲38分。
Leon Thomas(ヴォーカル)、Lonnie Liston Smith(ピアノ)、Reggie Workman / Richard Davis(ベース)、James Spaulding(フルート)、Julius Watkins(フレンチホルン)——錚々たる顔ぶれが一堂に会した。
ーThe Creator has a working plan, peace and happiness for every man.
Leon Thomasの裏声ヨーデルが宇宙へ上昇し、Pharoahのテナーが応える。Lonnie Liston Smithのピアノが光の粒を撒く。フルートとフレンチホルンが絡み合い、ベースが大地を踏みしめる——32分間、すべての楽器が「善意」という一点に向かって動き続ける。
Coltraneの「A Love Supreme」が神への献身の祈りなら、Pharoahの「Karma」は神への感謝の歓喜だ。同じImpulse!レーベル、同じスピリチュアルジャズの系譜——しかし感触は全く異なる。Coltraneが内向きなら、Pharoahは外へ、宇宙へ向かって開いている。
どんな夜に聴いてほしいか
何かが上手くいった夜に。
あるいは、何かを信じたい夜に。Pharoahの音楽は「世界は善くなれる」と信じている。その確信が32分間、一度も揺らがない——それだけで、聴く側も少しだけ前を向ける気がする。
TRACKLIST
A The Creator Has a Master Plan (32:02)
B Colors (6:39)
計画は、すでにある。
幻音社
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